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猫と僕と知らない世界  作者: シマタロウ
第一部2章:猫と魔術師のお仕事

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6-1:猫と僕と彼女の気持ち 気がついたら、ここはどこ?

 目が覚めた。

 真っ白な天井、なんだかゴワゴワした寝間着、やけに薄い掛布団。

 何処だここ?病院?


「おはようございます。気分はどうですか?」


 ベッドの横から依城さんが僕の顔を覗き込んでいた。なんだか心配そうな疲れているような、そんな顔をしている。


「僕は・・・状況はさっぱり分からないけど大丈夫だよ。依城さんこそ大丈夫?なんだか疲れてそうだけど」


 表情もそうだけど、服はなぜか霊装だし、いつも綺麗にしていた髪もなんだかバサバサだし。


「ええ、問題無いですよ。昨日からずっと動き詰めで・・・ちょっとくたびれているだけです。ところで、どこまで覚えていますか?」


「爆発に巻き込まれて、なんとかビルから飛び降りて・・・ちゃんと覚えてるのは、そこまでかな」


「そうですか・・・もう気付いているとは思いますけど、ここは病院の個室です。昨夜から念のため入院という形をとらせてもらっています。もう傷は治ってますけど、無理やりな魔術の行使もあったようですので。

 ・・・・・今日はゆっくり寝ていて下さい、また明日も来ますから。・・・じゃあ、私は一旦帰りますね。おやすみなさい」


「うん・・・おやすみなさい」


 そうか。経緯はちっとも思い出せないけど僕が起きるのを待っててくれたのか。


「心配かけてごめん」


 部屋を出て行こうとする依城さんにそう声をかけた。


「いいんですよ」


 短くそれだけ答え、彼女は去って行った。


 依城さんにしては対応がアッサリ。怒らせちゃったかな。ほとんど記憶は無いのだけど、どうせ僕が何かやらかしたんだろうし。少し休んだらクロと一緒に謝ろう。

 そんな事を考えているうちに、その日はいつの間にか眠っていた。


 翌朝の目覚めは異様に快適だった。ずっと頭の中にあった重しが取れたような素敵な気分。

 とりあえずベッドから降りて深呼吸。

 クロは何処かなと・・・部屋の端っこに猫ベッド発見。まだ寝てるみたい。

 というか病院なのに猫いいの?個室だからってゴリ押ししてくれたのかな?まぁ、今更気にする事ないか。少なくとも既に一晩は経ってるわけだしね!


 というわけで、何の気兼ねも無くラジオ体操開始!音楽は無いけど、そこは気分で!一通り体もほぐれたので続いて腕立て伏せ開始!へいさへいさと順調に回数を重ねている最中、ドアが開いた。

 医者だった。

 大変に驚いた顔をしている。実に気まずい。

 とりあえず腕立て伏せを止め、服を整えベッドに腰掛ける。


「おはようございます、先生。もうすっかり良くなりましたよ」


「・・・それは何よりですが、まだ治療どころか検査すらしていないのですが」


 おっと先走り過ぎたぜ。昨日のうちに事情を確認して無かった弊害か。


「魔術師の方はこちらの常識では測れない事が多いですから・・・まぁ、良くある事ですよ」


 いや、流石にねぇだろ。入院した翌朝に個室で腕立て伏せしてるとかはねぇだろ。でもお言葉に甘えちゃう。


「ですよねー、はっはははは」


 笑って雰囲気で流す。


「じゃ、簡単にですけど検査しましょうか。頭を強く打ったと聞いていますので後でCTも撮りましょうね」


「まじっすか!どうりで記憶に欠落があると思ってたんですよ」


「・・・どの辺りの記憶が無いのですか?事故にあった前後の記憶でしょうか?」


「いえ、そこは覚えているんですけど、事故から後の記憶が全くないです。気がついたら病院のベッドの上で」


「あなたは昨夜、同僚の方と一緒に歩いてここに来たのですが、それも覚えていませんか?」


「はい、全く、これっぽっちも」


「あれですね、全然良くなってないですね。ちょっと検査を急がせましょう」


 というわけで午前中は全て検査で潰れた。病院の中をあっちに行き、こっちに行き、なんだか非常に慌ただしかった。ちなみに検査結果は全て白。完全な健康体。ちょっと記憶は無いけど問題無し。やったね!

 さて、そんなこんなで夕方には退院です。病院側からしても、こんな意味の分からん患者いつまでも置いておきたくはないよね。なんとなく事情は分かるよ。ややこしくて、ごめんなさい。それに、こっちも起きてから慣れない事ばかりで何だか疲れてきた。早く家に帰りたい。


 とは言え、退院の準備と言っても何をしたらいいのやら。荷物は無いし、服は戦闘用の霊装しか無いし。

 あれ?そういや確か霊装を着た状態で爆発に巻き込まれたような?よく見るとなんか服の形がちょっと変わってる・・・背中側にダクトテープ貼ってあるし。爆発に巻き込まれた後で別のに着替えてるか、修理するかしたのかな?

 爆発の影響で記憶が飛んだかと思ってたけど、実際は、その後に更になんかあって、そっちの記憶こそ完全に飛んでると・・・・怖っ!


 独りで抱え込むには辛い。というわけで、寝てるとこ悪いけどクロに共有しよう。軽く揺すりながら起こしてみる。


「クロやー、ちょっと聞きたいことがー」


 もぞもぞしている。もうちょっと強めに揺する。ユサユサ・・・・


「もう!まだ寝てるのに!」


 ご機嫌斜めな感じでクロが起きた。なんでだろう。クロの声を聴くのも久しぶりな気がする。


「爆発以降の記憶がすっとんでるんだけど、クロはなんか覚えてる?」


「さぁ?私もずっと意識無かったし・・・あ、でも・・・・」


「でも?」


「いえ・・・ちょっと長くなりそうだから家に帰ってからにしましょうよ。なんだか疲れてるから早くゆっくりしたいの」


 今の今まで寝てたじゃん・・・まぁ、猫だし慣れない環境だと疲れるのも仕方ないのかな?

 で、さっさと帰る用意を進めないとダメなんだけど、服どうしましょ?



 看護婦さんから迎えが来たのでロビーまで降りてくるようにと連絡があった。服は仕方ないので霊装を着ている。パッと見、ライダースーツか何かに見えない事も無い。だから問題は無い、かも知れない。


「うわ、なんで病院で戦闘用霊装なんか着てるんっすか?」


 迎えに来てくれたのは予想に反して柏木さんだった。というか自分でも分かってるからツッコむのやめて。


「あ・・・そっか服がそれしか無かったんすね。やる事があるにしても一回戻ってからにした方が良かったっすね」


 事情も分かってるなら尚更ツッコむの止めてよ・・・


「ごめん。ビルで吹っ飛ばされてからの記憶なくて・・・自分では事情が分からないんよ」


「マジっすか・・・それはキツイっすね。後で俺が知ってる範囲で共有するっすよ。結構ヘビーっすから覚悟した方がいいっすよ」


『っす』を連発されるとちょっと気になるなぁ。本人は敬語のつもりなんだろうけど・・・まぁ、いいか、好きでやってるのだろうし。


「じゃ、車を待たせてるから行くっすよー」


「了解。クロも疲れてるから家まで送ってくれるのは助かるや。ありがとう」


「・・・赤松さん、たぶん勘違いしてると思うっすけど、ここ東京っす。今から行くのも協会の支部っす。お家にはまだまだ帰れないっすよ」


「マジで?!・・・え?なんで?」


 とりあえず頭の上で寝ているクロがどんなリアクションをするかが気になるね。

 というか、ホント何してたんだろね、僕は。

 


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