第13話 ステフ様のデビュタント③
「王国の太陽であらせられます国王陛下にお会いし、誠に光栄です。タナー侯爵家長女がステファニーと申します」
「よいよい。其方の事はよく知っておる。今日の装いはまた格別に麗しいな」
「失礼ながら、陛下もこの大広間にいられる男性同様に目が腐っているのでしょうか?他の令嬢の方が…と私は思うのですが?」
「うーむ。無自覚か……。ステフ嬢、自覚してほしい。ステフ嬢は非常に麗しい女性であると」
「私にはわかりかねます。私は陛下もご存じのように、日々剣術を研鑽して生活をしています。何故でしょう?」
「これではどうだ?ステフ嬢のご両親、侯爵閣下と夫人は美男美女であろう?その子である其方もまた‘美’を受け継いでいる」
「ああ、なるほど。わかりやすいですね。やっとピエトロの時に執拗に王宮の侍女に絡まれたりする理由がわかりました。ピエトロは美男なのですね」
「そして、ステフ嬢は美女だ。そこのところを理解してほしい」
お嬢様が赤面するのを見逃しませんでした。でも陛下相手にドキドキ?
ダンスタイムです。さあ、マーク様存分にお嬢様を口説いてください!なんなら、お持ち帰りしちゃってください!
「あ、飲み物のおかわりですね。どちらにしましょうか?では、こちらをどうぞ」
ああ、使用人としての仕事をしながらの覗き見ですから、口惜しい!
「お前はダンスも上手いな」
「一応、なんでもできるわよ?」
「男女の垣根さえも越えちゃってるもんな。マナーなんかも完璧なんだろ?」
「当然です!」
「マークはダンスが上手ね。今までのパートナーの中で一番踊りやすいわ」
「それは光栄だな」
二人はダンスホールで一番目立っていました。その時にはお嬢様の名前なんかもバレていて、『ハイランド唯一の王子と踊る侯爵令嬢』と有名でした。
お二人の見目もお美しいのですが、ダンスも難易度が高いものを易々とこなし、令嬢のドレスは大広間を飾るシャンデリアの光で輝き、まさに二人の世界でした。
私はもう二人の世界だと思っていたのですが、マーク様はオクテのようで…。
「実は…ステフには続けてダンスを踊ってほしいと思ってる」
「へ?誰と?」
「俺とだよ!」
「別にいいわよ~」
お嬢様はクルっとターンをしました。その時、お嬢様は足首を捻ってしまったようで、ダンスの途中だというのにダンスホールの中央でうずくまってしまいました。
「大丈夫か?って大丈夫じゃないからうずくまってるんだな。えーと、ピエトロの部屋まで連れて行くぞ?」
と、マーク様はお嬢様をお姫様抱っこしてピエトロ様の部屋まで運んだのです。
「非常時だ足首に触れることになるが、許してくれよ?」
マーク様は軽く触れたようですが、お嬢様は強く痛がりました。ベッドの縁に座っていたのですが、ベッドをタップしていました。
「あー多分、捻挫だろう。ステフが捻挫をしたところを目撃した人は多くいるから、ピエトロもしばらくお休みだな。そうだろう?ステフと同じところをピエトロが捻挫してるっておかしくないか?護衛の役目も果たせないだろうし。療養という事で……。そうだなぁ、ピエトロが休養する理由は…悪性の風邪という事にしようか。そこにいるんだろ?サラ。そういうことだから、部屋から出る時には口元に布巾をつけていました的に振舞って欲しい」
「承知しました。お嬢様の一日も早い回復に尽力します!」
「ステフの超人的な力で二日くらいで回復しそうで怖いが、1週間くらいピエトロは休養するように。今までが働き過ぎだ!」
ステフちゃん、美人でなんでもこなす上に回復力が超人的なの?常人の3倍くらいの速さで回復してない?
無自覚の美人っているんだなぁ。ピエトロがモテる理由が分かった時だって他人事みたいに…。




