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嘘告してきた女の子を助けたら懐かれた話  作者: 春井涼(中口徹)
第一部

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19/40

第一話-18

 この日が来てしまった。


 何かといえば、勿論嘘告白の日だ。そして放課後だ。あと一時間程度で、俺は御影に嘘告白され、それを承諾し、嘲笑いながら登場する(かどうかは分からないが)いじめの主犯を三人捕縛し、更にその一連の様子を記録して証拠とし、先生に告発しなければならない。


 嘘告白以外の部分は立案者である平井や、天宮先輩(黒髪ボブカットの人、あとで名前を教えてもらった)、結局巻き込まれて協力者になった相沢も手伝ってくれるらしいので、俺一人の負担はそこまで大きいわけではない。


 とはいえ嘘告白は、俺と御影だけで片を付けないといけない。今まで彼女もいなかった非モテ陰キャの俺が、計画を聞かされているとはいえ、女子に告白されるのだ。これで緊張するなという方が無理がある。


 ちなみに、白原はこの件について全く知らないらしい。白原も先代魔力使用者とは面識があるらしいが、数回会ったことがあるだけで、詳しく知っているわけではないようだ。


 あとなんか、地獄の果てまで追い詰めると言わんばかりの怒気を抱えているようなので、もうそれ以上は先代の話題を出さないことにした。白原が怒ると怖い、世界が滅ぶ。


 文芸部の活動は、小説や詩の制作及びそれらを掲載した部誌の発行。これが本来の活動だ。だが創作家といえど四六時中何か書いていないと落ち着かない中毒患者など滅多にいないし、人とはむしろ、タスクがあるとそこから逃げたくなる生き物である。


 結果、部誌を発行する時期──新入部員の募集や文化祭など──以外は、適当に書き溜めては気分次第でどこかの出版社のコンテストに応募するくらいだ。


 でなければ各々好きな本を読んだり雑談をしていたり、あるいはカードやボードゲームをしていたりする習慣が出来上った。これ以上ないほど緩い部活である。


 俺も今から緊張していては仕方ないので、戸棚からトランプを取り出して白原とポーカーをしていた。高校生がやっていい遊戯なのかは分からないが、他に誘えそうな人もいなかったので、やることは限られてしまう。


 他の部員は昼寝をしている者が一人、スマホゲームをしている者が一人、あとは二人ほど、図書室に行ってしまっている。


 そういえば俺は、ポーカー(これ)を部長に教えられたのだが、白原は誰に教えられたのだろう。そんな余計なことを考えていると、


「フォーカードです」


「え」


 負けた? 俺が? ……いつの間に?


「クイーン三枚とジョーカー。お気の毒様ですね。先輩、今日は特に表情が読みやすかったですよ」


 俺は全てを諦めて手持ちのカードを投げ出した。似ている。白原の勝ち誇った笑い方が、平井のむかつく笑顔によく似ている。確か白原と平井は中学からの友人同士だったはずだ。さてはどちらかから感染(うつ)ったな。


「……ゲームを変えよう。他に一対一でできるのは……」


「およ、逃げるんですか?」


「悪いか」


 俺がカードから逃げると、白原は今度はチェス盤を持ち出してきた。


「じゃあこっちはどうですか? 東宮先輩、チェスできますか?」


「小学生のころ、父さんに叩き込まれたからな」


 三〇分後、再度負けた俺の叫びは図書室まで届いたという。部長に図書委員から苦情が来たそうだ。ごめんなさい。

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