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嘘告してきた女の子を助けたら懐かれた話  作者: 春井涼(中口徹)
第一部

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第一話-12

 むかつく笑顔の後輩こと平井鈴花とは別れてしばらく歩き、解散場所に合流。そのまま軽いミーティングをしてお開き。相沢と小西はまだ二人で小田原を歩くそうなので、俺は一人で帰ることにした。


 一緒に来るか、と誘われはしたが、そのままデートでもしてろ、と断って電車を待つ。平井に言われた計画のために、ちょっと考えたいこともあるしな。情報を外に漏らすな、とは言われたが、あの二人さえ除けば、俺にはそもそも話すような相手がいない。


 電車に揺られながら考える。銀魔力とは、魔力を任意の形状に物質化し、扱う魔法だ。大きさや強度を自在に変更でき、第三の腕や武器、ワイヤーなど、様々な応用ができる。初級の魔法でありながら、非常に使い勝手のいい魔法である……扱えるのであれば。


 悲しいかな、俺にはこの銀魔力という超初歩的な魔法すらまともに扱えない。炎は魔力を圧縮して放せばすぐにでも出せるから比較的簡単なのだが、これでは計画には全く役に立たないだろう。


 どうにかこの苦手を克服できないかな、と考えているうちに、結局結論は出ないまま自宅に着いてしまった。


「おかえりなさい、双矢さん」


「……ああ、梨花(リーファ)か。ただいま」


 考え事を続けていたせいでつい反応が遅れてしまった。今日はこんなのばっかりだ。


 玄関のドアを開けて出迎えてくれたのは、ややつんとした群青の瞳とサイドアップの銀髪が特徴的な少女(というか幼女)、梨花。魔力使用者である俺の傍付きの大天使で、従妹兼義妹という設定でうちに住んでいる。


 外では兄妹ということになっているのでお兄ちゃんと呼ばれているが、家の中では俺のことは双矢呼びだ。血縁のない幼女に常時お兄ちゃん呼びされると、変な扉を開きそうなので……。


 大天使というのは、無数にいる天使のうちで、特に魔法の扱いに長けている者が選抜される仕組みらしい。全体数は一三に統一されていて、魔力使用者にはそれぞれ一人ずつ大天使が付く決まりだ。


「双矢さん、何か悩み事ですか?」


 そしてうちの梨花は鋭い。隠し事が一切できない、とまではいわないが、大体のことはばれる。……敵わんな、まったく。


「梨花……俺に銀魔力が十全に扱えるようになると思うか?」


 相談というか泣き言、弱音みたいになってしまった。どうも俺は、全てを知っている相手に弱い。取り繕っても仕方ないと分かっていると、格好をつけることもままならなくなる。


 先代の魔力使用者はどうだったのだろう。俺のように、大天使には弱音を吐いてしまうような人だったのだろうか。それとも、魔法の才能に裏打ちされた自信を持っていたのだろうか。


 梨花は、俺の弱音を聞くと、やや考え込んで言った。


「双矢さんに銀魔力が扱えるようになるか、というと、すぐには難しいと思います。ただ、銀魔力は応用次第でかなりやれることの幅が広がります。十全に扱う、という目標を設定しても、十全の定義が曖昧になってしまうでしょう」


 そうか、勉強ができるようになりたい、といっても、目標にならないのと同じか。


 銀魔力は扱い方によって、身体能力の爆発的な向上や、中距離、近距離武器になったり、前述したように日常レベルでの便利道具になったりと、様々な使い方ができる。


 要するに、上達したい、ではなく、何ができるようになりたいか、という目標が必要になるわけか。


「双矢さんは、銀魔力を使って何ができるようになりたいんですか?」


 俺の思考を辿って、あえて梨花が要点を訊いてくれる。よくできた大天使だ、俺にはもったいない。


 でもおかげで、答えは出た。


「気に食わないやつを、まとめて縛り上げる技術が欲しい」


 魔力使用者として、俺は自分の欲望を口にした。

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