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通しのイソコ
「ふう。ここが三面町か」
夜通し歩き続けた青龍
「どこかで休むとしよう」
安旅館で眠りについた彼。
だが
「ん?」
何かの気配を感じて目を覚ました青龍。その目に入ったのは
「だ、誰だ?」
相手は気にすることもなく
「坊や、噂の青龍ちゃんだろ?」
「な、何故それを?」
驚く彼に
「女将に聞いたんだよ」
「何? 今の世の中、個人情報にはとかくウルサイ……」
「まあ硬いことは抜きで」
そして笑顔で
「このイソコさんに会いにきたんだろ?」