41話 邪魔者
家に帰ってお父様とお母様に抗議したけど、エイシアの方が婚約者として相応しいと言うだけで私の話は聞き入れてはもらえなかった。それどころか部屋に軟禁されて、必要な時以外は廊下にも出してもらえない。これはゲーム側が私を邪魔者だと判断して排除しようとしてるのだろうか。だったら一体何のために、私はこの世界に転生してきたんだろう……。
「イーギス様……」
長い長い3ヶ月が経った。イーギス様は定期的にエイシアに会いに来る。行きも帰りも私の部屋を見上げて、イーギス様の姿を見ようとする私と目が合うけど言葉は交わせない。イーギス様の婚約者は悪役でなければいけない。だからエイシアの方が相応しいのだろうけど、それじゃフローラは正規の王子ルートに進んでしまう。それじゃあイーギス様は幸せになれないのに。
「私が悪女になるしかないんだわ……」
演技なんてしたことない。何が悪女か、乙女ゲームしか参考書がない。だけど、処刑されるのだけは避けたい。こんな状況になっても、私は甘い考えしか出せなかった。私の中の悪女といえば、いじめや犯罪。あとは浮気くらいで。犯罪はしたくないし怖いし、いじめもフローラ相手じゃないと意味ないから恥ずかしいけど男遊びをするしかない。散々イーギス様のイベントを見てきたんだもの。前世でも恋愛経験はほとんどなかったけど、きっと大丈夫だわ。
「イーギスにフラれて落ち込んでるかと思ってたら、お前は何考えてるんだ?」
まず最初にセリに手紙を書いた。男性を紹介してほしいと。てっきり連れてきてくれるかと思えば来たのはセリ1人で、開口一番呆れたセリフを言われる。
「だから、男遊びをしようと思って。セリも協力してくれる?」
「アホか」
セリの腕に絡み付いたらベリッと引き剥がされる。
「悲しいからって他の男と遊んでも気は晴れないだろ」
「悲しくなんてないわ。私がフったようなものよ。だって、イーギス様と婚約して他の人と遊べないなんてそんなのつまらないもの」
なんて言ってみるけどセリはバカじゃない。私の考えなんて見透かされてるだろう。セリを頼るのは無理そうで、セリを追い返して私は他の手を考える。幸い社交パーティーには必要だからと参加させてもらえて、そこで男漁りをした。
「ナターシャ様がフリーになって嬉しいです」
「あら、私もあなたに出会えて光栄だわ」
なんて言ってみるけど、攻略対象以外のモブは全員モブ顔でそそられない。なりふり構ってられないから、悪女らしく甘いセリフを囁いてみるけどさすがナターシャ。悪役令嬢だけあって顔も良いしスタイルもいいから受け身でも声をかけられる。こうして何人か男の人を引っ掛けては連れ歩いて、悪評を高めていく。高飛車なナターシャなら簡単には手は出せないと相手も思ってるから、冷たく突き放せば襲われることもないしなんてイージーモードなんだろう。だからこそ、なびかなかったイーギス様にナターシャはキレてたんだなって納得して、少しだけほんの少しだけナターシャの気持ちもわかったような気がした。とはいえ私はイギフロ最推しなんだけどね。




