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嘘告してきた女の子を助けたら懐かれた話  作者: 春井涼(中口徹)
第一部

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第四話-9

 そうこうしているうちに会場の鈴森神社に到着し、相沢が一言。


「おおー、やっぱり出店があると昨日より混んでるな」


 神社に至るまでの道もかなり混んでたので、何となく想像はできたし、まあそうでしょうねとしか思えん。それはさておき、


「お前、昨日も来てたの?」


「うん? ああ、結衣と一緒にな。昔共通で仲良かった友達が、お囃子やってるって言うからな。見に行ったんだよ。まあ見つけられなかったんだけど」


「お囃子って普通、地域ごとに分かれない? どこの地域か知らなかったのか?」


「昔見たから見れば分かるだろ、って結衣と話してて、結局見つけられなかったっていうおち。確認しとくんだったかなあ、しくじった」


 地域別に特徴があるとは聞くけど、実際服装も音楽も同じようなものだからな……素人目には違いなんてさっぱりだ。中学から高校だとしても見た目はかなり変わるし、無理もないかもしれない。


「まあそんなのはさておきだ、双矢(・・)、ここから俺とお前は別行動だ。しばらくはそれぞれペアで行動する」


「梨花は連れて行くが?」


「むしろこの人混みにちびっ子置いていかれる方が困る……ちゃんと連れて行け。七時くらいになったら境内の方の鳥居で待ち合わせな。それと」


「……?」


「手、ちゃんと繋いで歩けよ」




「じゃあ行くか」


「うん。……えっと、これ本当にこれで大丈夫なの?」


「何か問題が?」


「多分、こういうことじゃないと思うんだけど……」


「こうじゃないとも言われてない。つまり何も問題ないというわけだ。詭弁と言いたくば言え」


「詭弁だ……」


 どういうことかといえば、俺と御影は今、間に梨花を挟んで手を繋いでいる。正直、こうでもしなければ心臓がもたない。安全策だ。


「こうしておけば、仲のいい兄妹とか従兄妹にでも見えるだろ。実際俺と梨花は兄妹だし、一人増えたところで大して変わらん」


「それは変わると思うけど。でも、梨花ちゃんがいるなら、この方が自然かもね」


「そうそう、これが一番」


「私は、両手が塞がってると、あまり落ち着かないけど……」


 咄嗟の事態に対処しづらいからね。まあ滅多なことは起きないと願いたいけど。あとは、梨花がどれくらい妹として振る舞えるか。今まではほとんど、兄妹として外に出ることがなかったからなあ。未知数なんだよな、実はそこは。


「それに、精神的にも、これが一番楽だしな」


 すると、御影がおかしそうに笑っていった。


「わたしと手を繋いだら落ち着かない?」


「うるさいな、そうだよ落ち着かないんだよ何か悪いか」


「ふうん、そっか。落ち着かないんだ。覚えておこうっと」


 明日には忘れていてくれ……。


「さてと、まずどこから行こうか。御影、どこか行きたいところある?」


「うーん、とりあえず何か食べたいかも。焼きそばとかあるかな?」


「祭りに来たら、焼きそばは外せんよなあ。どこかにはあるだろうけど、どこにあるかな。梨花は……まあ訊かなくても分かるけど」


「私はなんでもいいよ、お兄ちゃん」


 そもそも天使は、本来食事要らないからね。それで、焼きそばか。お祭りで食べる焼きそばって、なんであんなにおいしいんだろうか。


「あとはかき氷とかも気になるかも」


「なら最初はそれ探す感じで行くか。俺も腹減ったし、腹ごしらえからだな」


 というわけで、屋台巡りに出発、したわけだけれども。

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