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王都編 第9説

「異世界の人間が数十名、勇者として召喚された」


その言葉に俺は愕然とした。異世界召喚モノを読んだり自分自身も言わば召喚モノのような体験者ではあるがそれでも俺の場合は自分たっての希望でもあったのだ。

だが、先の口ぶりだと強制的にこの世界に転移させられたのだろう。疑問は尽きないがまずは確認が先だ


「一体何故、その様な事態に?」


紅竜王は少しだけ目を細める。自分の責任であるように言葉を紡ぐ


「うむ。お主がこの世界をどこまで知っているのか分からぬのでこの世界の最初の勇者の話をしよう」


最初の勇者か・・・確かに文献や御伽噺がいくつもある英雄の物語。しかしそれは彼の人生の半生も語られていいない物語だった。

しかし、俺はこれから知る話が壮大でなおかつ御伽噺に出てくるような英雄譚と片付けていい話ではなかった。その一部をこれから語ろう。






▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


彼はひと言で片付けるなら英雄である。

紛れもなく誰に聞いても彼は英雄と応えるだろう人物だ。ただし、時代や生まれが違うならばの話だ。

彼の世界は魔法も魔物もない世界。超常現象的なものはあるがどれもこれも魔法などとは無縁なものばかりだった。

だがそんな世界でも彼は、強きを挫き弱きを助ける。それを地で行う性格と力。まさに英雄や勇者に相応しい所業である。・・・だからだろうか?彼はある日を境に忽然と世界から姿を消した。

それはまるで彼の居るべき世界へ帰ったかのように跡形もなく。そして、人々も彼のことを誰も覚えていない。初めから彼は存在しなかったように


彼は突然自分の居た場所と全く違い見慣れたものが一切ない真っ白な空間に連れて来られた。突然で理解が出来ないところに追い討ちを掛けるように白い老人が目の前に現れた。

その老人は厳格で荘厳で力の本流であると彼は思った。そして平伏した。

頭を下げる少年に老人は頭を上げるように言う。そして、語られる。

なんと言う御伽噺のような話だろうと彼は思った。当然だろう。老人は神で彼はその老人の代行として異世界で勇者として召喚されその世界にいる魔神を討ち果たして欲しいと言うのだ。これが冗談でなければなんだろう。

普通ならば、馬鹿げた話だと言い捨て協力なんてものはしない。その世界がどうなろうと自分の知ったことではないのだから。だが、彼は違った。

彼は迷わずに承諾したのだ。これには老人も少し驚いていたが彼の目が本気であると分かり感謝を述べた。

そして、英雄は彼の地へと降り立ち、魔神との戦いを繰り広げることになる。そして最後に勇者は神剣と自身の命を引き替えに神力結界を張り魔神を次元の隙間へと封印した。そしてその戦いを以って本当の英雄譚として世界の記憶に残るようになったのである。


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


「とまぁ、簡単に説明したらこうなる。魔神と勇者に関しての詳しい話は創造主に聞くとよい。お主に言伝を伝えたら待っておると言われたぞ」


しかし・・・話を聞く限り初代の勇者は随分と人が良いというか掛け値なしに勇者という感じだな。物語に出てくるような性格で俺としては好感が持てる人物だ。だけど、同時に危うい感じもする。自己犠牲が過ぎるというかなんというか

でも、英雄譚として世界に語り継がれるというのは純粋にすごいと思う。

と関心していると紅竜王は


「まぁ、紆余曲折はあったらしいがな。人の生としては荷が勝ちすぎるというかな」


それはそうだろう。神でなく人の身で世界、しかも全くの異世界の人の運命を託されるのだ。生半可な覚悟では出来ないがそれでも人だ。良くそれで折れなかったと思う。

だから尊敬もするが危ういと思うんだろうな。

もし、俺だったら・・・世界の命運を背負う覚悟なんてあっただろうか?分からない。が、最愛の人や関わった人たちが不幸になりそうになったら俺は・・・たぶん自分の身を犠牲にしてでも助けるかもしれないな


そこで気が付く。ガロンと初代の勇者。規模が違うだけで結局行き着く先は同じなのではないだろうかと。


「どうした?」


と、そこで紅竜王からの問いかけで我に返った。


「いえ、なんというか自分も人のこと言えないなと思っただけです。」


そう答えると紅竜王は首を傾げ(たように見えた)咳払いを一つして話を戻すことにした


「でだ、その勇者が封印したとされる魔神がどうやら本当に徐々にではあるが復活しようとしているらしくてな

創造主自身が来れば早いのだがどうにもそうもいかないらしい。よって此度も勇者の召喚がされたようだがその勇者が数十名というわけだ」


すごい衝撃的な内容だった。

えっ?魔神が復活しようとしてるの?まじで?なんか怖い!


「そ、それで勇者の召喚なんですね・・・」


もうなんというかこんな言葉しか出てこないですます。すごく動揺してます。ガロンです・・・ガロンです・・・


「それで、魔神の復活はいつかは分かるんでしょうか?」


「いや、創造主より復活にかかる時間はかなり先だということだ。完全に復活するまでに早くて5年とのことだ」


早急に対応が必要というわけではないらしいので取りあえず一安心といったところだろう。

だが、それでもかなり急がないとまずい。だが、神剣がないと再封印も出来ない・・・これは神剣を見つけないと・・・俺に神力があれば魔神が復活したとしても対処出来るだろうから良かったのだけど

あれ?でも、闇神屠ってるし実はいける?・・・とりあえず、帰ったらウェイスさんに聞いてみよう。


「事情は分かりました。帰ってウェイスさんに聞いてみることにします。妻達にも話さないといけないことですし・・・」


「当然であろうな。我はここで待っておるが故行って来るが良い」


そう言うが早いか紅竜王は地上に降り立ち翼を休めるためか丸くなった。

そして俺はそれを確認すると転移し・・・その前に一つ聞きたいことがあったのだった。


「一つお聞かせ願えますか?」


「なんだ?」


「ここに花が咲いていたと思うのですが今は咲いてないんです。原因は分かりますか?」


そう、俺たちの本来の目的が達成できないための質問だった。そしてそれは意外な回答で解決することになった。


「あぁ、それなら我がここの地脈と竜脈を止めておるからな。本来なら咲いているはずだが我が留守の間は止めておったのよ。我との戯れのあとちゃんと戻すので安心せよ」


「分かりました。実は王様より花の蜜が必要といわれておりまして困っていたんです」


「ふむ。確かにあの蜜は美味だからな。本来はあまり咲かせることはないが今回に限り地脈と竜脈を操作して幾分か多めに咲かせよう」


それを聞いた俺は「ありがとうございます!」と言い、改めて転移をした。




屋敷に戻ってきた俺は妻達に事情を話した。最初は驚いていたのだがそれぞれに徐々に落ち着きを取り戻した。


「じゃぁちょっとウェイスさん・・・神様にコールするから」


「「わかった(わ)」」


2人の応答を聞き俺は、システム画面のコールボタンを指でクリックする。

しばらく反応がなかったが少し待ってみるとコール先から反応があった。


『もしもしウェイスじゃ』


「ウェイスさん、俺ですガロンです。」


『おー声を聞くのは久しいの。その様子じゃとあやつから言伝は聞けたかえ?』


「はい。確かに受け取りました。それでいくつか質問がありまして」


『うむ。大体は察しておる。一つずつ答えよう』


「ありがとうございます。それではまず今回の勇者召喚についてお聞きしたいのですがウェイスさん自身がお連れになったのですか?」


『いや、今回はワシではないんじゃよ。正確にはワシは呼んではおらぬが世界の防衛システムとして外敵に対しての機能が働いた結果なんじゃがまぁこれはワシの責任でもあるかも知れぬな。それに始まりの勇者の願いがシステムに組み込まれてしまったのもあるのかのぉ』


「えっと、どういうことでしょうか?」


『およ?紅竜王(あやつ)に始まりの勇者のことは聞いたはずじゃが・・・あぁ、そうかさすがにあやつも生まれてない時代の話じゃったの』


「はい、簡単な勇者の経緯はお聞きしましたが詳しい話はウェイスさんに尋ねて欲しいとのことでした」


世界の防衛システムとか外敵にっての初めて聞いた。これってよく俺は外敵認定されてないな・・・ってそうかウェイスさんが直接送ってくれたからか


『ではまず、始まりの勇者に関しては魔神を封印することに成功したんじゃが封印した神剣も砕けて欠片がどこかへ散らばり魔神自体もそのまま捨て置いたらいつ復活するかもわからぬということであやつは自分自身の魂を賭して結界を張り出てこれぬようにしたんじゃ・・・本当に自己犠牲がすぎるやつじゃったよ』


当時のことを思い出したのかウェイスさんは少し感傷に浸っているような印象を受ける。だが、それも一瞬で言葉もその後はいつもの調子に戻っていた

てか神剣ってバラバラになってしまっているのか・・・


『まぁ結界を張ったはいいがさすがに魂の劣化が来て弱まっているんじゃよ。魔神もやられるばかりではないだろうし内で何かをしているやも知れぬ。先に伝えたと思うが持って5年じゃろう。』


さすがは神と言ったところだろう。やはり人知を超えている。そしてそれが解かれでもすればこの世界の人たちは一体どうなってしまうのか・・・


『でじゃ、そんな魔神を放っておくことも出来ぬから世界の意思というかシステムとして組み込んでおいたのが作動して初代と同じように異世界人の勇者を呼び寄せたというわけじゃ。さすがに数十名引っ張ってくるとは思わなんだがの』


「それなんですけど、ウェイスさん自身がこちらに来たら解決ではないですか?」


そうなのだ、相手も神なのだからウェイスさん自身が出張って消滅させれば早い話ではないかと俺は話を聞いた時から思っていた。

だが、ウェイスさんから帰ってきた返答は違う結果をもたらすことになった。


             

『それは出来ぬことなのだ。「自身が作った世界」には決して降臨してはならぬと神の誓約があってな。神罰しかり神体で世界に降り立つなんてことは出来なくなっておる

これはどこの世界でも同じでな。別の世界の話ではあるが過去に神が降り立って好き勝手に女性を孕ませまくってそれに気がついたその神の妻と夫婦喧嘩になり世界を滅亡させる寸前になったという事があって以降絶対に自身が作った世界に降り立てないようにしたんじゃ』


・・・・何してんの神様!?しかも世界滅亡の危機の原因が夫婦喧嘩って・・・ほんと何しちゃってんの!?


「ま、まぁそれなら仕方ない(?)ですね」

「そういえばですけど俺ってあのゲームでの話しにはなりますが闇神倒してますし魔神も倒せないんでしょうか?」


『倒せるとは思うが今のままでは無理じゃな。一応ゲームということであの世界では神魂レベルをつけておらなんだが存在する神にはすべてその神魂レベルというのが存在しておる。

これは単純にその者の資質や経験によって上がるものじゃ。当然魔神も神魂レベルはある。神力を持っておればある程度は対抗できるし始まりの勇者のように神力を擬似神魂とする役割を持った神剣(代用品)があるなら別だがの

誤算だったのは魔神のレベルが単純に高く封印するしか選択肢がなかったことかの』


そうか・・・考えてみれば当然だろう。あれはあくまでゲームだ。ゲーム内でそんなものが存在すると無理ゲーでしかないだろう。

これは俺にもどうにも出来ないかも知れないと考えていると


『ガロンの考えていることはわかるぞ。ワシは今は倒せぬと言ったであろう?

実はな、お主をアルフォンドへ転移させる時に神魂を渡しておってそれに適用出来るようにしておるんじゃよ』


へ?今、ウェイスさんはなんて言った?神魂が俺にある・・・?


『考えてもみよ。お主の持つスキル、魔法。覚えられぬはずのスキル、魔法といったものすべてが解禁されておったじゃろ?

あれはお主の中に神魂があることもあってのことじゃ』


「なるほど!じゃぁ俺も神魂レベルを上げれば魔神を倒すことが出来るというわけですね!」


『落ち着くのじゃ。確かにレベルを上げれば魔神を倒せる。だが、言うたであろう?神魂とは神が持つ魂のこと。

それはお主自身、神になるということじゃ』


俺が神に・・・


『思いとどまったようじゃな。お主の中に入っておる神魂はロックをかけておる。ワシがロックを解除せぬ限りお主が神になることはないようにな。

本当はこのことを最初に言うべきことではあったのだが失念しておった。元々お主は不死の身じゃから神にならずとも良いと思っておったんじゃが、今回の魔神の件もあってな

あと、お主の奥方たちのことじゃがお主が神になった場合は少し域は下がるがお主とほぼ同列の存在になる。まぁこれも元々お主と契りを交わした時点で不死王の寵愛で不死になっておるし変わりはないかも知れぬな』


すごく軽く言われてしまったが、そうか・・・元々俺は死なないんだ。アリーシャもシャルノも現時点ですでに俺の寵愛で不死だった。

ならば確認をして、許されるなら俺は・・・・人を助けれるなら・・・

そう思いアリーシャとシャルノに向き直した。


「アリーシャ、シャルノ」


二人も先ほどまでの会話はすべて聞いていた。そして彼女たちは笑っていて


「アナタの傍から私たちは離れるつもりはないわ。それは神になろうが変わらないことよ」


あぁ、なんていい女たちなんだろう。俺は幸せ者だ。ならば応えよう。

「ありがとう」

「ウェイスさん」


『うむ』


「魔神を打ち倒す力を。今度こそ、初代の勇者が成し遂げることが出来なかったことを俺がやります!」


この日、俺たち以外が知らぬ場所で俺は―――神魂を持つ不死の王となった


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


「ところで召喚された異世界の人たちはどこに?」


『うむ。もう既に召喚されてしまっておる。場所はここから一番近い王国の祭壇の間じゃな。既に神託ということで王国の王には伝えておる。

あとは一番近かった紅竜王にはお主に力を貸してくれともその時に頼んだのじゃ』


「まじですか・・・」


『あと、くれぐれもお主が神魂を持っていることは言わぬようにな。要らぬトラブルを引き寄せる原因になるやもしれん。

必要であると判断した時にのみ言うと良い。』


確かに要らぬトラブルは起こしたくない。しばらくは黙っているのが得策だろう


『あと、今回紅竜王が一番近いために先行して伝えておるが、あとの7竜王にも助力をしてもらえるように言うがよいぞ』


他の竜王か・・・あとで紅竜王に色々聞いてみようかな。

とりあえずは紅竜王と一戦やった後は急いで王国に戻ろう。とりあえず今は・・・紅竜王との戦いが先だ!


王都編 第9説「世界のしくみ」


おまけ

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


「ちなみに魔神の神魂レベルっていくつなんですか?」


『今はわからぬが、当時は確か500じゃったはずじゃよ』


「・・・・・俺、まだ1なんですけど」


『・・・・・ファイト!』


早まったかなぁ・・・


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

次回はバトル回!気合入れて書こうと思いますがお待ちいただくことになるかも知れません。

構想は出来てるのでできるだけ早く書き上げるようにします

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