第二話-4
レクリエーションが終わって解散すると、各自適当なタイミングで帰宅し始めた。中にはこの後、机で一緒になった人たちと食事に行く人もいるようだが、俺たちのところは今のところ、そういった流れはない。
相沢は小西と放課後デートしながら帰るらしいし、御影と平井と白原もどこかに寄って帰るらしい。なら俺は一人で帰ろうかと考えていると、天宮先輩に声をかけられた。
「凛ちゃんたちはみんなでどこか行くみたいだし、君は僕と一緒に来ない?」
まあ特に用事もないので誘いに乗ることにしたのだが……さて、先輩が俺に、一体なんの用だろう。梨花には、帰りが遅くなると連絡しないといけないな。
連れてこられたのはエイズフォーゲル。全国的に展開する、そこら中に──いやもう本当にそこら中に──店舗があるファミリーレストランだ。
二名で入店し、二人用の席に案内されると、俺は壁側に、天宮先輩は通路側の席に座った。壁側の席はソファ状になっていて、客の数によってテーブルを移動させることができる仕様だ。
腹が減ったので食事を注文すると、俺は本題に入ることにした。
「ええっと、天宮先輩? 今日は、なんで俺を……」
「うん、まあそうだね。お礼と謝罪とお願いかな?」
「お礼と、謝罪?」
俺、天宮先輩にお礼言われたり謝られたりするようなこと、何かしたっけ? 心当たりがないので、とりあえず話を聞くことにする。
「そう、まずお礼の方から伝えようか。凛ちゃんを助けてくれて、ありがとうね。そういえば、言ってなかったなーって」
「いや、別に、先輩にお礼を言われるようなことでは」
本当に、感謝されるようなことではないのだ。俺が気に食わなかったから、西園グループを捕らえた。それだけだ。
それに、そういうことにしておかないと、俺がただでは済まない。あの場では、魔力使用者として、銀魔力を使用したのだから。
「ううん、これは先輩として僕が言うことだよ。君は僕の可愛い後輩を、あの陰湿ないじめから救い出してくれたんだからさ。それに、救われたのは凛ちゃんだけじゃない。僕も同じだよ」
そういえば天宮先輩、去年御影と同じような状態にあったって言ってたな。ということは、それがなにか関係あるのだろうか。
「あの、先輩が去年受けてた、その……」
「いじめのことが訊きたいの?」
「あー、えっと……はい。その件、今回のこと相談してるときに一度だけ話に出てきましたけど、先輩のはどうやって解消されたのかなーと気になってて」
すると、本当に予想外の人物が登場した。
「……君、前の魔法使いについてはどれくらい知ってる?」
魔法使いというのは、前任の魔力使用者か? 俺はほとんど面識のないその人が、この件についてなんの関係があるのか。
「それは、正体が元化学部の先輩で、去年失踪したってこと以外ですか?」
「それじゃあ、鈴花ちゃんが立てた例の計画、その前例については?」
「それは、そういうことがあった、ということくらいしか」
天宮先輩が、僅かに考え込む仕草をした。どこまで話すか考えているのだろうか。九ヶ月前に平井が立てた、嘘告白の計画。……まさか。
「うーん、まあいいか。実はね、あの作戦を最初に使われたのは、僕だったんだ」
やはり、というか。今の話の流れでは、そういう答えが出てくることは、少し考えた。
「ということは、先輩を助けたのは」
「うん、君の前にいた魔法使い。僕の場合、嘘告白は事前連絡なしのぶっつけ本番で、相手を一息に捕まえるための手段でしかなかった。いじめの件は、そのまま隠ぺいしたんだけどね」
なんともまあ、すごい過去があったものだ。平井め、何が忘れて構わないだ。前任の魔力使用者、がっつり関係あったじゃないか。
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