表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘告してきた女の子を助けたら懐かれた話  作者: 春井涼(中口徹)
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/40

第一話-9

 俺は東宮双矢、地球上に五人しかいない魔力使用者だ。……何を言っているのか分からないと思うので、順を追って説明しよう。


 魔力使用者とは、地球上の人間のうち、死ぬまで無制限の魔力を貸与される、無作為に抽出された五人の人物を指す言葉だ。


 つまり、魔力使用者が継承される場合、先代の魔力使用者は死亡していることになる。というか、魔力使用者が一人死亡すると次の一人を選出して穴埋めをする。


 魔力使用者が存在する理由は不明で、こんな存在は当然公になっていない。魔力を提供してくれるのは大天使と呼ばれる存在で、彼女たちは、魔力使用者一人に対し、必ず一人が付く決まりになっている。


 俺の場合は梨花(リーファ)だ。人に見られたとき説明が面倒なので、中国で産まれた身寄りのない従妹が義妹になった、という設定になっている。


 魔力使用者は、大天使を介することで魔力を得てそれを使用できる。つまり、魔法が使えるということだ。


 その魔法を使ってすることに、自分の欲のために使え、という原則や、生命創造の禁止、などの禁忌を除き、制限はほぼない。何なら世界を手中に収めてもいいとすら言われたくらいだ。収めたところで何にもならないので断ったが。そもそもどうやって?


 魔法は万能だが、全能ではない。そして、一つ一つの難易度が非常に高い。俺は魔力使用者になって半年になるが、いまだに炎しか扱えないのだ。初歩の初歩とされている銀魔力──魔力を物質化して自在に変形できるようにするもの──ですら、俺は満足に扱えない。


 梨花曰く、俺は魔力使用者平均に比べてもやや適性がない方らしい。ただし、先代を外れ値とした場合だそうだ。


 先代を含めて平均を取ると、俺はもう、完全に適正なしの評価を受けることになるという。それどころか、平均を超える魔力使用者が少数派になるとか。……元化学部員らしいけど、先代何者だよ。


 そこに、平井の言う先代の話を統合してみる。つまり。先代魔力使用者は菅野台高校の元化学部員で、半年前に死亡……したと見せかけて生きているという。ここが分からない。


 先に述べたとおり、魔力使用者は死亡することで次代に引き継がれる。つまり、俺の先代の魔力使用者は、俺が魔力使用者になった時点で死んでいないとおかしいのだ。それなのに、平井は先代が生きているという。


「つまりどういうことだってばよ」


「仕事をしやすくするために、導線を残しておきたかったみたいですよ。まあ、詳しくは言えませんけど」


「でもなんで、平井がそんなこと知ってるんだ? ……もしかして、白原も知ってる?」


「先代魔力使用者とは、千夏も面識はありますよ。私が知ってるのは、その先代魔力使用者と深い関わりがあったからです。千夏に先代魔力使用者のことを訊くのはおすすめしません。止めもしませんけど」


「何者なんだ、その先代は?」


「許可が出てないので、それは言いません。でももう一つだけ教えてあげますよ。『異能力者に手を出すな』の警句は、私と東宮先輩を守るためのものだそうです」


「俺と、平井?」


「私も異能力者に含まれますからね。半年前には、私は菅野台高校を受験することを決めていましたから。なおかつ、私が扱えるのは魔法じゃないので、警句には『異能力』って言葉を使ったんでしょう」


「平井が、異能力者!?」


 思わず叫んでしまい、俺たちは周囲の観光客から怪訝な視線を受けた。ごめん平井、でもこれは許してほしい。


「どういうことだ、平井が異能力者って?」


「氷漬けにするって言ったのが答えですよ。私は雪女、後天的に妖力を得た、伝統的な日本妖怪です」


 俺の喉が、ひゅうっと変な音を立てた。これは、平井の異能力のせいではないと思いたい。


 やはり、この少女は俺よりはるかに強いのではないだろうか。というか、そんなことより。


「君、俺にそんな話をして一体何を企んでいるんだ?」


「簡単な話ですよ」


 平井は足を止めると、こちらを振り返って妖しく微笑んだ。


「今代魔力使用者の東宮双矢先輩、私の計画に協力してください」

よろしければ、作品のブックマークやいいね・レビューなど頂けますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ