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嘘告してきた女の子を助けたら懐かれた話  作者: 春井涼(中口徹)
第一部

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第四話-11

 で、再度屋台巡りに踏み出すべく、手を繋ぎ直したわけですが。


「「……」」


 これやばいな、何がやばいって色々とやばい。梨花と出掛けるときもよく手は繋ぐけど、まず手の大きさが全然梨花と違う。小さい妹の手じゃなくて、同級生の女の子の手の大きさだ。それに伴い、手の繋ぎ方も自ずと変わるわけで。


 梨花の手は小さいから、いつも俺の手ですっぽり包み込むような繋ぎ方をするか、梨花が俺の手の指を二本くらい握る形で手を繋ぐ。


 でも相手が御影になると、そのつなぎ方にはならない。というか、どうやって繋げばいいのか分からない。結果、今は握手でもするように、四本の指と一本の指に分けて右手と左手を連結させている、そんな状態だ。


 正直、緊張しすぎて手汗が大変なことになってる気がする。さっきから御影と目を合わせられない。というかこの繋ぎ方で人混みに突入して大丈夫なのか。今更になって手の繋ぎ方に苦心するとは思わなかった。


「下手したら、しっかり手を繋いでても、歩いてるうちに逸れるんじゃないか……? 梨花も、暴れたら落ちるから気をつけろよ?」


「暴れないよ?」


「そんなに心配なら、もっとしっかり繋いでみる?」


「え?」


 何をするんだ、と尋ねる前に、「そのまま手広げて」と御影に言われ、それに従うと、御影も自分の手を広げて指同士を絡め──、いやいやいやいやちょっと待てちょっと待てちょっと待てちょっと待て!


「こ、これなら大丈夫なはず!」


「おい無理すんな! っていうかこれ、いわゆるこ──」


「それ以上はだめ! あ、あくまでもお祭りで逸れないためだから。絶対逸れないためだから。それ以外の理由なんて、ないから!」


「分かってる! 分かってるけど! あの、これはいくらなんでも!」


 心臓に悪い!


 まったく本当に、御影ってたまにこういうことしてくるよな。本当にやめてほしい、勘違いしそうになる。好きになってしまう。まあこんなことを、面と向かって言えるわけはないんだけどさ。


 合宿のときもそうだ。夜中急に現れたと思ったら隣で無防備に寝るし、宿の朝食のときもしれっと隣に座るし。ばば抜きとワードウルフのときも隣にいたな。何これ、この子俺のこと好きなの? って。


 ……そんなわけないんだよなあ。落ち着け、俺。勘違いしても痛い目見るだけだ。あのときの件で、とっくに充分懲りたはずだろ。そう考えると、多少は落ち着いてきた。嫌な記憶もたまには役立つものだな。絶対に感謝はしないし、許さないけど。


 それに、嘘告白の後の呼び出しのとき、割と深刻にドン引きさせるようなセクハラ発言口走ったからな、俺。うむ、考えれば考えるほど、御影が俺のことを好きになる理由が潰れていく。これはこれできついな、どうしろってんだ。


「ま、ずっとこうしてても何にもならん。焼きそばかかき氷、どっちかに狙い絞って探しに行くか」


「それなら焼きそばがいいな。いきなり冷たいもの食べたら、お腹がびっくりしちゃう」


「お腹がびっくり……初めて聞いたけど、可愛い表現だな」


 でもまあその通りだ、まずはちゃんとしたものから食べた方がいいだろう。


 というわけで、俺たちは焼きそばにありつくべく、再び人混みに飛び込んだ。

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