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猫と僕と知らない世界  作者: シマタロウ
第一部2章:猫と魔術師のお仕事

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90/100

エピローグ1 『うまくいって良かった』って事

 今回の顛末をまとめるのって俺じゃ無理と思うんっすよね。とは言え・・・

 依城さんは上の空。たぶん何日かは帰ってこない。

 赤松さんとクロちゃんは、そもそも大部分の記憶が無い。

 磐田支部長がまとめるのは流石に違う。というか、受け取る側。


 というわけで、消去法的に俺が今回の件の報告をどうにかしようとしてるんっすけど


「よく考えたら、大して何もしてない俺が何を書いたらいいんっすかね?」


 どうにもスカを引いているような気がする。でも客観視出来る立場という意味では俺が一番適任。・・・振り返れば今回の件で全体像を把握しているのって、俺だけかも知れないし。


 実際のところ、赤松さんが本当に記憶が無いかどうかは・・・ちょっと怪しい気がする。けど、仮に記憶があったとしても、それを隠す必要があるって判断してる時点で俺がとやかく言える事でも無いわけで。つまり、俺が頑張ったらいいだけの話なんっすよね?・・・分かっていても、なんだかやる気が出ないっすけどね!


「みんな今頃なにしてるんっすかねー」


 事件のヒアリング?反省会?が終わった後、俺たちは一度家に帰る事になった。一旦泣き止んだ磐田支部長が


「そうだ。柏木と赤松、お前ら家に帰ってもいいぞ。もう聞きたい事も聞けたし、本部への連絡と後処理は俺がやっといてやる。流石に疲れただろ、お前たちも。

 それに、依城。お前も今日は早く帰って寝とけ。今は舞い上がって気分も良いだろうけど、お前も昨日の朝から出ずっぱりだ。なんだかんだで疲れが出てくるぞ?」


「え?呼びました?」


「・・・撤収だ。今日はもう撤収。みんな家に帰ってさっさと寝ろ。俺も今日は寝る。疲れた」


 というわけで、その場は解散となった。


 依城さんが少しごねたが、赤松さんの説得(内容は知らないし、興味も無いけど)により納得。磐田支部長が仕込んでいた新幹線のビジネス回数券を手に俺たちは関西へと舞い戻った。

 ちなみに、別れ際に赤松さんは依城さんから、これでもかとばかりにお土産を持たされていた。本人に言うと否定すると思うっすけど、赤松さんはきっとヒモの才能があるっすね。いつの間にか面倒を見て貰っているパターン。


 そして帰ってきて独りになってみると・・・確かに磐田支部長の言う通り疲れが溜まっていたのだろう、やるべき事や考えておくべき事は色々あるはずなのに何のやる気も起こらない。というか、もう寝たい。


「別にいいっすかね」独りそう呟き、報告をまとめるために開いていたノートPCの電源を落とす。どうせ本当に大事なところは本部には連絡がいってるだろし、俺のは別に明日でも。

 そんな事を思いながらもツラツラと今回起こった事を考えてみる。


『謎の薬の蔓延』

 製造元と量産工場は破壊済み。重度汚染者も依城さんが全て処分済み。製法は流出した可能性有り。開発者は・・・一応不明の扱い。どうせ情報提供者とか言ってる人だろうけど。


『薬の製造元に技術提供した何者か』

 こちらは何の解決も無し。時系列から考えると前のテロ事件の黒幕である可能性が高い。異常に高度な霊装の準備をしていた事を考えると・・・案外、協会の誰かが関与してたり?きっと俺みたい下っ端が関わったら速攻で消される系の話なのだろう。よって、掘り下げない。


『赤松さんの正体』

 分かったところで、こっちとしては何も変わらない。赤松さんの強さを上方修正するだけの話だろうし。と言うか、既に滅茶苦茶な人だから、ちょっとやそっと秘密があったところで。


『狂犬依城さんに首輪が付きました』

 登場すると破壊と殺戮をもたらす極東支部最強に彼氏が出来ました。おめでとう。

 だいぶ前から赤松さんにしか制御出来てなかった気がするので、これも今更な気がする。・・・暴走時の相談窓口として赤松さんには頑張って頂こう。


 そして、最後に自分の事。今回の騒動で俺が手に入れた成果。

 赤松さんの霊装の燃料。白い犬から採れた魔力結晶。人間から少しずつ魔力を掻き集める事で高濃度の燃料を作り出す技術。

 この技術さえあれば俺の、俺の家系の大きな障害が一つ消える。すぐにリバースエンジニアリング出来るわけではないけれど、薬の方も含めてサンプルもあるわけで。まぁ、普通に考えたら時間の問題だろう。出来れば情報提供者ってのに会って教えを乞いたいところだけど、流石にそれは望み過ぎか。


 自分視点で見れば、今回の事件は少し持ち出しはあったものの『命の危険があるわけでも無いのに得るものは大きかった』というのが正直な感想。

 大きな観点で見たら、ヤバい薬が世に出回った可能性があるし、裏で糸を引いてる怖い人達の存在も考える必要があるのだろうけど、そこは依城&赤松コンビに任せておけば良いわけで。つまり『うまくいって良かった』って事っすね。


 だからこそ、雑務はさっさと終わらせて自分の研究に戻るのが正しいのだけど、どうにも気怠い。今までの疲労か、それとも昨日の酒の影響か。


「・・・飯食って寝るか」


 磐田支部長の言う通りだ。今日はもういいや。明日から頑張ろう、明日から。久しぶりにラーメンでも食べに行って、それで今日はもう寝てしまおう。


 明日出来る事を今日やる必要も無いのだから。

 


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