【第59話】祝宴開幕
髪のバシバシが取れるまで、何度も髪を洗い直した。
体もしっかりと石鹸で洗い、今はいい匂いがする。
最後に大きな湯船に浸かり、全身の疲れをお湯に溶かす。
「生きてるって感じ……」
しばらく入浴を堪能した後、ベッドで寝転ぶ為に自室へと向かう。
風呂上がりで少しテンションが高い状態で、自室のドアを勢い良く開ける。
「そーれ、自室だわっしょーい!」
「…………」
「…………」
「わ、わっしょーい?」
僕の部屋で何故かルーナが寝巻き姿で寛いでいた。
何でこういう時に限って変な事を口ずさむんだ僕は……
「聞かなかった事にならない?」
「うーん、ならない!」
「はぁ……所で、何で僕の部屋に?」
「だって、どうせどちらかの部屋に集合するでしょ?
それなら乙女の部屋より、ナツメ君の部屋かなぁって」
言われてみれば確かにそうか……
いつも反省会とかしてるし、僕としてもルーナの部屋に行くよりはここに集まった方がいい。
「じゃ、いつも通り反省会を……ふわぁ〜あ」
「すっごい眠そうだね」
「そんなつもりは無いんだけど。
いやごめん、やっぱりかなり眠いかも……」
「お夕飯が出来たらアルバさんが呼びに来てくれるらしいから、それまで寝てていいよ?」
「うん……そうす…る……」
襲い来る睡魔に対抗できず、呆気なく微睡みに沈んだ。
夢も見ぬほどの泥酔だった。
コンコンっと、ドアがノックされる音が響く。
もう夕飯の時間なのかな?
寝起きではあるが不思議と頭の中はスッキリとしていて、眠気も一切感じない。
「開いてますよ!」
「失礼するよ。おや、こっちに2人とも居たんだね?
手間が省けて助かるよ。
夕飯の準備ができたから降りておいで。
今日は腕によりをかけた豪華ディナーが目白押しだよ」
「すぐ行きます!」
そうと決まれば、横でまだ寝ているルーナを起こして、ご馳走を食べに行かねば。
「ルーナ、起きて。ご飯だって!」
「……ん……もう食べられにゃ〜…ふふふ……」
夢の中で既にご馳走を食べているようだ。
悪いとは思うけど、強行手段にでよう。
ルーナの脇腹を思いっきりくすぐる。
すると──。
「わきゃ!! や、やめ! えっ、何!?」
「起きた?」
「……起きた……けど、起こし方!」
流石に悪ふざけが過ぎたかな?
まぁ、1回で起きないのが悪い。
「ご馳走が出来たんだって。
準備して食べに行こ!」
「ホント!? 行く!」
寝巻きのまま食べるのは少し嫌だったから、僕達は着替えてから皆が待つダイニングに向かった。
ダイニングの真ん中にある大きなテーブルには、図書館メンバーに加え、何故か聖天騎士隊の面子まで数人座っている。
「やっと主役が揃ったね! 食べていい!?」
「モネ、一応招待された側なんですから遠慮をですね……」
目の前の料理に爛々と目を輝かせる騎士隊長のモネさんを青髪の女性が制する。確かモネさんの同期の……ミナさんだ!
あまり会う機会が無いから忘れかけていたが、1度思い出せば他の人も鮮明に思い出せた。
モネさんの横で「おっひさ〜!」と手を振っている薄い桃色の髪をした女性がマインさんで、更にその横にいるガタイのいい茶髪の男性がザックさんだ!
それとそれ等の更に横、ちょこんと居心地が悪そうに座り、ソワソワと辺りを見回している人物がいる。
「ル、ルーナさん! 早くこちらに座ってくださいな!
そもそも、何でアタクシまで連れて来られたんですの!?」
レヴィアさんだ。いや、ホントに何で居るんだろう?
本人も分かっていないようだし、ルーナに助けを求めている。
「レヴィアちゃんだ! 今日の宴に参加してくれたんだ!」
「ちゃん!? いやいいですわ。学校終わりに帰ろうとしましたら教室にモネ隊長が来まして、あれよあれよという間にここへ……
そもそも何を祝しての宴かも分かっていませんのに……」
「た、大変だったんだね……一応、ナツメ君関連だよ」
ルーナはレヴィアさんの横に座った。
僕はどこに座ろうか……
「……後輩……こっち」
「ナツメお兄ちゃん! ここに座ろ?」
先輩とセルビアに手招きされ、僕はそちらに座る。
全員が席に着くと、アルバさんが音頭を取って場を静かにさせる。
「こほん。えっと、本日はお日柄も良く……」
「アルバ、そう言うのは良いから!
何の宴なのかを教えて!」
モネさんからのヤジが飛ぶ。
「えぇ、分かったよ……
本日皆様にお集まりいただいたのは、まず初めにルーナさんとセルビアちゃんの歓迎会。
次に、ルーナさんの2つ名授与記念。
最後に、ナツメ君の神器覚醒記念!
これを全部まとめて、こう……ガッと祝おう! って言うのが今日の宴の目的です。以上!」
そう言えばセルビアはともかく、ルーナの歓迎会してないな。
それと僕の羽根ペ……いや、今は万年筆か。
僕の万年筆は神器なんて大層な名前があったんだ。
おっと、早速ルーナとセルビアが挨拶する所だ!
急に話を振られて2人ともタジタジしている。
ルーナに関しては今更感あるけど。
「えっと。み、皆さんご存知ルーナです!
引き続きナツメ君のサポートを一生懸命頑張りますので、これからもよろしくお願いします!」
パチパチパチパチパチパチ。
「セ、セルビアです! えっと、その、皆の為にいっぱい頑張ります!
よろしくお願いします!」
パチパチパチパチパチパチ。
それぞれが優しい拍手で迎えられる。
「それじゃルーナさん、次は2つ名の挨拶を!」
「えっ!? 待って、えっと……『怒槌』の名に恥じないように精進します?」
「はいオッケー! それじゃナツメ君、ラストに挨拶と乾杯の音頭を取ってね?」
怒涛の勢いだな……
でも、とうとう僕の番か。
「僕の羽根ペンが万年筆へと姿を変えました。
これも皆さんの協力があってこそだと思ってます。
えっと、僕のこれからの活躍と、皆さんの躍進を願って、その……乾杯!!」
『カンパ〜イ!!!』
気の利いた事が言えず、何とか誤魔化せたな。
僕の乾杯の合図で皆が一斉にご馳走に群がる。
ようやく、宴の始まりだ!!
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次回は引き続き宴だぁ!!




