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42話 13歳


 時は過ぎ、何も打開策は生まれないまま13歳になった。何度も何度もお父様にイーギス様の婚約者に戻してもらうよう直談判したけど、順調にエイシアとイーギス様は愛を育んでるようで私の話には耳を貸してはくれなかった。イーギス様がエイシアを好きになるなんてありえないけど、お父様にはそう見えてるらしい。今もエイシアは怒ってるというのに。


「何でイーギス様は私がいるのに、浮気をするのかしら!お父様からも言ってください」

「ははっ、男はたくさんの女性に愛されて価値が出るものだよ。でも一番はエイシアだ。それは変わらない」


 食事中にカトラリーでお皿を叩いてキャンキャンと騒ぐエイシアにお父様は微笑む。ギロッとお母様がお父様のことを睨むけど口には出せないみたいで、倫理観が終わってるお父様の話が延々と続く。最初は良いと思ってたのに、こんなお父様だったなんてがっかりだわ。


「早くイーギス様と結婚したいですわ。そしたら浮気なんて許しませんのに」

「あと5年の辛抱だよ」


 居心地の悪い食堂を後にして、私は部屋に戻る。勉強してたら来客が来て、私は招き入れた。最近遊んでるのは5人のモブ。大人になるにつれて子供騙しは通じなくなってきたから口以外のキスだけは許してるけど、正直悪女に染まってく自分が嫌だった。それもこれもイーギス様の婚約者に戻るため。私の恋愛経験値が上がれば、イーギス様の助けになると思ったからだった。


「ねぇ、トランプやりましょう」

「いいですね、ナターシャ様」


 基本的にはやりたい放題でナターシャの命令は何でも聞いてくれるけど、そうやって過ごす毎日はつまらなくて。何のためにこの世界に来たんだろうかと時々わからなくなる。イーギス様にも会えなくて、フローラの話では全くイーギス様と会ってないみたいでこの時間がすごくもどかしかった。


「ナターシャ様、いつまでこんなことしてるんですか?」


 フローラが尋ねてきて、取り巻きを家に返すとフローラが心配そうに聞いてくる。


「こんなことって?私は幸せだわ」

「でも、他の男性と遊んでてもイーギス様が悲しむだけですわ」


 俯くフローラに申し訳なくて、私はフローラを抱きしめる。


「イーギス様はね、フローラを愛してるんだよ。でもまだその時じゃないから今は他の女性で満たしてるだけ」

「ナターシャ様、何を言ってるんですか?」


 私のことは心配しなくていいから、フローラにはイーギス様のことだけを考えていてほしい。初めの頃は一緒にいた私と会えなくなって悲しんでただろうけど、3年も経てばそんな感情もきっと忘れてる。今はフローラを宥めることが先決だと思ったけど、フローラは私を押し返し肩を両手で掴んだ。


「イーギス様のことをちゃんと見てあげてください!ナターシャ様は鈍感すぎます」

「ちゃんと見てるよ」


 どれだけイーギス様のことを考え、何度イーギス様を見てきたことか。私以上にイーギス様を理解してる人はいない。


「ちゃんと、ちゃんとシナリオ通りに戻すから。絶対大丈夫だから」


 フローラは何も心配しないで。私の言葉になぜかフローラは涙を流す。純粋なヒロインには理解できないだろう。でも、絶対2人が幸せになる道だから心配しないで。怒ったように私の部屋を飛び出すフローラを見送る。あと2年。2年後が勝負の時だ。

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