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16話

トムキャット、舞う。

16話 雄猫たちの飛翔

8月21日

宮城~秋田中部では一進一退の攻防が続く中、太平洋のとある海域を空母とミサイル巡洋艦を中心とした輪形陣を組んだ艦隊が航行していた。

その中心に位置する空母を"あかぎ"と言う。そしてその周囲を1隻の戦艦と3隻の巡洋艦いやただしくは嚮導護衛艦が航行していた。

戦艦の名はえちご、巡洋艦はふそう、かが、きい。いずれも海上自衛隊いや、世界最強クラスの練度を持つ艦だ。

所属は海上自衛隊第3、4護衛艦隊で、むさし、ほうしょう、ながと、やましろに変わってこのこの海域に展開したのだ。

更にその周囲には護衛艦の嚮導艦を勤めるミサイル護衛艦しまかぜにその配下に護衛艦うみぎり、はるゆき、はまゆきが配備され、水中には原潜むつとみかさが位置し、最新鋭のおやしお型通常動力潜水艦おやしおとくろしおが位置していた。


そして航空護衛艦あかぎの甲板では世界最強の艦上戦闘機と称されるF-14の最新・最強モデルと言われているF-14DJ(スーパートムキャット)緊急発進(スクランブル)に備えていた。

あかぎブリーフィングルーム

『敵機多数探知、各員、航空機発進に備えよ!』

艦内放送でそう言われると俺、村岡俊二中尉、通称(TACネーム)"メテオ"は後方操縦士を兼任するレーダー手のクリップこと金村芳造中尉に対して「行くぞ!クリップ!」と言うと「おうよっ!」と金村は言い、俺の兄貴や金村の弟が所属する1993年に空自が採用したのと同じ緑色の耐Gスーツを着込み、俺はmeteoと書かれた、金村はclipと書かれた白いヘルメットを被り、部屋を出ようとする。

同僚隊員の中にはこの間の宮城県上空空戦で撃墜され戦死した自分の友人、同期、先輩や後輩、兄弟と撮った写真を御守りとして耐Gスーツの胸ポケットにしまっていた。

そして準備が終わった俺は髪の長いある操縦士に声を掛けた。するとその操縦士は長い髪を翻してこっちへ振り向く。

因みにその操縦士だが、明らかに男性ではなく女性である。

「な、って!村岡じゃない!」

振り返った操縦士で、俺の小隊の小隊長たるオリヒメこと戸島大尉は俺にそう言うと俺が「隊長、行きましょう!」と言う。すると戸島勇子大尉は「この間の空戦で私と同じF-14乗りだった兄が戦死したのよね…………」と言ってきた。

それに対して俺は「兄ですか。俺の兄貴も空自戦闘機乗り(イーグルライダー)だからいつ戦死するかわからない。俺の兄貴は"俺が戦死したらお前が生きて敵を葬るのが最大の弔いだ"と言っていた。だから敵を葬るのが隊長のお兄さんへの弔いになるでしょう」と言う。

すると隊長は「気が晴れたわ、村岡ありがとう。…………さて瀬田いくわよ!」

彼女はそう言うと俺の同期で彼女の機のレーダー手、瀬田卓治中尉(ジョーカー)も俺らと共に飛行甲板へと急ぐ。


そして操縦士たちがF-14DJやF/A-18AJ~DJに乗り込むと次々にトーイングカーで射出機の近くへ運ばれ、発艦に備える。

小隊長機(戸島大尉のF-14)が飛び立つといよいよ俺の番だ。

甲板上で射出機要員がGoサイン送ると俺はすぐに身を若干屈めつつ、操縦桿を強く握る。


その数秒後、俺の乗るF-14(愛機)は美しい入道雲とコバルトブルーの海とのコントラストが見事な空へと舞い上がる。

金村芳三(中尉)

海自343空第2中隊所属。F-14レーダー手で岩手県盛岡市出身。

海上自衛隊航空学校戦闘機科出身。25歳

村岡俊二(中尉)

海自343空第2中隊所属。F-14操縦士。

滝沢市出身で金村とは高校からの腐れ縁だったりする。

航空自衛隊戦闘機学校→海上自衛隊航空学校戦闘機科へ転科。24歳

戸島勇子(大尉)

海自343空第2中隊中隊長。村岡・金村の先輩。

岩手県盛岡市出身。女性初の海上自衛隊戦闘機乗りである。

海上自衛隊航空学校戦闘機科出身。26歳

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