表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘告してきた女の子を助けたら懐かれた話  作者: 春井涼(中口徹)
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/42

第一話-20

 菅野台高校の校舎は、ドアが鉄製で結構大きい音がする。こんな静かな状況で動かせば、嫌でもそちらに意識が向く。そこから出てきたのは三人の女子生徒である。何か見たことある気がするな。こいつらもクラスにいたんだっけ。


「はい引っかかったー!」

「ドッキリ大成功ー!」

「期待しちゃったねー残念だったねー!」


 うわうっざ。本当に嘲笑いながら登場しちゃったよ。さてはごみだろこいつら、言われなくとも躊躇(ちゅうちょ)なんかせんわ。平井は俺を、絶対的平和主義者か何かだとでも思ってるのか? 躊躇どころか一瞬で殺意湧いたんだが。


「お前みたいなクソ陰キャに相手に誰が告白するかっての! 現実見ろよ!」

「ってかお前、身長一七〇なくね? もしかして人権ないんじゃない?」

「自意識過剰乙ー!」


 あー、うるせえ。もういいかな? いいよね。


「梨花……やるぞ」


 小さく呟いて、俺はしなる銀魔力を三人の女子生徒に向けて放った。流石に殺したら問題になりそうだから、腹部を圧迫するように縛り上げる。


 銀魔力は魔力を物質化する魔法だ。こうして締め上げる際に結び目は作らないし、細い銀魔力の糸を集めた後ですべて一体化させることもできる。そして強度を上げれば、これは(はさみ)や電動(のこぎり)でも容易には破れない。


「現実を見るのはてめえらだよ」


 ぎりぎりと音を立て、銀魔力が三人の腹部に食い込んでいく。もうちょっとやってもいいかな? いいよね、先に非人道的な行為を働いてたのはあいつらなんだし。


「はあ!? なにこれ、全然取れないんだけど!」

「放せよクソっ、おい無視すんな!」

「っていうか、だんだん呼吸がしづらく……」


「あー、うるさ。やっぱてるてる坊主にしようかなあ……」


 もう何でもいいや、あとは膝を逆に圧力掛けて……。


「ま、待って東宮くん! やりすぎ、やりすぎだから!」


 両肩を掴まれ、俺はふと我に返った。肩を掴む華奢な手の先にいるのは、前髪で顔が隠れている一人の少女。そして目の前には、銀魔力が腹に食い込んで苦しむ三人の女子生徒。銀魔力が繋がっているのは、俺の右手。


 まさか俺は、怒りに任せて、また(・・)やってしまったのか?


 俺は慌てて、銀魔力を解いて戻した。そんな状況で、平井と相沢と天宮先輩が駆けつけてきた。


「東宮? まさかこれ……お前がやったのか?」


「……そうらしい。逆上して、殺す気で縛り上げてしまったみたいだ」


「おいおい、殺しちゃあ問題だろ。事実確認ができなくなるぞ」


「……そういう問題じゃないよ。被害者側が加害者になったら本末転倒でしょ」


「それもそうですね」


 平井たちは、「派手にやったなあ」という目でこの惨状を見ていた。それを救いと見たのか、咳込みながら派手にやられた方の三人が懇願する。


「助けて、あいつが急にウチらをワイヤーみたいなので縛り上げてきて……」


 だが、平井は取り合わない。


「残念ですけど、あなたたちが先に悪行を働いた証拠はここにありますよ」


 平井が示したのは、彼女自身のスマートフォンだった。そこに映し出されたのは、


「わたし、あなたのことが好きです。わたしと付き合ってください」

「俺も……俺も、御影のことが好きだ。だからその、付き合おう」

「はい引っかかったー!」

「ドッキリ大成功ー!」

「期待しちゃったねー残念だったねー!」

「お前みたいなクソ陰キャに相手に誰が告白するかっての! 現実見ろよ!」

「ってかお前、身長一七〇なくね? もしかして人権ないんじゃない?」

「自意識過剰乙ー!」


 俺が正面から映った映像だった。俺が背後を振り返ると、あの三人が映り込むように角度が計算されている。しかもこの画質……さてはあいつ、御影の胸ポケットに仕込まれたスマートフォンとビデオ通話で繋いでおいて、その映像を録画していたな?


 冷静に考えると、結構恥ずかしい台詞吐いてるな、俺。まったく、とんでもない茶番だ。


「平井、お前、ウチらを裏切ったの?」


 怨嗟(えんさ)の籠もった視線を向ける、加害者の女子生徒。だが、平井はどこ吹く風だ。


「そもそも最初から、私はあなた方の仲間になんてなってませんけど?」


「ふざけやがって……!」


 おお、こわ、こわ。いじめってやっぱり、碌な結末辿らないよな。

よろしければ、作品のブックマークやいいね・レビューなど頂けますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ