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【アニメ2026年7月放送!】ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~  作者: ハム男
第14章 暗黒神アマンテと封印された肢体

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第915話 イルゼの生い立ち

 イルゼはタジンに暗黒神の大神殿の大広間で行われた副騎士長のレヴィナとのいざこざについて、なんであんなことになったのか問われる。


 魚神船の夕食を食べる個室の食堂でアレン、イルゼ、タジンの会話が続く。


 難しい顔で話し合っているイルゼたちに尊重してか、担当のスタッフは無言で食べ終わった皿を片付け、新たに豪華な魚料理と肉料理をテーブルに運んでいく。


「イルゼの父親も暗黒騎士だったんだな! 父親とあいつの仲が悪かったのか?」


「おい、タジン。あまり、イルゼのこと、詮索するなよ」


 タジンは元々、暗黒騎士という特殊なことをしているイルゼが気になっていたようだ。

 これを機にあれこれ質問しようとするタジンをアレンは窘めた。


「良いのだ。正直、暗黒神様の課題に何も影響しないと思って黙っていたのは私だ。だが、いざこざもあり、……それにアレンの目的のためにも話すべき話であった」


「俺に何か関係しているのか?」


「そうだ」


 イルゼは追加料金のかかるお酒を金の装飾のあるグラスからゆっくりと口に含んだあと語りだした。


「私の父は先ほども言ったが暗黒騎士だ。ヴェンデルという名で、それも1万年以上もの間、副長を務めていた。暗黒騎士としてならもっとだな」


(実力のある暗黒騎士は寿命も伸ばしてくれると。っていうか、暗黒騎士は騎士長だろうと新人騎士だろうと殉職以外の死に方はないんだっけか)


「すごかったんだな」


 アレンはイルゼが話しやすいよう相槌を打つ。


「ああ、3万年前にヘルビーストが暴れた時、騎士長と副長の入れ替わりがあったんだが、その時の戦いにも参加している。残念ながらその時は副長の肩書きを得られなかったがな。父のヴェンデルは1万年前、副長に選ばれ、今いる暗黒騎士たちの多くを指導したのだ」


「すっごい父親だったんだな!!」


 イルゼの父の武勇伝にタジンは目を輝かせる。


「立派な暗黒騎士のようだな。レヴィナに何か恨まれることってあったのか」


「……はっきりとしたとは聞いたことがないから分からないが、レヴィナ副長は父に憧れていた。父を目指して暗黒騎士をやっていたと別の暗黒騎士から聞いたことがある。その父が二十数年前に私の母であるティアナと結婚して私を生んだ」


(あの副長の態度は憧れたもんじゃないだろ。イルゼに対してとんでもない憎悪を感じたぞ。人のまま神のように何千年も何万年も生きる弊害なのか、随分拗らせていたぞ)


「ティアナさんというのはイルゼの母で、クラシスさんの子供ってことだよな。お前を生んで憎んでいたのか?」


 タジンが首を傾げる中、言葉を選んでいるためか説明が足りないイルゼの言葉を理解しようとする。


「そんな単純な話ではないと思うが、レヴィナ副長からも他の暗黒騎士からも父が死んだのは『お前ら』が父を弱くしたんだとよく言われたな。でなければ、父が任務で魔獣にやられるはずがないと」


(お前らとは来訪者のことか)


 暗黒騎士たちからイルゼの父のヴェンデルはかなり慕われていたようだ。


 イルゼの話は続く。


「その父、ヴェンデル副長の後を継いで、新たな副長になったのは昨日会ったレヴィナ副長だ。任命式はとても睨まれたと母が言っていたな」


「あれ? なんでお前の母がいるんだ? イルゼの母も暗黒騎士なのか」


「10年前に父が死んで、その代わりに新たに暗黒騎士に任命されたのが母だ。母の任命式も一緒にやったのだ」


「え? じゃあ……」


 そこまで言ったところでタジンが今、イルゼが暗黒騎士をやっている理由に気付く。

 口にするとイルゼを傷つけると思って言い止めた言葉をイルゼは続ける。


「母は暗黒騎士の使命を全うした。私が母から5年前に暗黒騎士の使命を引き継いだのだ」


「じゃあ、お前に両親いないのかよ!!」


「そうだ」


 タジンがたまらずに声を荒げるが、イルゼに届いているとは思えない。

 だが、その表情はとても硬く、自らの感情を押し殺しているように見えた。


「母は人族なのに暗黒騎士になったのか?」


「暗黒神様の御力によるものだ。獣人が現在2人いるし、種族など関係ないことだ。母は魔族として生きよといったがな。この見た目だ。私は母が死んで魔族として生きると決めたのだ」


(それで混血人ではないと言い切っていたのか)


 イルゼの母は、自らの存在を贖罪のように感じながら、暗黒騎士副長の父と結ばれ、イルゼを生み育てていたのかもしれないとアレンは思った。


 母が死んで暗黒騎士になって5年間なのか、父が死んで10年なのか、それとも生まれてからずっとなのか、暗黒界を守ってきた偉大な英雄をたぶらかして殺した母子として生きてきたように聞こえる。

 針のむしろのような場所で侮蔑の言葉を浴びせられ続けるイルゼは、暗黒騎士としての使命を果たそうとしているようだ。


(父を失い、母も失ったのによく正気を保てたな。だが、イルゼが俺に関係するってことは)


「もしかして、イルゼが暗黒騎士の使命を全うすると……」


 アレンは言葉を選んでイルゼが暗黒騎士の任務中に死んだときの話をする。


「クラシスばあ様が暗黒騎士に任命されることも考えられるな。すまないが祖母を人間界に行かせてやれないかもしれない」


(それなのに雷王との戦いであんな無茶なやり方していたのか)


 自らの命を投げ出す勢いだったとアレンは記憶している。


「だったら、もう少し自分の命を大事にしてくれ。俺たちがいるんだからな」


「そうだぞ!」


 タジンも俺も言うぞと言う。


「分かった。まあ、2度転職できたのだ、熟練騎士になったとも言えるな。まだ、配属はないが5年でなれたのは私くらいだ。感謝しているぞ、アレンよ。我が相棒のコケトリスも転職して今ではSランクの魔獣だ」


「熟練の暗黒騎士か。熟練になると危険な任務で各大陸に呼び出しもあるんだろ。っていうか、そもそもあの副長たちはどこに行ったんだ」


 暗黒神のいる緊迫した場所だったので聞きたかったことを確認する。


「急に心配性になったな。だが、安心しろ。熟練になるほうが経験を積んで長く使命についているものだ。それで、レヴィナ副長たちはあのメンツや話からもペゲシアス大陸で『双竜狩り』にいったんだろうな。我らの次に行く場所だから、もしかしたら鉢会うかもしれぬ」


「なるほど……」


(だったら急いでこの大陸を解決させるか)


「再戦を考えぬことだな。暗黒神様がお許しになるとは限らないぞ。お前も暗黒神様の使命を与えられている。それだけを全うするのだな」


「それだけを全うするか。それでイルゼの両親を殺した魔獣は既に狩られているのか?」


 アレンはイルゼとの会話の中で何か隠されたところがあるなと思った。

 それが、アレンがペゲシアス大陸で双竜狩りを拒むイルゼの口調に読み取れた。


「……どちらも倒されていない。一時的にガディアック島にやってきた神化した『渡りの竜』に倒されたと目撃者の報告はあるな」


「渡りの竜……。別々の機会に両親ともにか?」


「偶然にもそうらしいな。我が両親に限らず新人の騎士を配置していることを魔獣たちも知っているからな。もしかしたらそれを狙われたやもしれぬ」


「暗黒騎士たちが倒していないならそいつはもしかしてペゲシアス大陸にいるんじゃないのか?」


 アレンは副長が双竜の戦いについて触れていたことを思い出す。


「そうかもしれぬ」


「良かったのか。海鳴石を求めて……」


「それこそ余計なお世話だ。私を見くびるなよ。敵討ちをするために私は暗黒騎士になったわけではない」


(だが両親を殺された理由も調べている。力をつける理由もあると)


「だが、望んでなったものでもないんじゃないのか」


「そうかもしれぬな……」


「いいじゃねえか。もしかしたらイルゼの両親を殺した渡りの竜がペゲシアスって大陸にいるかもしれないんだろ。しっかり報酬を貰って最後にペゲシアスに行って敵(かたき)を取ろうぜ!!」


 空気が重くなったところでタジンがイルゼの行動の核心をついてしまう。


(たしかにそのとおりだな。母は新人騎士だったかもしれないが、父は副長だったのに倒されてしまったんだろ。それに、両親を襲った魔獣はもしかしたら同一の個体かもしれないし)


「……私の両親の件はお前たちが仲間だから話した。渡りの竜についてもだ。暗黒神様の与えた使命が全てに優先されるのだ」


「そうだな。だが、使命の中で出会うかもしれない。さて、飯も食い終わったし、そろそろ魔獣を狩りに出かけるよう」


「おう! イルゼの敵も一緒に倒すぞ!!」


 会話をしながらもタジンが凄い勢いでテーブルの上の料理を平らげてしまった。

 既に料理は片付けられており、カットされたケーキとお茶が運ばれたのだが、それも全て食べ終わっている。


 また、夜とあって鳥Dの召喚獣に見張らせているのだが、ムラルガンの大穴の冒険者は宿場町に戻っており、自由に狩りができそうだ。


「……まったく私の話を聞いておるのか。だが、力が必要なのは事実だ」


 そう言って、イルゼは空になったグラスを振るう。


(かなり内面を踏み込んだ話をしてしまったな。これで連携して戦えるようになれば良いなと思うことにしよう)


 全ては人間界に戻るために暗黒界で活動している。

 だが、今回、踏み込んだイルゼの生い立ちは決して戻るための足かせにはならないと自らに言い聞かせる。


「酒を飲んだが戦えるか?」


「こんなの酔ったうちには入らんよ」


(まったく狩りの前に酒を飲みおってからに。お前は廃ゲーマーに入る資格がないからな)


 夕食後に狩りに行くことは伝えていたのに酒を飲みだしたイルゼをアレンは止めなかった。

 酒の力を借りてでも告白したい自らの生い立ちの話があったのだろう。


 こうしてイルゼたちは晩飯を食べた後、レベル上げのためムラルガンの大穴に転移する。


 なお、アレンは創生スキル上げが忙しいので、メルスやリオンにイルゼとタジンとの魔獣狩りを任せている。


 今晩はSランクの魔獣を優先して倒し、レベル60以上に一気に上げた。

 さらに翌日の晩は亜神級の魔獣を1体倒すとレベルが20アップするようで、2体倒したところでイルゼとタジンのレベルが92になった。

 また、アレンのレベルが10上がった。

 どうやら亜神級の魔獣は1体でアレンのレベルを5上げるようだ。


【アレンたち3人のレベルアップ状況】

・アレン 300から310

・イルゼ 1から92

・タジン 1から92


 倒した魔獣や雷石などはライバルトの街の冒険者ギルドで換金させている。


 またアレンは創生スキル6巡目のレベル7に達した。


・見た目がフェアリードラゴンの竜Hの召喚獣

 【種 類】竜

 【ランク】H

 【名 前】ハッピー

 【体 力】4

 【霊 力】4

 【攻撃力】5

 【耐久力】4

 【素早さ】5

 【知 力】4

 【幸 運】3

 【加 護】攻撃力1、素早さ1

 【特 技】幻影翅

 【覚 醒】混乱舞


【竜Hの召喚獣の特技・覚醒スキルの効果】

・幻影翅

 自らの幻影を周囲の敵に見せることができる

・混乱舞

 敵味方分からなくなり同士討ちさせる


 また、天使Gの召喚獣を召喚できるようになった。


【天使Gの召喚獣「魔法具(腰帯)」の効果一覧】

・体力30000 土属性吸収

・魔力30000 水属性吸収

・攻撃力30000 火属性吸収

・耐久力30000 無属性吸収

・素早さ30000 雷属性吸収

・知力30000 闇属性吸収

・幸運30000 木属性吸収

※成長レベル9まで上げた場合の効果


 イルゼとタジンを強化しつつ、新たに召喚できるようになった竜Hと天使Gの召喚獣の分析も怠らないアレンであった。


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ヘルモードコミック14巻
発売日:2026年7月10日
ISBN:978-4803023379

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― 新着の感想 ―
[一言]さらに翌日の晩は亜神級の魔獣を1体倒すとレベルが20アップするようで、2体倒したところでイルゼとタジンのレベルが92になった。  また、アレンのレベルが10上がった。  どうやら亜神級の魔獣は…
暗黒騎士の初代が、どのように選ばれたのか知りたいですねぇ。現在は暗黒騎士の親族(配偶者込み)が選ばれるようですが、最初の認定基準はなんだったのかは、実に興味深い。英雄が選ばれたのか、罪人が選ばれたのか…
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