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嘘告してきた女の子を助けたら懐かれた話  作者: 春井涼(中口徹)
第二部

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第六話-1 誕生日祝いはささやかに

 文化祭の片付けの終わったあと、俺たちはエイズフォーゲル菅野台店に集まった。前に天宮先輩とも来たことがある場所だ。いわゆる普通のファミレスだ。やたらめったら騒ぐようなところではないが、そもそも俺たちは、やたらめったら騒ぐようなキャラの人間ではないので、その点は誰も心配していなかった。


 結局参加したのは、美術部だと天宮先輩(主催兼場所提供)、凛、平井他名前の知らないウルフカットの後輩女子一名。文芸部は俺、白原と岩沢くん。化学部に至っては健人と後輩くんの二人だけ。一〇人切っちゃったよ、まあそういうノリ好まなそうなの多いもんなあ、変人部って良くも悪くも、マイペースで個人主義な奴多いから。


 想定外だったのが、健人がいるのに小西がついて来なかったことだ。絶対来ると思ってたんだけど、どうもクラスの誰かとの付き合いで、別の打ち上げに行っているらしい。そちらの方が先に決まっており、変人部の方は金曜日くらいに決まったことだったので、先約の方が優先されたそうな。白原と平井がセットなのはもう今更である。


 しかしまあなんとも見知った顔ぶればかりだ。この中で俺が名前知らないの、二人だけだしな。確か両方合宿には来てたはずだけど、名前を訊く機会はなかったのだ。化学部の後輩くんは少しだけ話したけど、美術部の後輩女子は本当に知らん。


「テーブル二つ確保してるから、自由に分かれて座ってね」


「だってよ、健人。これどうやって組み分けすんの?」


「何で俺に訊くんだよ」


「一番手慣れてそうだから」


 適当な印象である。この場合の適当とは、雑という意味の方だ。


「なんでもいいだろ、とりあえず一旦こことここで分割して、グーパーで分けよう」


「了解」


 健人の発案で一度二グループに分かれ、そこから半分ずつ人数を交換して、それぞれ席に着いた。まあこれも暫定だ、天宮先輩とか後輩女子なんて、「後で席移動しても良いもんね」とか言っているし。初期状態は、俺と健人と天宮先輩と後輩女子、別卓は凛と白原と岩沢くんと平井と後輩くん。組み分けが終わったとき、健人が露骨に安堵した。


「どうしたよ」


 と訊いてみると、


「後から気付いたけど、下手したら男一女四とかあり得たんだなあって思って」


 怖っ、やめろよおっかない。このメンバーなら誰と一緒になっても当たり外れはないと思うけど、少なくとも男一だったら肩身は相当狭かっただろうな。まず男女別に分かれてからグーパーやれば良かったのか、結果的には良い具合に男女ばらけたとはいえ。


 こちらのテーブルは、俺と健人、天宮先輩と後輩女子に分かれて座ることにした。ひとまず食事を注文すべく、メニュー表を開く。何を喋っていいか分からない、という問題もあるが、腹が減っているという重要な問題があるのだ。


「前に来たときは何食べたんだっけな、結構いろいろ食った気がするけど」


「東宮くんって意外と食べるよねー。僕と一緒に来たときのレシートまだ残ってるけど、見る?」


「別に見たいわけじゃないんですけど、残ってるんですか」


「ってか双矢、お前先輩と来たことあんの? 浮気か?」


「誰との何の関係における浮気だよ」


「そーだそーだー、みなみ先輩は年上派だぞー!」


「違うよ!?」


「えっ違うんですか!?」


 まあ前回の記憶は参照しなくていいや。どれにしようかな。あ、唐揚げ。そういえばこれ美味かったんだよな。とりあえず注文に追加しておくか。

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