・−10km・
文字通りの見切り発車で出てきたが、当然闇雲に走ってもうどんには辿り着けない。
ひとまずナビをセットしようと近くのコンビニに車を停めてアイスとカフェイン、あとnanacoにチャージをして、外での旅の準備をして車に戻ってくる。
私の車はNバンを軽く改良し、車中泊が可能なように常にアルミシートを敷いて運転席以外の座席は全て倒れた状態になっている。
私はその発泡スチロールの弾力を兼ね備えたアルミシートの上に座り、今まで一度も開いたことの無い日本地図を開く。勢い余りど真ん中から「ビリっ」という音が鳴ったが、旅にトラブルは付きものだ。一旦スルーする。
日本地図を見て改めて東北から香川県というのはかなり遠いものだった。
「京都も大阪もパスするんだ、京都いいなぁ。京都も行こう。」
この先の苦労も知らずに呑気な女だ。
先ほど買ったスイカバーをガリガリかじりながら悠長に計画を立てる。
まず高速道路で京都へ向かい京都を純粋に観光する、その後兵庫→岡山を通って瀬戸大橋を渡り、瀬戸内海を一望できるホテルに宿泊して、そのあとはいい感じに生きて帰ればいいや。
本当に呑気な女だ、一旦殴りに過去へ帰りたい。
しかしこの時の私は旅のワクワクに脳を溶かされていた、いわば脳内麻薬にやられていた。
こんな雑な計画でも立てた気になって、再び運転席についてエンジンをかけた所で給油メーターが点灯していることに気がつく。
この先を進んで高速道路に乗るまでに、ガソリンスタンドがないことを私は知っている。
私は給油のために来た道を戻り、自宅すら通り過ぎて、一番近いガソリンスタンドでレギュラーを満タンにしてからようやくスタート地点に立つ。




