63話 仲直り
イーギス様の胸の中で安心してると、ガラガラとドアが開いて顔を上げる。外はすっかり暗くなってて、顔はよく見えなかったけどフローラと王子とランパードが助けに来てくれたのだとわかった。
「よかった、ナターシャ様……イーギス様……」
フローラが私たちに駆け寄る。
「フローラ、どうして……」
「イーギス様と待ち合わせしてたのに来ないし、それに同じクラスの人たちがナターシャ様を閉じ込めたって聞いて……。そしたら王子とランパード様が一緒に探してくれたんです」
頬を赤らめて言うフローラ。フローラは今誰ルートに進んでいるんだろうか。
「私は助けてなんて頼んでないわ」
立ち上がって制服を整える。俯くフローラを見て、イーギス様が私の手を掴んだ。
「ナターシャは素直じゃないだけだ。助けてくれてありがとう、みんな」
「3人には罰を与えておきました」
ランパードが淡々と告げる。あの3人が罰を受けるなら、私もだろう。学園追放に婚約破棄、島流しもあるだろうか。
「ナターシャ、謝ったら?」
イーギス様が私の背中に手を置いて声をかける。私はイーギス様を見上げた。
「謝るなんて、そんな……」
フローラが戸惑って手を左右に振る。イーギス様が私に耳打ちをした。
「俺はどんな手を使われても、ナターシャしか好きになれないんだから」
まっすぐに言われて顔が熱くなる。でも、本当にそうだとしたら私がフローラをいじめる理由はもうなくて深く深くフローラに頭を下げた。
「今までごめんなさい。許されるなんて思ってないけど、フローラが羨ましかったの」
「ナターシャ様……」
フローラが前に出て、私の肩に触れる。
「顔を上げてください。私は、ナターシャ様とまた……お友達になりたいです」
「フローラ……」
なんて心が綺麗なんだろう。普通だったら、私だったらいじめてきた奴のことなんて許せないのに。花華の優しさに私はぼろぼろと泣いた。フローラが私を優しく抱きしめる。
「事情があったんですよね。わかってますわ。だからイーギス様もナターシャ様のことをフォローしてましたわ」
イーギス様が?顔を上げるとイーギス様は優しく笑う。その笑顔に私はまた泣いた。
「本当にごめんなさい、ごめんなさい……」
「もう十分ですわ」
私は何度も何度も謝る。フローラにもイーギス様にも。私なんかが、正規ルートのシナリオを変えようだなんて無理があったんだ。イーギス様には幸せでいてほしい、それは本当だけどもうフローラとの恋を応援できない。あんなにイギフロが好きだったのに……、私は変わってしまったんだ。
「フローラ、ナターシャは心から謝ってるんだ。嘘はないよ」
「わかってますわ。安心してください、イーギス様」
フローラに抱きついて泣きじゃくる私をイーギス様が引き剥がす。
「じゃあ体も冷えてきたし、俺らは先に帰るよ。今日は本当にありがとう、3人とも」
「気をつけて」
王子が言って、イーギス様が私を抱き上げる。涙が枯れてふらふらになって、歩けそうにもなかったから私はおとなしくイーギス様に運んでもらった。




