【第11話】天使と勘違い
「本と羽根ペンって僕のバッジと……え?」
「お察しの通り、わたくしとナツメ君は同じ絵柄のバッジです。つまりはそういう事です」
「僕、図書館長になるんですか?」
「流石にすぐに仕事ができるとは思っておりません。
ですので、今までの6年間は基礎的な筋力や持久力を付けて貰う為、クークラと仕事をしてもらいました」
びっくりする程実感ができない。
そもそもリオ爺が普段何をしているか全く分からない。
以前、禁書庫の管理とか言ってた気もするけど、何をしてるかまでは分からない。
「ナツメ君が初めて禁書の声を聞いて倒れた時、将来的に禁書庫を管理して欲しいと話した事を覚えていますかな?」
「何となく覚えてます」
「忘れていないようで良かった。
そしてこれからの話なのですが、ナツメ君にはわたくしの元で働いて貰います」
「って事は……」
「勿論、禁書庫ですとも」
そう言ってリオ爺は微笑む。
正直、ずっと掃除していたい。
またあんな物騒な所に行かなきゃならないのか。
「安心してください。いきなり無茶などはさせません。
最初の数年はもう1つの箱に入っている物を自在に扱えるようにする為に使います。まぁ、開けてみなさい」
そう言われたのでもう1つの木箱も開けてみる。
中に入っている物はだいたい想像はできるが……
「羽根ペン……初めて見ました」
箱の中にはとてもシンプルな造りの純白の羽根ペンと、持ち運びができそうな形状のインク瓶が入っていた。
見ただけで普通のものでない事は分かる。
正直めちゃくちゃ嬉しい。
「懐かしいですね。私も最初はそんな顔をしたものです」
「あれ、顔に出てましたか?」
「それはもう、100点満点の笑顔でしたよ」
そう言われると少しばかり恥ずかしい。
でもこれで何をするんだろうか?
やっぱり禁書庫での書類仕事なんだろうな。
「これからは書類仕事になるのでしょうか?」
「そんな事はアルバにやらせておけばいいのです。
本と羽根ペンのバッジを持つ者は基本、究極の肉体労働ですから覚悟をしてください」
6年図書館に居て分かったが、アルバさんに対する皆の扱いってかなり雑な気がする。
ほら、アルバさんも「なんで僕ばかり…」みたいな顔してるじゃないか。
「まぁ、そんなに気張らなくてもやっていけますよ。
来週からはわたくしの執務室に来てください。
明日、明後日は知っての通り休みですので、充分に英気を養ってください」
「分かりました、執務室ですね。来週からお世話になります」
「えぇ、今日はもう部屋でゆっくり休んでください。
それと、バッジを授かったナツメ君に改めて……」
『ようこそ、神域の図書館へ!!』
メンバーが声を合わせて、改めて僕をメンバーとして認めて貰えた。そんな気がする。
「はい! これからもよろしくお願いします!」
その後、部屋に戻ってからは、物の数分で眠りについたのは言うまでもない。
◆◇◆◇◆◇◆
今朝はとても爽やかな朝だった。
せっかくの休日なので、久しぶりに街にでも行ってみよと思う。
「1人で行くのも寂しいし、先輩でも誘うかな」
という訳で休みの日だとまだ寝ているであろう先輩の部屋に向かう。
ちなみに休日は各々が好きな時間に起きて、好きな事をしている為、平日のように全員で朝食は食べない。
一応ノックはするが、返事はいつも帰って来ない。
「先輩入りますよ〜」
返事が無いなら突入する。
最初こそ躊躇ったが、今では慣れたものだ。
「クーちゃん先輩、予定が無いなら僕と街に買い物に行きませんか?」
「……んぅ?……後輩……買い物ぉ?」
相変わらず朝は眠そうにしている。
時間的にはいつもより2時間くらい遅く起こしに来てるんだけどな。
「……今日は…昼前に……約束があるから…行けない」
「え? 昼前って、今10時近くですけど大丈夫ですか?」
「………それは……だいじょばない……後輩…手伝って!」
「何を手伝えばいいんですか!?」
「……クークラは…顔洗うから……髪を梳かして」
そんな調子で大慌てな先輩を手伝う。
僕の前で先輩が着替えようとした所で僕は焦って部屋から出た。
しばらくすると、以前見た事がある余所行きの服を着た先輩が部屋から出てきた。
「……後輩も…来て」
「え、行っていいんですか?」
「……たぶん……いい子だし…大丈夫」
そう言うと、僕の袖を引っ張りながら目的地へと走り出した。
先輩はそれなりに焦っているのか、なかなかハイペースで街の中を駆ける。
目的地には思っていたよりも早く到着した。
着いたのは街の外れにある、少し古びた雰囲気の家だ。
先輩がドアをノックすると、中からパタパタと走る音が聞こえてくる。
ドアが開くと、怒って頬を膨らませた女の子の顔がひょこっと出てきた。
「クーちゃん、また遅刻だよ?」
「……誠に…申し訳ない……でも今回は……後輩が悪い」
「えっ、僕関係なくないですか!?」
「……後輩が……起こしてくれなかった」
「え、えっと、クーちゃん…その人は?」
「……ん…これは…ナツメ……クークラの…後輩」
これって……あと、僕が起こさなかったら絶対にまだ寝てたよね? 断固として僕は悪くないぞ。
っていうか、その為に僕を連れてきたのか…
「あの、あ、貴方が例の後輩さん?」
「はじめまして、ナツメです。
たぶん、僕がその後輩で合ってます」
「こここ、こちらこそ初めましゅて!
ル、ルーナっていいます。よ、よろしく…」
「こちらこそよろしくお願い致します!」
薄い紫色のポニーテールに、夕焼けのような優しい瞳の色をした女の子はルーナと名乗った。
先輩と話す時は普通だったし、たぶん相当シャイな子なんだと思う。
さっきの挨拶では1回も目が合わなかったし。
それと、噛んだ事を指摘するのはナンセンスなのでしない。もちろん、アベリアさんに教わった。
「た、立ち話もあれなので、中に、どうぞ…」
「……お邪魔する」
「お邪魔します」
そう言われて家の中に招かれる。
中に入って初めて気付いたが、ルーナさんには今までに見てきた天使の人達と大きく違う点があった。
「ルーナさんって、右と左で羽の位置がそれぞれ違うんですね?」
「え? こ、これはその、珍しい事なんですけど、わたしのお父さんとお母さんは種族が違ってて、それで……」
「種族って、ルーナさんは天使じゃないんですか?」
「て、天使だなんて! そ、そんな……」
何故かルーナさんが顔を赤らめて俯いた。
「……後輩……勘違いしてる」
「勘違いって、どういう事ですか?」
「……後輩…翼が生えてる人…全員天使だと…思ってる?」
「無論そう思ってますね」
「……とりあえず……簡単に説明する」
それからしばらく先輩とルーナさんから説明を受けた。
曰く、翼を持っている人達は『天翼族』という。
曰く、天翼族には2種類あり、片方は肩甲骨の辺りから翼が生えている『通常種』、もう片方は腰の辺りから翼を生やしている『好戦種』がいる。
曰く、ルーナさんやメイレールさんのような普通とは異なる翼を持つ者はかなり希少らしい。
ちなみに、ルーナさんは好戦種の父と通常種の母との間に生まれた事による遺伝によるもの。
メイレールさんは先祖返りというものらしい。
曰く、天翼族にとって天使とは憧れの存在であり、男性が異性の事を天使に例えるのはプロポーズになるらしい。
戦闘シーン書けませんでした_( _´ω`)_
次回こそ! 次回こそ戦闘シーンかけたらいいな……
次回も楽しみにしてくださると嬉しいです。
ブクマや評価★★★★★、感想などいつでも待ってます!
それではごきげんよう!




