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猫と僕と知らない世界  作者: シマタロウ
第一部3章:猫と準備と裏工作

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1-1:猫と新しい発見 もうこれはリア充と言っても問題無いのでは?

 今年は生まれて初めて友人と言える人が出来ました。


 そして、その人が生まれて初めての恋人にクラスチェンジしました。


 そんなわけで幸せ絶頂の依城です(なお過程で色々あった事は触れないものとします)

 いやホントよくここまで来たものだって感じですよ。いわゆるリア充って奴ですよ、リア充。これからは「いつもお一人様な自分」を恥じる必要なんて無いわけです。堂々と一人で飲食店だろうが、映画だろうと行けるんです。だって、その時に「たまたま独り」なだけなんですから。凄いですよね?


 私ってね、産まれは特殊だし、10代半ばから協会にいたしで、課長以外の人と話す機会って本当に少なかったんですよね。自覚は無かったですけど、たぶんずっと寂しかったんです。だから自分で予想してた以上にずっと嬉しくて。


 ・・・そういえば柏木さんも友人っぽいポジションにいますね、いつの間にか。どっちか言うと友人というより、距離感が少し微妙な間柄ですから・・・あれでしょうか?「彼氏の友人」という一歩離れた立ち位置でしょうか?

 つまり、大別すれば友人でいいでしょう。よきかな、よきかな。


 さて、そんな感じに有頂天に人生の素晴らしさを実感している私ですが、なんとこの度、後輩が出来る事となりました!ずっと課長と二人きり(事実上)だった日本支部に常駐で居てくれる後輩が出来るのです!


 ・・・今年は色々とありましたし、私も色々とやらかしましたので『流石に実務を出来る人が課長だけではどうにもならない」という事で本部から派遣されてきた人なんですけどね。

 前科が山ほどある極東支部への警戒というか監視というか、きっとそんな意味もあるのでしょう。まぁ、それは別に構いません。そんな事は別に問題ではございません!


 なぜならば!その後輩は!!新しく来る後輩は!!!私より一つ年下の女の子なのですから!!!!


 ついに、私にもガールズトーク的な事をする相手が出来るわけですよ!なんだかよく分かんない彼氏の生態(意外とほったらかしにされてるんですけど普通はこんなもの?)とかについて相談したり出来るわけですよ!!


 そんな風に思っていました。つい先日までは。


「ねぇ、先輩。自分がやらかした事の報告書ぐらいは自分で書かないとダメでしょう?支部長が代わりに書いてくれたからって、それに甘えて何もしないというのは違うんじゃないですか?」


 この私を詰めている人が後輩の藤野フミカさん(23歳)。欧州の本店から派遣されて来ました。真面目そうな顔立ちで、化粧もごく控えめ、髪は真っ黒のセミロング、眼鏡もかけていて、まさに出来るOLという感じの方です。偽OLの私とは大違いですね。


「ちょっと聞いてますか?依城先輩!」


「はい!・・・聞いてます・・・でも、もう済んだ事件の報告書なんて別にいいじゃないですか・・・赴任初日なんだし今日はこれぐらいで」


 そう、彼女は着任して自席に座る前から、私の指導を始めやがったのです。

 後輩・・・私の中の後輩という言葉のイメージが崩れていく・・・後輩・・・・怖い。


「言いたい事は分かるが、それぐらいにしてやってくれや。人には向き不向きってのもあるしな」


 課長によるナイスフォロー!・・・いえ、これ本当にフォローでしょうか?


「そうはおっしゃいますが、あれだけの大騒ぎをしておいて、周辺事情しか書かれていない報告書の提出だけで済まそうなんて虫が良すぎるんじゃないですか?結構な損害も出してるんですよ」


「それを言われたら・・・確かにその通りなんだが」


 課長が一気に追い込まれる。

 実際のところ、情報提供者の素性、赤松さんの事情、この辺りをぼかすと書ける事が正直あんまり無いんですよね。


「そこは、その通りだが・・・表立って書類には残しがたいが得られるものがあった、という事で納得してはくれんか?本部もそこは理解してただろう?」


「それは・・・まぁ、その通りですが」


 おぉ、流石課長。具体的な事は何も言っていないのに藤野さんを封殺しました。何かありましたっけ、得られたもの。いえ私は何も言いませんよ?大人しくしてますよ。


「・・・分かりました。では依城先輩の行動だけ追記して頂ければ、それで本部に話をさせて頂くようにします。ここは流石に譲れませんよ」


 なんですと?!私に何を書けと?!


「それは仕方ないな。おい依城!後で相談にのってやるから今日明日で形にしてしまおうや・・・出張の前にはちゃんと仕上げるんだぞ!」


「もう、支部長はまたそんなに先輩を甘やかして。・・・というか出張ですか?また何処かで殲滅戦でもするつもりですか?」


 この後輩は私を一体何だと・・・でも過去の行動を振り返ると反論出来ない!


「いえ、今回は殴り込み的な物ではなく、情報提供があった『霊装と思われる刀剣の調査』なんですよ」


 私への当たりは強くても後輩だ。優しく優しく回答してあげましょう。


「調査・・・なんで依城先輩が・・・あぁ、あれですか噂の赤松さんの絡みですね」


 頭の回転が良すぎる!!というか噂って何?!


「多少の公私混同は多めに見ますけど。そういえば赤松さんの話で思い出しましたけど、今回の件で何回か苦戦した事があるそうですね?」


「どうして、それを。私は何も書いていないはずなのに」


 そもそも私は殆ど何も書いていないのですけどね。


「柏木さんからの報告には書いてありましたよ?」


 そっかー。提出前に内容の確認ぐらいはしとくんだったかなぁ。


「はい、その通りです。2回とも赤松さんに助けてもらいました。今回の出張もその恩返しというか、更なる戦力の拡大を図るというか」


 赤松さんから柏木さんへのリクエスト。丈夫な刃物が欲しい。それに応えるために柏木さんが何処かから見つけてきたのが今回の案件です。何やらいわくありげな物らしいですよ?よく知らないですけど。


「・・・・・・・・」


 厳しめの後輩は無表情でこちらを見つめています・・・やめて!先輩のメンタルはそんなに強くないの!公私混同で旅行(出張)を楽しみにしている先輩をそんな目で見ないで!!


「それはそれとして」


 やった!話題を変えてくれた!!


「極東支部の最大戦力なのに依城先輩って隙が多いんですね?無名のポッとでの魔術師に2回も助けられるなんて」


「赤松さんは凄く強いですよ!」


「先輩も凄く強いですよね?」


「・・・はい、その通りです」


 返しが早い。そして的確。


「思うに、魔術師としての技能は高くても、実戦という意味では何処かに弱い面が残っているという事でしょうね。ご自身では弱点の心当たり的な物ってありますか?」


 どうでしょう?よく分からないですが振り返ってみると


「虚を突かれてから魔術を再展開するまでの間が少し長いのかも知れません・・・たっぷり3秒ぐらいはかかりますし」


 とりあえず魔術を常時展開する事で弱点を消したつもりなのですけど・・・妨害魔術とか使われる可能性もあるし


「3秒って・・・それは異常に速いですって。でも、そうなると、魔術が使えない状態から数秒凌げればいいわけで・・・そうですね、ちょっと近接格闘の訓練をしてみませんか?少しだけですが私がお手伝いできますので。たぶん依城先輩に必要なのはこれじゃないかなと」


 流れがよく分からないですけど、なんだか訓練を受ける感じです?

 確かに前の犬の時を思い出すと赤松さんみたいに体捌きで凌げてたら楽勝だった気がします。もちろん、あそこまで出来なくとも少しだけでも時間が稼げたら魔術でどうにでもなるわけで。


「ええ、お願いします。藤野さんのお手を煩わせない範囲で良いですので」


 とりあえずお願いする事にした。今後の事を考えても色々と試してみた方がいいとも思いますし。


「じゃあ、さっさと報告書を仕上げてしまいましょうか。今日中に完成したら明日から訓練に入れますからね。善は急げってやつです」


 締め切りが早まりました。

 ・・・この後輩ちょっと怖いかもしれません。

 


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