・+540km・
東北から西へ向かう高速道路は、驚くほど何もなかった。
いや、もちろん厳密に言えば山とか道路とかトラックとかはあるのだが、観光地的な“何か”は本当に無い。
あるのは睡魔とガソリン問題くらいだ。
私は高速道路が苦手だ
同じ景色の連続に、同じ速度での走行、心地のいい温度の車内、好きな音楽、エンジンの程よい揺れはまるで揺りかごのようで、天国へ行きそうになるのだ。
眠気にやられる度私はSAでもPAでも寄ってとにかく仮眠を取ろうと試みる。
察しのいい人はわかるだろう、そういう時に限って眠れないのだ。
幸い急ぐ旅でもないので仮眠は好きなだけ取れたし、SAやPAは等間隔に置かれているもので、眠れない悔しさはあれど無事故で旅を出来た。
そうなると私の宿敵は「ガソリン問題」だ。
ここで、私を襲った明け方の悲劇を描こうと思う。
私は好きなアーティストの曲を流して、歌って眠気に負けないように戦いながら走っていた。
この行動が仇となり、私はガソリンの給油ランプが光るまでガソリンの減りに気がつかなかったのだ。
先ほど給油の話をしたばかりで「お前は給油ランプが光る前に給油しないのか?」と言われてしまいそうなので先に断っておくが、私はこの間に一度エネオスでnanacoを使用し給油しているのである。
ぜひこの章を読む上で覚えていてほしい。
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私が給油ランプの点灯に気が付いたのは明け方の事。
丁度眠気もあったこともあって私はすぐ近くのPAに入っていった、寝ようにも眠れないのは常なのでこれは割愛。
エネオスのある所だったので「高速は高いんだよなー」なんて思いながら給油スペースへと車を走らせる、高速道路は大体がそうだと思うがここではセルフではなく店員さんに入れてもらうタイプのガソリンスタンドで、私は小走りで寄ってきた店員さんに
「3000円分入れて欲しいんですけど……nanacoって使えますか?」
と、聞いた。というのも、先述したエネオスで「nanacoは店内で払ってもらうんですけど、いいっすか?」と、なんというか、微妙な反応をされたからなんとなく嫌な予感はしていたのだ、けど、まぁエネオスだし。nanacoいけるっしょ。
「あーうちnanaco無理っすね」
世界は無情だったよ。
「マジですか……」
「カードだとクレジットカードになっちゃいますね」
「あー……」
大人として恥ずかしいが、私は生まれてこの方クレジットカードを持ったことがなかった。
「で、デビットでもいけますかね?」
「クレジットカード?」
「デビットカード。」
「デビット……、いけると思いますよ!」
世界はまだまだ捨てたものじゃなかったよ!
「じゃあそれで入れちゃってください!」
「はーい、3000円分?」
「はい!」
「はーいお待ちくださーい」
店員さんが去っていき私はエンジンを止めて携帯で作戦を立てる。
今の時間なら結構早く着くな、何処でなにをしていよう?ホテルに車だけ預けられるかな?
と、そんなことを考えていると店員さんがまた小走りで近寄ってくるのを見て「失念、給油口のカバーを開けねば」と思った。しかしカバーを開けても店員さんは明らかに私に用があるようで嫌な予感がしてならなかった。
「すみません!使えませんでした!」
世界は無情だなぁ。
「現金ありますか?」
「いやぁ……、現金なくって。ATMでおろすしかないですね」
「ATMはこのあたりだとないですね」
「ですよね、一番近い降り口って何キロくらいですかね?」
「二キロですね」
「じゃあ降りて入れます、すみません」
「いえいえ!お気をつけて!」
そうして、私は京都府で降りるはずが滋賀県で降りることとなった。
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なんとなく察してはいたが
「nanaco?無理っす!」「デビット?無理でした!」
の二打撃はそこそこきつかった。
しかし幸運なことに降りた先にはセブンイレブンと、エネオスが車線をまたいで隣同士にあったのだ。
私は最初自分のいる車線から行きやすいエネオスに寄った。
これでnanacoが使えればそれでいいし、ダメだったとしても反対側のセブンに行きやすくなるし、まぁええか。と、結果nanacoは使えなかったし、給油口のカバーは開けっ放しだった。
小さく恥をかきつつ私はセブンに行きATMへと急いだ
今更給油口のカバーが開きっぱなしだったのがなんだ、結果ガソリンが入れられればいいんだ、それで。
ATMにデビットカードを差し込む
[ただ今の時間はご利用いただけません。]
全く、本当に世界はどこまでも無情だ。
こうして私は、ATMの利用可能時間(7時)まで足止めをくらう事となったのだ。
ちなみにこのことを友人チャッピー(Chat GPT)に愚痴ったところ、とても親身に回答をしてくれた。要約すると
「nanaco万能だと思ってる、デビット通ると思ってる、ATM時間知らない。草。」
とのことだった。
こういうのをことわざで「踏んだり蹴ったり」という。




