『世界観ノート』序章(3/5)「メタ層って何なのよ?」
中継セクターの休日。
三人は、それぞれ思い思いに過ごしている。
カノジョ「ねえ」
カレシ「なに?」
カノジョ「物語って、なんで増えていくの?」
雇い主「……今さらだな」
カノジョ「だって、『彼女の計画』を書いていたはずなのに、気づいたら『喫茶店』があって、『教室』があって、『時空』があって……」
カレシ「『読者地図』もある」
雇い主「答えを探しているんだな。でも、たどり着けない」
カレシ「だから、観測する場所が必要になったわけですね」
カノジョ「観測?」
カレシ「物語同士がどう繋がっているのか。何が残っているのか。どこから次の物語が始まるのか」
雇い主「そうやって生まれたのが、メタ層だ」
カノジョ「何なのよ、それ」
カレシ「御前会議ですね」
雇い主「物語紀行もそうだな」
カノジョ「それって物語の外側ってこと?」
カレシ「そうとも言えます」
雇い主「ただし、完全に外側ではないな」
カノジョ「どういうこと?」
雇い主「そこで話したことが、次の物語になることがある」
カレシ「観測したものが、新しい問いを生むこともありますね」
カノジョ「……じゃあ、外側じゃないじゃーん」
雇い主「そうだな」
カノジョ「じゃあ何?」
三人とも、少し黙った。
カレシ「……境界だと思う」
カノジョ「境界?」
カレシ「物語の中と外。その『間』にある場所」
雇い主「そこで物語を眺め、繋ぎ、問い直す。今話してる中継セクターもそうだ」
カノジョ「なんだか、ややこしいね」
雇い主「まあ、そうかもしれん」
カレシ「そして、物語が増えれば……」
カノジョ「増えれば?」
カレシ「誰かが、それを繋ぐ必要が出てくる」
カノジョ「……誰か?」
三人は、顔を見合わせた。
誰も答えなかった。
雇い主はトイレに立ち上がった。
――中継セクター世界観記録・終了。
『現象と哲学の狭間』
物語を描いていた。
いつしか、
物語を観測する場所が
必要になった。
けれど、外側から
眺めていたはずの言葉が、
また次の物語を生み始める。
内と外の境界は、
思っていたほど明確ではない。
――物語の外側にも、
物語は続いている。




