『世界観ノート』プロローグ【世界の入口】
【冒頭】
この記録は、中継セクターとX基地局で発信されたものを、あとから整理した過去ログのひとつである。
記録には、発信された順番がある。 けれど、それが世界の出来事の順番と同じとは限らない。
どこから読み始めてもいいし、途中で別の記録に移ってもかまわない。
最初に置かれたのは、世界が拡がった理由についての記録だった。
【世界観ノート|世界の入口】
なぜ、世界は拡がったのか
最初から、世界が広かったわけではない。
少なくとも、そう記録されている。
物語には、それぞれの世界がある。
登場人物がいて、出来事があり、始まりと終わりがある。
けれど、物語が終わったあと、その世界はどうなるのだろう。
誰も見なくなった場所は、なくなるのだろうか。
語られなかった出来事は、起こらなかったことになるのだろうか。
物語と物語のあいだには、何も存在しないのだろうか。
中継セクターは、そうした問いの向こう側にある。
ここでは、誰かが歩き、誰かが話し、何かが記録される。
時には、何も起こらない。
時には、何かが起きたような気がする。
そして、その違いは、いつも明確とは限らない。
これは、中継セクターに残された記録のノートである。
最初の記録は、世界が拡がった理由についてだった。
——なぜ、世界は拡がったのか。




