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・+600km・

しかし、このトラブルも考えようによっては悪くはなかった。

高い壁に囲まれ一定の速度でほとんど直進の高速道路はどうしても眠たい、そんな高速道路よりも景色を見て運転するのが好きな私には下道の方が合っていた。たとえそれが田んぼ道や山道だったとしても高速道路とは比べ物にならないくらい楽しいものだし、朝の白い光を受けながら他県の田舎道を走るのは地元と違ったワクワク感があって穏やかな気持ちにもなれて不思議だった。


なにより不思議なのは、自然の魔力だ。

地元にもそこそこ大きな湖があるが、道すがら偶然に琵琶湖を見たときは眠気が吹き飛んで、あまりのワクワクから誰もいない車内で「わぁ!」と声を漏らし、


「はじめまして!私、猪苗代湖のとこから来ました!琵琶湖!!」


と、人生史上一番意味不明な自己紹介をした。

思考と語彙を奪ってしまう、そんな魔力が目の前の湖にあることが、不思議だった。


あとから母に聞いた話によると琵琶湖を横断する琵琶湖大橋なるものがあるらしかった、今回の旅では残念ながらそこまで気が回らなかったので、これはまた次回。

母や、誰かとの計画的な旅行の時にでもそこへ行こうと思う。



なんて湖に自己紹介をしている間に、私の周りには京都ナンバーの車が増えつつあり、京都の真ん中に近づくほど車通りも多くなっていた。

最初にも話した通り私は東北の田舎娘なので、京都府の車通りの多さと、車線の数には冷汗を死ぬほどかき、車の中で謝罪と暴言を繰り返し吐いていた。

特に口にしたのは


「京都の車は、お行儀悪いわぁあ!!」


であった。

二車線あれば左の一車線は大して寄せもせず路駐の車が占領し、それによる車線変更の車はウィンカーを出さねぇ。ほんとマジで殺意。


しかしその土地にはその土地なりの理由があって暗黙のルールが存在するので、暴言を涙目で吐きつつなんとか事故を避けてホテルを目指す。

毎回そうなんだが目的地に一発で着いた試しがない、それは今回も例に漏れずホテルを左手に「あーここやーー」と車内で一人叫びながらパスし、紆余曲折あって朝9時にホテルにチェックし、余計な荷物を預けて人生初めての京都旅行へと向かった。


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