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嘘告してきた女の子を助けたら懐かれた話  作者: 春井涼(中口徹)
第一部

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第二話-2

 小西に御影を紹介(?)した翌日、俺たち四人は放課後、美術室に集まっていた。例によって、変人部の会合──もとい懇親会である。


 今回は前回みたいな校外学習ではなく、校内でのレクリエーションだ。三部活混合の完全ランダムなグループ分けで、いくつかの机に分かれて遊ぶ形だ。グループ分けはネットのくじ引きプログラムを使うらしい。


 結果、俺の机で一緒になったのは、天宮先輩、御影、相沢、白原、平井の計六人だった。全員俺の顔見知りなところに大いなる意思を感じずにはいられないが、まあそんなことは些事(さじ)である。


 図らずも小西だけハブられたような感じになってしまったので、それだけは残念だったが。


「というか、白原以外嘘告メンバーじゃん」


「せやな」


 机は片側三人ずつ座れる長方形、俺は右端の席で、左には相沢、その向こうに白原、俺の正面に御影、対面真ん中に天宮先輩、俺から見て対角に平井が座っている。


 教卓には、いくつかのゲームが置いてあった。あの中からランダムにゲームが配られ、グループでプレイするらしい。トランプとか人狼とか色々あったが、俺たちのところに回ってきたのは、まさかの王様ゲームだった。合コン? なんでそんなもの用意してあるの?


 机で最年長者の天宮先輩が代表してゲームを受け取り、机の真ん中に置いた。


「やり方はみんな知ってるよね? 全員で一斉にくじを引いて、まず王様が名乗り出る。そして一から五の番号で指名して命令。ただし常識と良識の範囲内、公序良俗を逸脱しないこと。それ以外はどんな命令でも従うこと。じゃあ始めようか」


 さては慣れてるな。


「「王様だーれだ」」


 一斉にくじを引く。俺は四番か。ということは、王様は他の誰かということだ。


「あ、あたしですね」


 ……よりにもよって、こういうの好きそうな白原が引いたか。何を言い出すか不安だ。まだ最初なのだから、軽いやつを命令して欲しい。できれば四番以外で。


 白原と仲のいい平井も、俺と同じような懸念に行き当たったようだ。多分ものすごく警戒している顔だ、あれは。席配置の都合上、俺から白原の顔は見えない。何を考えているか分からない。戦々恐々としていると、ついに命令が出された。


「じゃあ一番の方、こちらのお誕生日席に移動をお願いします。王様になれるまでそのまま」


「千夏、それ、なにか意味あるの?」


 目に見えるほどの疑問符をばら撒きながら、平井が席を立った。手元のくじには、アラビア数字の『一』が。席替えさせられたのは平井だったらしい。まあルール的には、公序良俗に反する訳でもないし、こういう命令でもいいわけだ。意味は本当に謎だが。


「うーん、鈴花ちゃんが遠いよ……」


 いや、思わぬところに被害が出たな。図ったわけではないだろうが、効果はあったようだ。天宮先輩、もしかして平井のこと好きすぎないか。


「「王様だーれだ」」


 また一斉にくじを引く。俺は五番。王様は……相沢か。番号指名制じゃなかったら絶対俺が狙われてたな。そして肝心の命令は、


「じゃあ一番が、中学高校で取った、定期テストの最低点を暴露とか」


「止めてえ!? 僕それ六点なのに!」


 ノータイムで悲鳴が上がった。まさかの人物から。


「「みなみ先輩!?」」

「みなみ先輩嘘でしょ!?」

「天宮先輩勉強できそうなのに!?」

「うわあ、地雷踏んだか俺?」


「せめて笑いなさいよ君たち!」


「できる先輩」「やることはちゃんとやる先輩」感が強い天宮先輩が、まさかの定期テストで酷い点数を取っていた……。こんなに暴力的な一文は、なかなか発見できるものではないだろう。恐る恐るといった体で、白原が訊く。


「ちなみに先輩、それ何の試験だったんでしょう……?」


「中三三学期末、数学……」


「標本調査とか三平方の定理とかじゃないですか……」


 いくらなんでもそんな大惨事になるとは思わないだろう。もしかしてこの人、入試が終わって油断したんだろうか。文系の俺でも何となく考え方は分かる範囲だったが……。

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