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嘘告してきた女の子を助けたら懐かれた話  作者: 春井涼(中口徹)
第二部

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第六話-8

 数日間、休み時間のたびにそれとなく凛を観察し、気付いたことがある。


 重ね重ねになるが、凛はよく本を読む。休み時間は大抵鞄から本を取り出し、静かにページをめくっている。たまに表情筋がぴくぴくしているのを見るに、急に笑うのを必死で抑えていることもあるようだ。教室で笑い声を出すのは見たことがないので、結構頑張っているのだろうか。


 そして読書を中断する際はページを覚えて閉じているらしく、再開するときに、ページを行ったり来たりさせてから読み始めている。表紙や背表紙のタイトルを隠そうとする様子は何を読んでいても見られなかった。そこは気にしていないみたいだ。


「だとすると、栞かなあ。使わないならブックカバー渡しても困るだろうし、読書の続きがすぐに分かった方が便利そうだけど」


 帰り道、アリスのくまねこ書店に立ち寄って、栞を探してみる。そして困ったことが発覚した。ないのだ。何がかといえば、栞が、である。おい嘘だろ、書店なのに読書用品が置いてないなんてことあるのか。今まで自分で買ったことがなかったから気付かなかった。相武書店にも確かになかったけどさあ……。


 あるいは、栞って書店で取り扱うよりも、雑貨屋みたいなところでの取り扱いが多いのだろうか。どこに売っているんだろう。せっかく方向性が見えたと思ったのに、見つからないのは困る。ベンチを見つけてスマートフォンを取り出し、調べてみたところ、書店での取り扱いは確かにあまり多くないのだそう。


 ではどこに? 予想を付けたとおり、確かに雑貨屋みたいなところに置いてあるみたいだ。このあたりだと、レフト、素印逸品とかだろうか。なるほど、置いてありそうなところではある。っていうか、レフトならアリスに入ってたような?


 ……結論から言うと、行ってみたはいいが、栞は置いてなかった。付箋ならあったけど、今回探すのはそうじゃない。予定になかったけど、遠回りをして今度は素印だな。確かAtomに入ってた気がする。帰り道、既に遠回りをしているアリスからAtomへはなかなか大変だけど、今日中に調べられるだけ調べておきたい。


 三〇分ほどでAtomに到着。同じ時間があれば、アリスから自宅に到着できるような時間だ。まあそれはさておき、困ったことになったな。さらに三〇分かけて素印を隅から隅まで見てみたものの、どうも店舗として広くないのか、読書用品は置いていないようだった。店員さんにも確認し、取り扱いがない旨の返答があったので間違いないだろう。


 しかし参ったな、レフトと素印でも見つからないとなると、他にはどこにあるんだ? 他に思い付く雑貨屋といえば西ハンとかだけど、あれは近いところでも町田とか? 朝日出からだと用事一個のためだけに出かけるにはさすがに遠すぎる。電車の乗り換えも二回くらい必要だしな……。


 そして帰り道、さらに遠回りして駄目元で職林堂にも立ち寄ってみる。ここも書店だからな、栞が置いてあるとも思えなくなってきたけど、見れる範囲にあるので念のため。そして発覚する衝撃の事実。


「あった!? え、栞置いてあった!? しかも結構種類ある!」


 俺のこれまでの苦労は何だったのかと頭を抱えそうになる。まあ、見つかったからもうそこは良いか。棚の前で少し悩んだ末、俺は凛に電話をかけた。


「急にごめん、赤と青と緑と茶色とオレンジだったらどれがいい?」


『待って待って待って待って?』

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