表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/55

49話 王子様


 王都について、馬車を降りる。今日はショッピングをするのが目的だった。目の前には色んな出店が並んでいて、ゲームで見た光景に目を輝かせる。


「イーギス様、あのお店なんかいいんじゃないですか?プレゼント」


 私はイーギス様に耳打ちをする。イーギス様はくすりと笑った。


「何か買ってほしいものあるの?」

「フローラにですよ。髪飾りとかどうですか?」


 イーギス様は私の手を掴んで出店の方に行く。フローラも私の隣をついてきた。イーギス様の隣には行かないか……。

 

「可愛い」

「そうですね」


 私は手に取ってフローラに当ててみる。


「フローラは何でも似合いそうだね」

「いえそんな……。ナターシャ様こそ」


 フローラがはにかんで否定する。イーギス様は私の後ろから手を回して、イヤリングを手に取った。


「ナターシャ、じっとしてて」

「私のはいいですから」


 せっかくフローラと仲を深められる機会なのに、イーギス様は私ばっかり。耳にかかる息が近さを感じさせてドキドキする。イーギス様は私にイヤリングをつけ終わった後に、くるっと私を振り向かせた。


「うん、似合ってる」


 これください、と店員さんに言ってイーギス様がお金を払う。イーギス様が私に懐くのも理解できるけど、距離近くありませんかね……?


「イーギス様……、恥ずかしいです」

「もっと恥ずかしがればいい」


 ちゅっと耳にキスをして、イーギス様が笑う。フローラを見ると、顔を赤らめていた。私はイーギス様を引き離す。


「近すぎますって!」

「いいだろ?俺とナターシャはフィアンセなんだから」


 恥ずかしがる素振りも見せず、平然とイーギス様は言う。私はフローラの後ろに回り込んだ。


「おじさん、これもください」

「はいよ」


 イーギス様はフローラに何も買わなそうだから、私が髪飾りを買ってあげる。


「はい、フローラ。プレゼント」

「あ、ありがとうございます」


 フローラが目を見張って、ゆっくりと受け取る。袋から金貨を出そうとしてたけど、私は断った。


「ほんとはイーギス様がやるんですからね」

「俺はナターシャにしか興味ないよ」


 イーギス様は私を姉だと思ってるのかもしれないけど、姉とはこんな距離近くない。それをイーギス様にもわかってもらわなきゃ。


「あっ」


 フローラがブレスレットを落としてしゃがむ。その後ろに見えた人にあ、と私は声に出した。その人はブレスレットを拾い上げてフローラに渡す。


「ありがとうございます」


 レオンハルト王子と従者のランパード。まさかここで出会うとは……。私はフローラの前に出て、王子に話しかける。


「奇遇ですね、王子も買い物に来たんですか?」

「ただの視察だ。それより気安くレオンハルト様に話しかけるな」


 無口な王子に変わって、ランパードが私を睨む。王子……、とフローラは呟いた。フローラは初めて会ったのか。ゲームでの初対面は学園に入学してからだった。


「イーギスはデート……?3人で?」


 王子がイーギス様を見て首を傾げる。イーギス様は私の手を掴んで持ち上げた。


「ええ。ナターシャはあまり王都に来たことがなかったので」


 そういえば家とグランドル公爵領の行き来だけで、落ち着いてどこか回るってことしなかったな。きっとそれは庶民のフローラも同じ。


「ランパード」


 王子がランパードに耳打ちをする。「ええっ!?」とランパードが驚きの声を上げた。


「……レオンハルト様も、一緒に回るそうです」

「え」


 それは……、ピンチだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ