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【第25話】答えを求めて 〜 Side ルーナ 〜




 何日寝ていたかは分からないけど、わたしが目を覚ましたのは、正午を過ぎた頃だったでしょうか?


 まだ体を動かすと少し痛むし、意識がはっきりしてきたせいで、とてもお腹が減りました……



「痛たたた……筋肉痛になるような鍛え方は、してないつもりだったんだけどな」


 コンコン


 部屋の扉をノックする音が聞こえる。

 もしかするとクーちゃんかな?



「はい。どうぞ〜」


「お邪魔するわね。具合はどうかしら?」



 声の主はアベリアさんでした。

 手には皮を剥いたリンゴが入ったお皿を持っている。



「一応大丈夫です。

 リンゴ、ありがとうございます。

 そこのテーブルに置いてもらえれば……」


「あら、ありがとう。

 アタシは長居しないから、ゆっくり食べてちょうだい。

 それと、今ダイニングにモネちゃんが来てるんだけど、どうする?」


「団長が!? す、すぐに準備しないと!

 あ痛たたた……」



 ベッドから起きようとして、全身が軋む。

 こんな姿を団長に見せる訳には行けません!

 何とか挨拶しに行かなくちゃ。



「慌てないでルーナちゃん。

 モネちゃんにはこの部屋に来るように言って来るから、大人しく待っててね?」


「わ、分かりました……」



 そこまで言われたら、大人しくするしかない。

 しばらくすると、廊下の方からバタバタと走ってくるような足音が聞こえる。


 ガチャッ!


「ルーナちゃん……今、大丈夫?」


「だ、団長、御足労お掛けしてすいませんでした……」


「いいよいいよ! 気にしないで!

 それとね、固い! 今は訓練中でもないんだから、もっとフランクな感じで! ね?」


「ぜ、善処します……」



 団長にフランクになんて無理でしょぉ……

 騎士達の憧れの的で、そもそも組織的に見て上司だし。



「ねぇ! そこにあるリンゴ、少し食べてもいい?」


「え? ど、どうぞ……」


「ありがと〜!」



 許可をするや否や、リンゴを1切れ手で掴み、それはそれは美味しそうにシャクシャクと頬張る。



「あの……団長は何か用事があって、ここに来たのでは?」


「用事? もちろんご飯食べに……じゃない!

 ルーナちゃんにお話しが色々とあったんだ!」



 まぁ、そうでしょうね。

 決闘の日取りの連絡か、はたまた激励の言葉を掛けに来たとか?



「今回の決闘の勝敗は取り敢えず置いておくとして、ルーナちゃんがナツメ君の付き人になると、在籍が聖天騎士から図書館に移るんだよ。

 その手続きとかを騎士隊の方でやりたいのと、後はまだルーナちゃんが騎士隊所属の内に個人的に指導しておきたいんだ!」


「隊長自ら指導してくれんですか!?」



 これはとても光栄な事です!

 普段の授業や訓練で隊長が教えてくれるなんて事は無いからとても嬉しい。

 是非とも教えを乞いたい。



「出来れば日程的に今日がいいんだけど……動けそう?」


「う、動けます! 隊長に訓練して欲しいです!」


「その意気や良し! じゃあ、早速行こうか!

 アベリアさんにはアタシから言っておくね!」






 なんだかんだで聖天騎士隊の所まで来ました。

 書類やら何やらを数枚書き終え、現在は軽鎧に着替えて騎士隊の訓練場にいる。

 来る前に騎士隊の武器庫で戦鎚があったので、今はそれを担いでいる。



「ルーナちゃん。初めに聞きたいんだけど、君はアタシからの指導を受けるんだよね?」


「無論受けます。少しでも強くなる為に」


「それが聞けて良かったよ!

 一応決闘の公平性を保つ為に、Aクラスから選ばれた子達にも指導の提案はするからね?」



 そんなのは承知の上。

 その上で勝たなければ意味が無い。



「そうだねぇ、訓練の前に問答をいくつかしようか」


「はい!」


「うんうん、やる気が伝わって来る。

 そうだな、まずはアタシ達聖天騎士において、『強さ』って何だと思う?」


「戦闘においての強さであれば、答えは『速さ』です」



 これは騎士学校でも習う事だ。

 基礎の基礎なので、誰もが知っている。

 しかし──。



「違うなぁ。じゃあ、次の問題!

 アタシ達が守っているモノってなんだと思う?」


「ま、守っている物……神界や地上の人達、でしょうか?」


「う〜ん、惜しい。

 その答えは、今から自ずと見えてくるはずだから、訓練が終わったら改めて聞くね!」


「分かりました……」



 どちらの答えも間違ってはいないはずなのに……

 でも、今からの指導でそれを見つけなきゃ!



「それでは、ここからは友人ではなく、騎士隊長として特別指導を行う!

 その中でルーナ騎士候補生は、先程の問いの答えを見つけ出すように! それでは、構え!!」



 先程までとは別人のように口調と顔付きが変わる。

 これが、聖天騎士の騎士隊長なんだ……

 わたしも覚悟を決めて挑まなくちゃ!



「よろしくお願いします!」



 そう言って、わたしは聖天騎士最強に武器を構えた。





【武器庫にて】


「ルーナちゃんってどんな武器使うの?

 やっぱりスタンダードな槍とか剣?」


「い、いえ、わたしは戦鎚を使います」


「へぇ、なんて言うか、珍しいね?

 って事は……コレとかどうかな?」


 渡された物はいつもより、だいぶ小さい戦鎚だった。


「えっと、あ! アレがいいです!」


 指さした先にあるのは、今図書館で使っている物と似た大きさの戦鎚だ。


「えぇ!? こんな重いの使うの!?」


「はい! これがお気に入りなんです!」


「ルーナちゃん、見掛けによらずゴリラなんだね……」


 団長に少し引かれながらの武器選びだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ルーナ視点のエピソードでストーリーの深みが増しています! Aクラスとの対決に向けて、ますます楽しみになりますね。
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