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嘘告してきた女の子を助けたら懐かれた話  作者: 春井涼(中口徹)
第一部

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第三話-2

 この合宿、参加するのは俺たち六人の他には各部活二名程度だけだった。おかしな話だ、三年生を除いても、変人部全員を合わせれば二九人いるはずなのだ。それなのに合宿の参加人数は一三人、どう考えても人数が少なすぎる。


 ということで整理してみよう。文芸部の一年生と二年生は合わせて一〇人、幽霊部員を除くアクティブメンバーは、俺と白原を含む四人、こちらは全員参加。


 化学部の一年生と二年生は合わせて五人、うち幽霊部員一名を除くアクティブメンバーは、相沢と小西を含む四人、こちらも全員参加。


 美術部の一年生と二年生は合わせて一四人、うち幽霊部員を除くアクティブメンバーは六人、この中から興味なしという一人を除く、御影と平井を含む五人が参加。計一三人。


 ……合ってる。


「じゃなくて! そもそも変人部の幽霊部員多くないか!?」


「それは私に言われても困りますって」


 合宿の話を梨花にしているうちに人数がおかしいことに気付いて計算していたのだが、やはり何度考えてもおかしいものはおかしいと思う。っていうか顧問が一番まともじゃない化学部がなんで一番幽霊部員少ないの!? 地味にショックなんだけど!?


 参加人数はどう考えても少ない。合同で行う理由は優等生的なそれっぽいものが掲げられていたが、参加するのは結局いつものメンバーだ。小田原のときとそう大きく変わらない。あのときは三年生もいたから、四四人中一四人しか来なくてさらにおかしかったけど。


「だとしても少なすぎないかなあ!?」


「双矢さん、近所迷惑になってしまいますよ」


「ごめん。というか梨花もうるさかったよね」


「私はあまり気にしませんが」


「この距離で?」


 夕食後、俺の腕の中にすっぽり収まった梨花が上目遣いにそんなことを言う。この距離で発狂されてうるさくないはずはないのだが、梨花が嘘をついているように見えないのもまた事実。


 それはそうとこの姿勢の梨花、破壊力高すぎるな。傍付きの義妹が今日も可愛い。


「栗饅頭食べる?」


「今の会話の流れからどうして?」


 天使に餌付けをしても仕方ないのだが、それはそれだ。栗饅頭がそこにあったのと、俺がまだ妹という存在をどう甘やかせばいいのか分かっていないのが大きい。


 二人で栗饅頭を食べながら、そのままの姿勢で話を続ける。


「では、双矢さんは、その合宿に参加されるんですね」


「うん、梨花に会えなくなるのが難点だけど」


 御影に聞かれた日には、またシスコンだと言われる気がするな。


「つーか謎なんだよな、参加するのが変人部の三部活に決まったの。化学部は塚本先生が言い出しっぺだから当然だし、鈴村先生は塚本先生と仲がいいから、文芸部が巻き添えを食らうのはもういつものこととして……変人部の顧問にしては唯一まともなはずの、美術部の高野先生まで懐柔されたのは何があったんだ」


 高野先生は美術部の顧問を三年くらい続けているようで、塚本先生や鈴村先生に比べればかなりの常識人だ。芸術系だから多少一般人とは感覚のずれたところはあるが、とにかくまともな人である。


 とても、塚本先生や鈴村先生(あんな人たち)に感化される人柄ではなかったはず。


 そんな話を、翌朝の教室で相沢としたところ、


「高野先生まで毒牙にかけたのか。まじで何しやがったあのクソ顧問」


 ご覧の通り、酷い言われよう。小西は御影にぺこぺこと頭を下げていた。うちの顧問がすみません、ということらしい。


 やっぱり夫婦だろこの二人。

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