表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
60/66

59話 ナターシャ・ユーリティス


 クラスの女子に命令して、フローラへのいじめを開始する。朝早くからフローラの机に落書きしてくれたり服を破いてくれるから、私は見て見ぬフリをして登校する。


「セリ……、私の服が……」

「誰だよ!こんなことやった奴!」


 悲しむフローラにセリが吠える。私は肘をついてイーギス様を見た。イーギス様は興味がないのか動かないみたい。後ろにいた王子が席を立って、フローラに近づこうとした。


「きゃ、」


 私の横を通る王子に、私はわざと立って王子にぶつかりに行く。


「ナターシャ」

「すみません王子、でもあんな子に関わると王子の品が問われますわ」


 立ち上がって私を支えるイーギス様を無視して、王子の腕に自分の腕を絡ませる。王子が眉間に皺を寄せて私を見た。攻略対象に冷たい目を向けられるのはつらい。


「そうですよ、レオンハルト様。関わらない方がいいです」


 ただ、ランパードも同じ考えなのが心強い。王子はランパードに言われ、おとなしく席に戻った。


「それよりナターシャ様、何かしましたか?」

「私はそんな低俗なことしませんわ」


 ランパードがひそひそと私に聞いてくる。しらを切るとイーギス様が私の肩を抱いた。


「そうだよ。ナターシャを疑わないでくれ」


 イーギス様が庇ってくれて心苦しい。私はイーギス様を裏切ってしまっているから。失礼しました、と引き下がるランパードにひとまずホッとする。でも私は諦めない。次の日も次の日も、フローラへのいじめはひどくなる。私が目を背けたくなるようなことも、取り巻きたちはやってくれた。その度にフローラを助けに行こうとする王子にわざとぶつかる。


「ごめんなさい、王子。ぶつかってしまったわ。でもそんな子ほっといて私とお話ししましょ?」

「立場をわきまえるのはあなたですよね?」


 呆れたように言うランパードを無視して、王子に上目遣いをする。そうしてると首根っこを掴まれて持ち上げられた。


「ナターシャ、悪い癖が再発した?」

「あら、イーギス様」


 ゴォォォォと音でもしそうなくらい眉間に皺を寄せて、イーギス様が私を咎める。


「ここはイーギス様の助ける番ですよ」

「ナターシャ」


 私の言葉にイーギス様が目を見張る。それからイーギス様は私から手を離して首を横に振った。


「ナターシャ、俺のためを思ってならやめてくれ」


 苦しそうなイーギス様に私は胸を痛める。だけど、イーギス様が私と話してる間に、王子がフローラの方に行ってしまって焦る。王子は立場すらも気にしなくなっていた。


「そんなナターシャを見たくないし、君らしくもない」

「イーギス様は私の何を知ってるの?」


 ゲームの話も信じない、前世の私も知らない。そんな私にイーギス様は顔を歪める。私はフンッと顔を背けて、教室を出た。本当はイーギス様に冷たくしたくないけど、私はいつ自分の世界に戻ってしまうのかわからないのだ。そうでなくとも、ナターシャはイーギス様を幸せには出来ない。そんなこと、最初から決まっていたのだ。だけど、フローラをいじめればいじめるほど王子とフローラが接点を持つ。他人に興味がないはずの王子が、積極的にフローラを助ける。昔出会ってしまった時から、ルートは決まっていたのかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ