王都編 第8説
短めです。
霊峰へと出発してから1時間くらい経っただろうか。高山病にならないように絨毯の回りに結界を貼りながら進む。
そして、さらに1時間くらい経つと日差しも傾き黄昏時が近づいてきた。と、そこで
「もうそろそろ夜だな。今日はここで降りて屋敷に帰ろうか」
「賛成ね。ずっと座っていたからお尻がちょっと痛いわ」
「私も同じだな。ずっと魔物に会わず座っていただけだから身体が少し訛っているかもしれん」
確かに今日は魔物とかにも会わずにここまで来た。その時少しだけ違和感を感じたがそれが何かはわからない。
普通なら魔物が出てもおかしくないはずなのだがどうしたことだろうか?まぁ、考えても仕方ないか
そう思い直し俺たちは地上に下りる
「さて、と。ちょっとここの位置を記録するからちょっと待っててくれ」
そう言いながら俺は転移ポイントである座標をチェックし記録する。そうすることで次の転移ポイントがここになる。
「よし、チェック完了。じゃぁ俺に掴まってくれ屋敷に戻るから」
言うより早くに二人がそれぞれ俺の腕に掴まる。そしてそれを確認すると俺は屋敷へと戻った。
それからは夕食を食べることになるのだがその前に軽く運動がしたいとのことでシャルノの剣の稽古に少しだけ付き合った。
改めて思うがシャルノは剣の才能が高い。刺突だけでなく俺が使ったなぎ払いや跳躍を使った自在な移動方法も加わっているため並の人間ならば何をされたかわからないだろう。
よしんば何をされたか分かったとしても対処が非常に難しい。
一段と腕を上げたシャルノとの稽古は本当に楽しかった。
「二人ともー。ご飯できたから来てー」
「「わかった」」
そして俺たちは稽古を終え軽くタオルで身体を拭ってから食事へとついた。
食事は食材が豊富にあるためかなり贅沢だった。味も美味しいため俺は一つ一つに舌鼓を打ちつつこれから向かう霊峰で避けては通れないある出来事があることを思い出した。
それを食事中には伝えることはせず、食後に紅茶もどきを入れてもらいそれを飲みつつ二人へと話題を切り出す
「二人はこれから行く霊峰について何か知っているか?」
突然の話題に二人それぞれ反応が違うがガロンの顔を見た
「私はあまり知らないわ。アルマルスからかなり離れているってのもあって御伽噺に出て来るような竜がいるっていう噂くらいね」
「シャルノはどうだ?」
「ん、私か?そうだな、アリーシャのいう通り噂ではなく本当に竜が住んでいるよ。紅竜王様といって昔から霊峰を管理しておられる竜だ」
実際には誰も見たことがないがなと付け加えた。
俺もそれに付け加えるように話を切り出す
「実際に紅竜王は存在する。が、さっき霊峰のところで魔力の索敵をしてみたんだがいなかった。どこかに行ってるのかも知れないし場所を移ったのかもしれない。
だけど、もし紅竜王がいたら俺に任せてくれないか」
「どうするつもり?」
「それは――」
翌日、再び転移したガロン達は霊峰の頂上に向けて出発した。
道中は昨日と同様に絨毯による移動のためすぐ様頂上へと到着し目的である花を探すことになったのだが見渡す限りでは辺り一面には見当たらない。
そこで俺たちはそれぞれ別に探し始めた。
しばらく探しているとアリーシャとシャルノがこちらへ向かってきた
「そっちはどう?見つかったかしら?」
「いや、まだだな。視覚範囲を広げて色々探してはみてるんだが見つからない。そっちはどうだった?」
「私たちの方も見つけられていないわ。もしかして時期尚早だったのかしら」
「いや、それはないはず。元々年中咲いている花なはずなんだが・・・」
「だとしたらこれだけ探しても見つからないのはおかしいな」
「確かにそうよね。ガロンは心当たりとかない?」
そう聞かれたが俺にも皆目検討が付かないため頭を悩ますことになる。何か・・・何かを見逃している気もするんだが・・・
違和感を感じつつも俺たちは探し続け太陽が真上にくる頃だろうかサードアイの索敵範囲ギリギリから大きな物体がこちらに向かってくるのがわかった
「アリーシャ、シャルノ。遠くから紅竜王がくる。先に屋敷へ戻っていてくれ」
「「わかったわ、くれぐれも気をつけて」」
軽く言葉を交わして二人は屋敷へと転移した。
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幾許かの時間が経った頃、ガロンの周囲を影が覆った。そして上を見上げるとそこには全身が紅くその姿は紅蓮の竜といった様な竜が空からガロンを見下ろしていた。
両者の目が互いを認識したところで紅竜王から口を開いた
「お主が創造主様の言っておられたガロンで相違ないか?」
その言葉に俺は驚きを隠せなかった。喋ることに対してではない。そんなものは目の前のこの竜にしては些細なことだろう。そこではなく『ウェイス』この言葉である。
まさか自分以外からその名を聞くとは思っていなかったのだ。なにせアルマルスの図書館で調べても創造主と言う言葉が出て来ることは出て来るがウェイスの名前が出て来るなんてことは一切なかった。
秘匿されている可能性もあるため絶対とは言い切れないが市販されているものでは見当たらなかったのである。
しかし、紅竜王の口ぶりからにするに極々最近俺の名前を聞いた感じである
「おい、聞いておるのか?お主であっているのかそうでないのか応えてはもらえぬか?」
「あ、あぁ。すみません。俺であっています」
俺の反応を待っていた紅竜王は安堵している感じである
「全く・・・ならば、すぐに返事をせよ。別の人間かと思うたではないか」
「すみません。まさかウェイスさんの名前を聞くとは思わなかったものでして・・・」
「なるほどの。あの方にお主の名を聞いたのも今日でな。しかもここに来ているということで急いでここに戻ってきたのじゃ」
今日かよ!ウェイスさんも存外に自由なお人というかお茶目な方だなぁ。てか、あれ?紅竜王ってこの辺りを住処にしてなかったっけ?どこかに行ってた口ぶりなんだけど
「まぁ良い。創造主より言伝を頼まれたので心して聞くと良い」
あ、なんかすごく嫌な予感が・・・
「分かりました。何かとてつもなく嫌な予感がしますがお願いします」
「まぁそういうな。これはお主だけの問題ではなく世界にとっても問題なのだ」
世界にとっても?一体どういうことだろうか。しかしその答えはすぐに出た。しかも全く想像していなかった方向で
「まずは、お主と伴侶に祝いの言葉を。お主がこちらの世界で満喫出来ているようで一安心だそうだ。あと、祝いの品をアイテム化して屋敷の倉庫に送ったらしいので後で確認してくれとも言われておる」
「ありがとうございます」
これは素直に嬉しい。ウェイスさん自身にも後で屋敷からコールしてちゃんとお礼を言おう。
「次に、お主に我の力を貸してくれぬかと言われておる。もちろん貸す貸さないは我の判断に任せるとのことではあるがな」
なんと!?この世界を熟知しているであろう紅竜王自らの力を貸してくれるとなるとこれほどまでに心強い味方はいない。是非に貸して欲しい次第ではある。
「貸してくれるならすごく嬉しいです。が、なにか条件があるのでしょうか?」
「うむ。我と一度手合わせをすること。それが第一条件だ。そして我にお主の力を証明してみよ。もちろん全力でな。お主が全力を出せる場所と仮に我かお主のどちらかが倒れてもその場所では決して死ぬことがなく気絶する程度で済む
お主は不死者と聞いているので死ぬことはないだろうがな。それでも倒れて気絶するくらいはしよう」
紅竜王と戦う・・・これは元より昨日の夜にアリーシャたちと話し合って決まっていることである。たそオンの時もイベント戦として紅竜王と戦ったこともあったし紅竜王自体も少し好戦的な印象だった。
なので昨夜のうちに予め二人にはそのことを伝え、戦う可能性があったために二人には避難してもらっていたと言うわけだ。
「わかりました。それでは早速」
「まぁ逸るでない。あと一つ言伝がある。それに今から伝えることが最も重要なことなのだ」
そう言えば世界の問題とか言っていたっけ。一体どうしたのだろうか
「実はな」
――――――――――――勇者召喚で異世界の人間が数十名召喚された
次回、紅竜王との戦い前までを描く予定です。
もう少しだけ勇者のお話を書いてからのバトルですけどね(´・ω・`)ショボーン




