第3話 これからの事
俺とレインは食事を終え、この後どう行動するかを話し合う事にした。この広大な死の森を闇雲に歩いても、抜け出せるとは到底思えない。魔法で俺とレインは空を飛ぶことも出来るが、この死の森での空はとても危険だ。何故なら、魔物の最上位種であるドラゴンが居るからだ。更にドラゴンの中でも、黒竜、白竜、赤竜、青竜の四種は人並みの知能を持っているらしい。これらの事を踏まえて、今後の行動を考えなければならない。
取り敢えずは、レインの考えを訊くべきだな。探索者として危険な事も数多く経験しているだろうし、この状況の打開策も見付けているかもしれない。
「お兄ちゃん、これからどうするの?」
「そうだな……。まずは、死の森にあるダンジョンを探す」
なるほど、ダンジョンの中にあるアレを使うんだな。
「ダンジョンを探すって事は、ダンジョンの中にある転移魔法陣を使うのね?」
「そうだ。ダンジョンには、一○階層ごとに必ず転移魔法陣がある。それを使えば、俺達の村まで戻れるはずさ」
確かにダンジョンの転移魔法陣なら、レインの言うように俺達が住んでる村サイダールへ戻る事は可能だろう。だが……。
「うん。ダンジョンの転移魔法陣を使うという案は、私も賛成だよ。でも……」
「でも、何だ?」
「この死の森のダンジョンが、どこにあるのか……。お兄ちゃんは、分かるの?」
危険な死の森の中を、あるかどうかも分からないダンジョンを闇雲に探すのはリスクが大きすぎる。
「ああ……。それなら、大丈夫だ」
え、マジで?
レインは立ち上がり、ある方向を指差した。
「こっちの方角にダンジョンはある。ここからだと、少し距離はあるが何も問題はないさ」
ダンジョンの位置が分かるって、こいつスゲーな。
「お兄ちゃんって、凄いね。ダンジョンのある場所まで分かっちゃうんだね」
「ダンジョンには特有の波動みたいなものがあってな。俺は、それを感知する事が出来るんだ。あまり距離が離れすぎてると出来ないが、どうやら俺達は運良く、俺の感知が出来る範囲内の場所に転移したみたいだ」
マジかよ、あっぶねー。天は俺達兄妹を見放さなかったって事か。
「お兄ちゃんは、やっぱり頼りになるね。お兄ちゃんが一緒で良かった」
「そうか。フェリスには、いつでもどこでも、俺が一緒に居るから安心してくれ」
「うん。ありがとう、お兄ちゃん」
いつでもどこでも一緒というのは問題発言だが、レインが傍に居てくれるだけで安心出来るのは確かだ。
「それじゃあ、ダンジョンへ向かうとするか」
レインは、俺に優しく手を差し伸べる。その手を、俺は掴み……。
「うん」
俺とレインは、死の森のダンジョンを目指す。