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【アニメ2026年7月放送!】ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~  作者: ハム男
第14章 暗黒神アマンテと封印された肢体

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第919話 葉っぱの上の暮らし② 

 アレンたちはよぼよぼで腰が曲がった老婆と共に担架のような輿(こし)に運ばれる村長に連れられて村の中央に向かう。

 そこには他のどこよりも大きなテントのような建物があった。


「ささ、どうじょ、どうじょ。まだ片付いておりませんが。これ、暗黒騎士様がいらしたぞ!! すぐにお茶の準備をせぬか!! 取れたてのよく熟れたジャイアントレンゲの実をお出しするのじゃよ!! 傷んだものを出したらただじゃおかないよ!!」


「は、はい!!」


 腰が曲がった老婆と思えない声で叫ぶと至ることころから返事が返ってくる。


 大きなテントの中には10人近い村人が元々働いているのか、暗黒騎士がやってきたことで駆り出されたのか、慌ただしく動き回っているようだ。


(クワトロ、目の前のとんでもない元気な村長を鑑定してくれ)


 【名 前】バラサイ

 【年 齢】208

 【種 族】魔族

 【職 業】占星術師

 【体 力】1600

 【魔 力】2000+1800(スキル)

 【攻撃力】900

 【耐久力】1200+1200(武具)

 【素早さ】1600

 【知 力】2450+1800+3000

 【幸 運】1800+1800+6000(魔法具)

 【攻撃属性】無

 【耐久属性】無


(魔族って200歳くらいまでが寿命って聞いているのに結構長生きね。っていうか平均寿命超えた人初めて見たかも)


 村長は年齢をものともしない胆力で、杖を振り上げて先に向かわせた2人の村人が必死に炊事場や居間の片付けを指示している。


「入るぜ! なんか不思議な匂いがするな!!」


「お上がりなさいじゃて。これは特別で秘伝のお香での。儂ら村長の占う際の精神力を最大にするのじゃ。秘伝じゃが詳しく知りたいようじゃの。作り方は……」


「ふ~ん」


 タジンが村長の香の説明をほとんど聞かずにノリノリで入って好奇心のままに周りを物色する。

 少し遅れてアレンとイルゼも村長に言われて土間で靴を脱いで、初めて見るような模様の描かれた絨毯に上がった。


(土間、居間、炊事場、寝室がここから一望できる件について。トイレはさすがテントの外かな)


 デカいテントのような建物内にはプライバシーを守るための内壁がほとんどなく、ほんの心ばかりの敷居しかないのだが、どこか一体感があって違和感がない。


 連れてこられた居間の壁には何やら乾燥している長い枝が数本飾られている。

 その前には村長用と思われる座布団が置かれ、星3つの占星術師の才能がある村長が普段使うのか、カラフルな石ころが乗った小さなテーブルがある。


(これらは村長の仕事道具なのか)


 葉っぱの上には葉っぱの上の暮らしがあるのかと納得していると、イルゼから声がかかる。


「おい、アレン。ボーっとするな」


「はいはい」


「なんだ、その返事は!」


 怒り気味のイルゼをいなすと、さらに強めに返事が返ってきた。

 ただ魚神船に乗って以降、イルゼの言葉に嫌味や怒りといた険の部分が随分減ったように思える。


 それもあってかイルゼの怒りの限界を狙ってしまうのは仲が良くなったからなのかもしれない。


 壁際の座布団に村長が座ると、イルゼも正面の座布団に腰を下ろした。

 イルゼの右後と左後にアレンとタジンも席に着く。


 フードを被っているアレンやタジンに何度かチラリと視線を感じる。

 何やら気になることがあるが、暗黒騎士が来たことが優先されているのか、2人の風貌について質問してくることはないようだ。


「それで暗黒騎士様、何用でいらっしゃったのかの?」


「うむ、実は暗黒神様から命を受けて、我らは各大陸を回って問題を解決しているのだ」


 イルゼは先ほど、村の周囲を守っていた者たちにも説明した話をする。

 課題がどうとか報酬がどうとかそういう話はややこしくなるのでしない。


「なるほど、それは嬉しい限りだ。儂らは葉っぱがなければ生きていけないからの……。ほら、後ろでボーっとつっ立ててなくて暗黒騎士様たちにお出しするのじゃ」


 村長が言い切る前に数名の村人がアレンたちの前に1人用の配膳台が運ばれてくる。

 モモくらいのサイズの見たことのない不思議な果物が3つとお茶が乗ってある。


「おお!! なんだ、これは……。うめえぞ!!」


(まじでうまい。異世界ベスト果物のモルモの実を超えたかもしれない)


 シャリシャリ


 両手に掴んで交互にかじりつくタジンの目が輝く。


「それは良かった。それはジャイアントレンゲの実じゃの。とれたてなのじゃ。そのお茶はジャイアントレンゲの茎の煎じたものじゃて……」


(ジャイアントレンゲって実をつけるのか。まあ、植物だしな。っていうか毎回すごい説明されるな)


 アレンはSランクの魔獣と聞いているが、人々を襲うこともなくて貴重な食料にもなるのかと、ジャイアントレンゲの上での暮らしぶりを想像する。


 すぐに平らげ、お代わりを求めるタジンが村長に問う。


「なあ、おい。皆、葉っぱの上を移動してるのか?」


「そうなのじゃ。だいたい5ヶ月住んで、1ヶ月かけて移動してを繰り返していますの」


 勝手に質問したが、アレンも聞きたいことだったので問題はない。


「ふ~ん。何で移動するんだ?」


 そのまま質問を続けるが、イルゼが大事な内容だと思って聞き耳を立てていると村長は判断したようだ。


「ジャイアントレンゲはの。水中で魚神ミンギア様の恵みを吸収するため年の半分は水中に沈んでいるのじゃ。だが、水の中だけでは十分に大きくなれなくて年の半分はこのように海面に上がってくるのじゃ」


 タジンから聞かれるが、村長はイルゼに向かって丁寧に回答する。


「恵みとは魚神ミンギア様の鱗のことですか?」


「よくご存じで。そのとおりなのじゃ。鱗をたくさん吸収したジャイアントレンゲは大きく育ってたくさんの実をつけてくれるのじゃ」


(なるほど。魚神はあまり大神殿にいないんだな。大陸内を泳いで恵みを振りまいているのか。雷神は雷を大穴に振らせて、雷石とか造っていたからな。神々がそれぞれの方法で各大陸に恵みを与えていると)


 タジンが会話を広げて貰ったのでアレンが続けて質問する。


「移動は大変ですね。毎年、決まった葉の上に移動しているような感じですか?」


「いや、それは儂ら村長たちが占い、話し合って決めるの」


「占いって。具体的に何をどう占っているのですか?」


「は? 何を変なことを聞いている」


「たぶん、今回の問題解決で大事な話なような気がする」


「そうなのか……」


 イルゼは理解できないが、アレンに村長への質問を任せることにする。


「それで、どうやって占いで決めているのですか?」


「……それはの。まずは、儂ら村々は1つの町の指導の下にあるのじゃ」


「えっと村々の中心にある最も大きいのが町ですね。10の村を街が従えているんだとか大神殿で伺いました」


 アレンのいる巨大なテントの上空にいるクワトロが特技「万里眼」で周辺のジャイアントレンゲの上にある村々を認識している。


 アレンたちのいるミウタベ村は200~300人程度の村人がいそうだが、それら10の村に囲まれるようにひと際大きなジャイアントレンゲがあった。

 村々の中央に村の10倍以上の規模の人々が住んでそうな集落があった。


「それも出発の時期も占いですか」


「そうじゃ。10人で6人以上が問題ないと占えた場合に限り移動すべしじゃな」


「なるほど。移動の時期は分かりました。居住用にする葉っぱをどのように選んでいるのですか?」


「ぬ?」


「いえ、十分な大きさの葉っぱの数に比べて住んでいる町や村はとても少ないです。10分の1くらいしか人々は住んでおりません。これも占いで決めているのでしょうか?」


 クワトロの特技「万里眼」の範囲内だけで大きさは様々だが、1000を超えるジャイアントレンゲを見ることができる。


 大きな町の周囲には、大小様々なジャイアントレンゲがあった。

 9割近いジャイアントレンゲには人が住んでいない。

 このミウタベ村よりも大きなジャイアントレンゲがあるのにそれを選ばないのはなぜか、アレンは村長に問う。


「たしかに占いによるものじゃ。魔獣に最も攻められにくい葉を選んでいるぞい。魔獣に食われそうな葉は、たとえ大きくても狙われたら儂らは酸の海にドボンなのじゃ」


(この世界でも海に落ちることを「ドボン」と表現するのか。近くにSランクの魔獣が現われるパチャオ村の村長は筋肉隆々なバイソンの獣人だったが、葉っぱの選択が必要な村の村長は占いができると)


 この世界の海は酸の海で黄色や緑色をしている。

 そんな中でも耐性があるのか魚が釣れるらしい。

 漁師たちは海に落ちないようにしているし、毒耐性のワックスみたいなものを全身に塗っているらしい。

 これを塗ると1日は酸の海に耐えられるのだとか。

 なお、毒耐性のワックスの作り方は村々によって様々らしく、混血人の集落の者たちは漁業を覚えるべく、カラッタ村に教わっている最中らしい。


 さらに、村長は村々の事情によって適任者が違うようだ。


「なるほど……。具体的に見てみたいので占ってもらえますか?」


「構わぬが……。何を占おうかの?」


「そうですね。この葉っぱを狙う魔獣が何時襲ってくるのかとか」


(どんな占いかもそうだが亀の魔獣も知っておきたいしな)


「それなら今朝も占ったが何もなかったの。まあ良いか……」


 イルゼがなぜそこまですると思っていたが、村の安全を確かめる行為のためか、止めはしないようだ。

 村長はキラキラと色違いの石が乗ったテーブルから両手で掬うように全てを掴み取り、頭の上に拝むように掲げた。


 村長は目を瞑り、胸がパンパンになるほど、ゆっくりと息を吸い込んでいく。


 イルゼもタジンも、アレン同様に固唾を飲む。


「きえええええええええ! うりゃああああああああああああ!!」


「うお!? なんだなんだ!!」


 200歳を超える老婆とは思えぬほどの奇声を上げると、骨と皮だけになった腕を天井に向けて掲げた。

 石ころをにぎりしめる腕には血管が浮き出るのだが、一瞬の間の後、目をカッと見開いて力強く小さなテーブルの上に投げつけた。


 カン

 カツン


(ふむ、魔力を込められた石ころの動きが若干不自然だな。これは占星術師の占いの効果か)


 思いっきり投げたのに不思議とテーブルの外には出て行かず、何度かぶつかったかと思ったら、静まっていく。


「……こ、これは!?」


「いかがされましたか?」


 村長が目を見開くので、アレンは占い結果を聞く。


「馬鹿な! ありえぬ!! 今朝と占い結果が違う! 魔獣じゃ!! エルダータートル共がすぐに攻めてくるのじゃ!! 皆のもの! 魔獣が今にも攻めてくるのじゃ!!」


 村長は魔獣がやってくると叫ぶのであった。


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ヘルモードコミック14巻
発売日:2026年7月10日
ISBN:978-4803023379

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― 新着の感想 ―
さっそく力の見せ所だな
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