第一話-11
「でも待ってくれ、嘘告白って、そんなことが起きるのか? 仮に起きたところで……俺が標的として選ばれるのは確実なのか?」
嘘告白を利用して証拠を残す、という計画は分かった。いや、簡単に受け入れられるかと言われたらちょっと難しいけど、理解はした。でも嘘告白をさせるのはいじめをしている側だろうし、そこに干渉するなんてことが、果たして可能なんだろうか。
「当然の疑問だと思いますが、大丈夫です。過去にも似たような事例には対処したことがあるので」
「え、そういう実績があるの?」
「ありますよ。前回は嘘告される側に一切事前情報を提供できない状態でも成功しましたし。あれは正直、洞察力を信用したところもありましたけど……今回は、計画を事前に伝えられるので、成功する確率も充分高いと思ってます。倫理的にはかなりすれすれなところはありますけどね。失敗しても怒られるのは私だけなので、先輩は何も心配しなくていいですよ」
「いや、計画を呑んだ時点で俺も共犯だろ。失敗したら俺も処分は受けるって」
そう言うと、平井は驚いたようにぽかんとしていた。さすがに先輩として、そこのけじめはつけたい。後輩にだけ責任を負わせるのでは、あまりにも示しがつかなすぎる。
「本当に参加するんですか? 割とだめもとで持ち掛けたんですけど」
そっちか。
「いじめなんだろ? 知った以上、放っておけるかよ」
俺、そんなに薄情者だと思われてたのか……。さすがに凹むぞ。
「でも事情が事情なんだ、詳しい計画はちゃんと共有してもらう。俺だけが危険な役回りになっていたら、さすがに認められないからな。あと平井は俺の銀魔力をあてにしているみたいだが、俺はそれ、あんまりうまく扱えないぞ。そのあたりも含めて、計画を修正してもらいたい。だからまあ、なんだ。この条件を呑んでもらえるなら、俺は計画に参加する」
なんだか急に気恥ずかしくなって、早口でまくし立てた。平井は驚いたように瞬きして聞いている。悪いか、こちとら小西と白原と義妹以外の女子と話すことなんて滅多にない非モテ陰キャ様だぞ。しかもこんな真面目な長話なんてしたことないんだぞ。何か文句あるか!
……文句は出てくることはなく、平井は俺の条件を理解すると、ふっと笑った。
「東宮先輩、魔力使用者になってから半年経つのに、未だに銀魔力扱えないんですか? 雑魚なんです?」
「うるさいな、外れ値と比較するなよ。多分異常なのは先代の方だぞ。先代に比べたら、俺じゃなくても大体見劣りするだろうよ」
「それは間違いありませんね。私、結局今まで一度も勝てたことありませんし。普通の人なら蜂の巣になって即死するような弾幕張っても無傷なんですよ? 東宮先輩が勝てるわけないじゃないですか」
「……君はいちいち、俺を煽って遊ばないと会話もできないみたいだね。いいのか? 雪女って炎苦手なんじゃない?」
「私は雪女になって一年半ですよ。炎くらい、とっくに克服してるに決まってるじゃないですか」
「うわうぜえ、先代も手を焼いたんだろうな……」
ひとしきり馬鹿な煽り合いをすると、平井はスマートフォンを取り出し、LINERの個人コードを見せてきた。いつの間にか、周囲の喧騒が耳に戻ってきていた。
「それじゃ、詳しいことはLINERで伝えるので。情報漏洩したら証拠隠滅させてもらいますので、そのつもりでよろしくお願いしますね、先輩?」
……この後輩、なんてむかつく笑顔を習得してやがる。
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