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嘘告してきた女の子を助けたら懐かれた話  作者: 春井涼(中口徹)
第一部

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第二話-7

「おかえりなさい、双矢さん」


 なんかもう色々ありすぎて疲れた頭で帰ってきた俺を、梨花が出迎えてくれた。


「傍付きの義妹が今日も可愛い……」


「……はい?」


 しまった、声に出てしまったか。怪訝な表情で聞き返されて初めて気付いた。なんでもないと言ってからただいまと返し、そのまま玄関に倒れ込む。


 ──そういうわけにもいかないので、靴を脱ぎ、リビングに歩いて行ってソファに倒れ込む。もう何も考えたくない。今日はこのまま眠ってしまいたい……。


 仰向けに倒れたままのそりと持ち上げた片腕で目元を覆い、もう片方の腕はだらりとソファの下に垂らす。疲れてるときの安定の姿勢だ。


「今日はまた、随分とお疲れなんですね」


 そんな声に腕を下げてみれば、視界には天使が映った。いや、天使も何も大天使なのだが、まあそういう意味ではなく。やっぱり癒してくれる存在って大事だと再確認する。


 そのまま空いた手で梨花を抱き寄せ、身体の上に寝かせるようにして抱き締める。セロトニン補充。オキシトシンだっけ? まあなんでもいいや。


 天使の身体は実効体重零グラムらしく、こうやって上に乗せても全く重くない。そして、梨花は俺を拒絶しない。


 魔力使用者として保証されているご都合主義の塊みたいなこの存在が、疲れた今は何よりもありがたかった。梨花が傍にいてくれるというそのことだけで、魔力使用者になった幸運を実感できるというもの。ああ、癒される……。


 ──そのままの姿勢で動かなかったせいで、俺は眠ってしまっていたらしい。せいぜい三〇分程度だったようだが、寝落ちする前と同じ体勢の梨花が俺を起こした。腰の下にベルトがあるせいでちょっと痛いな。


「双矢さん、携帯、鳴ってますよ」


 言われて気付く。制服のズボンに入れていた俺のスマートフォンが、軽快な音楽を奏でている。LINER通話の着信音だ。


 寝起きでとても電話に出る気分ではないけど、それはそれとして、脚とソファに挟まれたスマートフォンのバイブレーションが微妙に気持ち悪い。放置するのも悪いか。


 梨花を解放してスマートフォンを取り出し、画面を見る。正確な時刻は分からないけど、もう夜の八時くらいだよな。


 こんな時間にかけてくるのは誰だ? そこまで遅い時間ではないし、小学生でもまだ寝てないくらいの時間ではあるけど……発信者は、御影?


「……もしもし?」


 寝転がったままの横着な姿勢で電話に出る。頭の周りに場所がないので、胸の上に置いてスピーカーホンだ。梨花は静かにしてくれている。何も言ってないのに本当によくできた天使だ。さすが大天使。関係ない? そうかもしれない。


「も、もしもし東宮くん? 今電話して大丈夫だった?」


「あー、うん、大丈夫……」


 そんなことより中途半端に寝たせいで頭が痛い。あと口の中が乾いて気持ち悪い。要件だけ早く教えてほしい。


「んでー、何の用?」


「あ、うん、あのね?」


 数秒の静寂。そして肝心の要件は、


「この間助けてくれたお礼、したいんだけど、なにかしてほしいことない?」


 またお礼かよ……。

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