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38.後悔先に立たず、でした。

 モコモコさん達を別室に寝かせて元の部屋に戻った後、私は黒髪の女性と改めて対面します。その、はずなのですが――近いです。女性との距離が!


 こんな風にあらゆる角度から観察、みたいな見られ方をしたのは初めてです。これはなかなかに居心地が悪いものだったんですね。

 寝ていたとはいえ、似たような観察の仕方を明さん相手にしたことがあるだけに、少し申し訳ないような気分になりました。

 自分で体験して初めてわかる感覚というものはありますが、やはり自分が嫌だと思うことは他人様にやっては駄目ですよね。今後は控えることにしましょう。なるべく、あからさまにならないように。

 明さんから微妙に非難するような空気が伝わってきましたが、知らん振りをしました。他人観察は、私の趣味と実益を兼ねているものでもありますから止められないんです。


 心の中で反省だけはしつつ、観察される状態に耐えることしばし。ようやく何かの結論を得られたのか、黒髪の女性が離れました。距離と一緒に視線も外れて、私はホッと息を吐き出します。


「なあ、長サマ。それでこのお嬢さんはいったい何なんだ?」

「……あれだけ不躾に眺め回してから告げる言葉がそれですか?」

 朱さんが呆れも隠さずに問い掛けます。

 それには私も同意しますよ。私の耐えた時間はなんだったのでしょう。

「そうは言うが、このお嬢さんの正体がまったく掴めなかったんだ。そう問いたくもなる」

「セリさんは今日からここであなたと一緒に働くことになっている方です。先日、お話しましたよね?」


 確認する朱さんに、女性は考える表情になったかと思えば、首を傾げました。

「このお嬢さんが? なんでまた――」

「露の紹介です」

 朱さんの一言で、女性は納得がいったようです。

「露サンのお節介か。元気にしてた?」

 そして、ここでも露さんのお節介扱いされています。どうやらこの女性も露さんの知り合いのようですね。


「声の感じでは、元気でしたよ。つい先頃、第十六回月樹街大闘争が起こって露が勝利したようですし」


 ……それって、私があの人外の者の街から出る切っ掛けになった、例の夫婦喧嘩から勃発することになった闘争のことでしょうか。

 第十六回って……すべての切っ掛けが二人の夫婦喧嘩だったりしたら、呆れを通り越して笑うしかないですよね。

 まさかね、と思っていると、

「おまえの考えは正しい」

 明さんが私にだけ聞こえる小声で教えてくれました。でも、あまり知りたくなかったです。そんな事実。


 げんなりとした気分でいると、黒髪の女性の視線が私に戻ってきました。

「そっか。変わらんね、露サンは。あそこの夫婦喧嘩は毎回派手だと思わないか?」

 笑顔で私にそんな質問を振らないでください。答えに困るじゃないですか。


「個人的な喧嘩に他人が絡むからタチが悪いんです。馬に蹴られるのが好きな方が多すぎます」

「夫婦喧嘩とは違います。種馬ごときが余計なことをするからいけないのです」


 私の答える言葉と、朱さんの訂正する言葉が重なりました。思わず、朱さんを凝視してしまいます。

 ……あなたもですか、朱さん。

 口に出そうになった言葉を、なんとか飲み込みました。

 そうですか。朱さんも露さんと同じタイプなんですね。今日もきっちり着物を着こなし生真面目そうに見える朱さんですが、根本的な考え方は露さんと同じ……。種族の違いって、難しいし根が深いです。私にはハードルが高くて、理解するのは当分無理そうですね。


「ま、いいや。で、このお嬢さんがここで働くのは良いとして――」


 私と朱さんの回答をサラリと流した女性が、朱さんからチラリと意味ありげな視線を一瞬だけ私に向けました。

 私がここで働くのは良いんですね。先程の反応からすると、反対しているのかと思っていました。でも、なんでしょう。あの意味ありげな視線は。

 女性が何を言いたいのか、私には想像もつきません。不思議に思って首を傾げました。


「まったく自覚がないようだが、このお嬢さんは術が効かない。いや、違うか。術を根本から消し去る力があるように思えたのだが、ワタシの思い違いかな?」


 確かに以前明さんが私には直接的な術が効かない、みたいなことは言っていましたけど、術を消し去る力とか言われても心当たりはないです。

 私は才能ゼロと明さんに告げられた身ですし、実際、そういうことに関してはまったくわかりません。


「術が使えなくなった、とは露から聞きましたが――どういうことでしょうか?」


 朱さんの追求先は、私ではなく明さんです。結果、物問いたげな視線が明さんに集中しました。ですが、明さんは気にした風もなく苦笑するだけです。

「明さん!」

 その反応は何か知っているけど、答える気がないということですか? それとも――明さんにもわからない、とんでもない事態が私の身に起こっているということですか?

「俺を見られても、な?」

 この一言で大体わかりました。明さんはこの質問の答えを知っています。その上で明言を避けている状況ですね、これは。

 私をチラリと見た明さんの暗緑色の瞳が、一瞬だけ笑み含んだようにすがめられます。


「俺がセリの世話をしているのは事実だが、何もかも知っているわけじゃない。露が、術が使えなくなった、と言ったのだからその通りなんだろ?」


 そう告げて、明さんは肩を竦めました。

 私からすれば、ものすごく胡散臭い、疑わしい仕草です。ですが、朱さんも黒髪の女性も、この言葉に完全に納得はしなかったものの疑いもしなかったようでした。


「使えない代わりに、その影響も受けないということですか……」

「いや、それだとお嬢さんの姿がおかしい。人間に擬態できているということは、本人に使えない以上誰かの術が掛かっていることになる。必ずそうだとも限らないのではないか?」

「………」


 どうしましょう。なんだか妙な展開になっています。それは困ったことではあるのですが――そんな場合ではないと思いつつも、黒髪の女性の言葉に気分はとっても複雑です。

 あのですね、私の姿はこれが自前なんです。擬態、ではなく。

 そう告げれば、いっそう妙なことになりそうですから我慢しますけど。けど、ですね~。


 明さんが笑いを堪えるような顔になったのを見つけて睨みつけます。

 ここで笑ったら二人に怪しまれるのも確かですが、何より私がブチッとキレそうです。明さんは私よりも私の事情をわかっていますからね。

 これは私のための措置。わかっています。

 でも、この点に関し、いまだに感情はそれほど割り切れていません。私がうっかり余計なことを言わないためにも、怪しまれるような態度は厳禁ですよ、明さん。


「あの、私にはよくわからないんですが、私の状態はここで働くのに問題になりますか?」


 心の中で明さんに念を押しながら、表面では話をそらすべく、何気なく思ったことを問いましたという態度で挑みます。

 ここはもう、腹芸は苦手だとか言っている場合ではないですね。戦闘開始です。こうなったら巨大な猫だろうと被ってやりますよ。


「問題、にはなりませんね。ただ、セリさんが起こした現象は、なんと言いますか不可解に満ちています。この、多くの種族が所属する協会の中でも」

 朱さんが難しい顔をして告げました。そして、その言葉を否定するように黒髪の女性が言葉を続けます。

「だが、ワタシ達が知らないだけで、そういう現象が過去にあって文献として残っている可能性もある。それに、奴らの面倒を見るのにこれほどの適任者もいないだろう。選り好みの激しいツウトップが、あんな状態とはいえ初対面で自分の身体を触らせて、大人しく運ばれたなんてそうそうあることでもない。その上、奴らが癇癪を起こしたとしても術は効かないどころか、ほとんど反動もなく消し去ってしまう。初日にして、なかなかに有用なお嬢さんだ」


 女性はどこかに仕舞っていたらしい携帯灰皿を取り出し、スパーッとだいぶ短くなった煙草をそれに押し付けて火を消しました。

「……あなたがここの仕事をサボるにも、ですよね?」

 朱さんが女性に問い掛けます。その顔がどことなく胡乱になっています。

「当たり前だ。ワタシの本来の仕事は奴らの面倒を見ることではなく、その健康管理にある。ワタシはあくまで協会に属する医者兼研究員であって、保母でもベビーシッターでもない」


 あ~、なるほど。だから、軽装の上に白衣なんですね。保母さんだと軽装の上にエプロンのイメージがある私です。道理でそれらしくないと思いました。


「そうは言いますが、あの子達の面倒をまとめて見られるのは、現状、ここではあなたくらいでしたから適材適所です。今日からはセリさんもここで働いていただきますが、間違っても彼女に丸投げなんてしないでくださいよ。慣れない環境や仕事で戸惑うことも多々あると思いますから、しっかりと教えてあげてください。わかりましたね?」

 朱さんが念を押しています。それに黒髪の女性はあからさまに面倒そうな顔をしました。両手は白衣のポケットに突っ込まれています。

「教えろと言ってもな。昼を食べさせるのを忘れないでおけば、あとは適当でいいだろ? ワタシの時はそう教えられただけだったが?」


 なんてアバウトな……。それは、いくらなんでもどうかと思います。そこで納得して流さないでください。

 過去のこととはいえ、思わず心の中で突っ込みを入れてしまいましたよ。

 世話する相手はあのモコモコさん達でしょうから、人間の子供の世話とは違うでしょう。それでも、それぞれはしっかりと意思を持った存在ですし、その考えは極端過ぎます。


「……前任者は誰でしたか?」


 俯いた朱さんがとても静かな声で問いました。急激に室内の体感温度が数度下がったような、肌寒さを感じて身を震わせます。

 あのアバウトな言葉に朱さんまで納得されても困ったことになったでしょうが、これはこれで困った事態です。上げられた顔は笑顔なのに、全然笑った雰囲気がありません。どう考えても怒っています。

彩里(さいり)だ」

 黒髪の女性も朱さんの様子にここは素直に白状しておいた方が無難だと判断したらしく、ためらうことなくその名を告げました。その身体が危険を感じたように、朱さんから少し離れた位置に移動しています。


 女性の答えに、朱さんがそれはもう花のように笑います。予想外の表情に、私はポカンと口が開いてしまいましたよ。

 ここで、その笑顔……。

 そういえば、私の隣で二人のやり取りを楽しそうに聞いている方も、たまにこういう反応をしますよね。その後は大抵――。


「ああ、そうでしたね。あのジジイは黄泉国へ旅立った後でしたか。その身を氷漬けくらいしておけばよかったですね。黄泉国でも、さぞ寒い夢が見られるでしょう」


 あまりよろしくない言葉しか続かないんですよね。朱さんの口から出てくるのはどこまでも寒い言葉の数々でした。

「おいおい、あのジジイはまだピンピンしていただろ? 長サマなら、昨日も会ったはずだ」

 黒髪の女性がその言葉を額面通りに受け取って、呆れた様子で訂正していますが、これは違います。

「何を言っているのですか? 彩里なんて者は現し世から旅立ちました。後付けで、凍死と言う死因がつくだけです」

 朱さんの言いたいことに気づいた、黒髪の女性の顔が徐にしかめられました。


「証拠も残さず抹殺したいなら手伝うぞ?」

 って。え? ぇえ!?

「そこで止めるでもなく手伝いを申し出ちゃうんですか!!」

 色々と衝撃的な発言でした。


 そこは絶対に止める部分です。なんで、そこで勧めちゃうんですか! しかも、抹殺の手伝いまで申し出るって――殺人は犯罪、になるんですよ、ね?

「口煩いエロジジイもいい歳だ。そろそろポックリ逝っても誰も不思議に思わないさ」

「あれこそ、老害です。いつ黄泉国へ行くかと待っていましたが、この際、送りつけても文句は出ないかと」

 真顔で二人から告げられ、その異様な空気に気圧された私の足は、自然と一歩後ろに下がりました。


 ここで、私の常識とここの常識が違うことを思い出します。風景や雰囲気がどれほど似ていようと、ここは――違ったんですよね。私のいた日本とは。

 ほんの一角だけ浮かび上がった胸の痛みを、自覚するかしないかのタイミングで心の奥底に再び沈めました。

 そうしてから、この場を打開できないかと助けを求めるように明さんの服の裾を引っ張ります。

 明さんなら、私よりももっと的確な言葉が出てくるはずです。先程から眺めるだけでずっと黙っていますけど、そろそろ何か言ってください。


「そういう相談なら、こいつのいない場所でやってくれ。どうにもセリは荒事とは無縁の性格だからな。知らない命だろうと、無闇に消えれば気に病む」


 私の心の訴えに応えるように、明さんが堂々とした態度で二人の会話に割り込んでくれました。でも、ですね。明さん。

 確かに何か言ってくれと望んだのは私ですが、その言葉では止めたことになりません。むしろ抹殺を推奨しています。

 私の希望は、抹殺計画を止めることだったんですよ~。

 明さんの予想外な変化球の後押しに、私の顔は確実に引きつっていると思います。


「そういえば、そこのおっかない兄さんは誰なんだ?」

 黒髪の女性が明さんに視線を移して問います。

 急に話題が変わりましたが、これで抹殺話から離れてくれるならそれはそれで良いです。

「俺か? 俺はコレの、まあ保護者だな」

 明さんが私の頭の上にポンッと手を置きます。

「保護者、ね」

 黒髪の女性が私と明さんを交互に見て、なんだか含みのある呟きをもらしました。


「協会にあんたみたいな奴はいなかったと思っていたんだが――」

「そうだな。俺は協会とはまったくの無関係だ」


 明さんが器用に片眉を上げて見せます。女性をからかっているような、そんな笑みを顔に浮かべていました。

「無関係、ね」

 女性は初めから明さんをおっかない兄さん扱いしていましたし、なぜか警戒しているような気もします。でも、今の明さんのどこに警戒する部分があるのでしょう。

 私には、霞んだ美形顔ではあってもいつも通りの明さんにしか見えません。


「長サマ。それは本当のことか?」

 女性が朱さんにも言葉の真偽を確認します。

「ええ。彼は過去も現在も協会に所属していたことはありませんし、協力者でもありません。ついでに言えば、ブラックリストにも載っていませんでした。野に放置しておくには惜しい人材だとは思いますが、本人にはまったくその気はないようですから――無理強いはできませんし、仕方ありません」

 ああ。明さんのことを調べたと言っていましたからね。


 朱さんはチラリと明さんを見て、それを鼻で笑った明さんの態度に、物憂げなため息をついています。

「………」

 黒髪の女性が何事か考えるような顔つきになりました。取り出した新たな煙草に火をつけて、煙を吐き出します。

「ここで煙草は止めてくださいと、先程も言いましたよ?」

「チビ達もいないんだ。細かいこと言うな」

「……あなたの場合、吸い過ぎです。これは害にしかならない代物なのですから、医者なら自分の健康管理もしっかりとしてください」

 そう言って、朱さんは女性から吸いかけの煙草を取り上げました。


 朱さんと女性のやり取りを聞いていると、二人はかなり親しい関係であるように思えます。

 ……って、今、朱さんは害にしかならない代物と言いました、よ、ね?

 女性は先程、私に無害な物だと言っていました。てっきりその言葉通りの物がこちらにはあるのかと思っていましたが――。


「私、騙されたんですね」


 愕然とした気分で呟きます。

 私の視線の先では、携帯灰皿と煙草が入っているだろう小箱、火のついた煙草を女性から勝ち取った朱さんが、満足そうな顔で火のついた煙草を携帯灰皿に押し付け、それを悔しそうに見る女性の姿がありました。

「今更気づいたのか?」

 その言葉に明さんを見れば、おかしそうな顔をして私を見ている明さんと目が合いました。

「知っていたなら、その時点で指摘してくださいよ」

 私がこちらの常識に疎いのを、明さんは知っているんですから。


 恨めしげに明さんを見つめ返してしまったのは、まあ仕方ないですよね。それなのに明さんときたら――。

「その方が面白いかと思ってな」

 な~んて平然と答えてくれちゃったんです。

 明さんに私の面倒を見る義務がないことはわかっています。それでもその返答はひどくないですか?


「明さんは神経がネジ曲がっています。ふざけて良い時といけない時というものが、世の中にはあるんです! 面白さを優先してどうするんですか」


 私自身どこからボロが出るかわからなくて、これでも神経がピリピリしているんです。それなのにこの場で私の間違いを阻止して隠ぺいできる唯一の方が、そういう場面で面白さを優先しますか。

 それだけこの件が些末事で気にする部分ではないという表れかもしれませんが――でも、でもですね。納得できないモヤモヤが残ります。


 その思いに突き動かされた私は、朱さんと女性の存在をうっかり忘れて、明さんに食って掛かっていました。

「ヒトは退屈で死ねるんじゃなかったのか?」

 そして、今日の明さんはひと味違いました。意地悪の度合いが。

 まさかそういう切り返しでくるとは思わず、言い返せない悔しさで歯噛みします。

 その言葉は私が昨日告げたばかりの言葉です。これぞ、身から出た錆なのでしょうか。

「そういうのを揚げ足取り、と言うんです」

 悔し紛れに呟けば、明さんがニヤリと笑いました。


 なんだか嫌な予感しかしません。私はまだ、何かやらかしているんでしょうか。


「俺にそういうことを言って良いのか?」

 明さんが意味ありげな言葉を囁きます。

 これは、脅しですか。いったい明さんは何を言いたいのでしょう。

「……嘘は言ってないです」

 本能的な部分でまずいと警鐘が鳴っています。逃げ道を塞がれているような気もしますが、ちょっとどう対処すればいいのかわかりません。

 ただ、すんなり脅しに屈するようなことはしたくなかったんです。女の意地にかけて。


「なあ、長サマ。あの二人はそういう関係なのか?」

「はっきりとそうだとは聞いていませんけど、そうでしょうね」


 そこにコソコソと小声で話す、黒髪の女性と朱さんの声が聞こえてきました。


 そういう関係って――どういう関係ですか!?


 カッと頭に上っていた血に、冷や水を浴びせられたような衝撃を受けました。ここがどこで、すぐ側には自分達以外の方達もいたことを思い出します。


 ここはこれから私が働く職場で、この方達はお世話になる職場の先輩と雇い主さんです。

 私はなんてことをやらかしてしまったんでしょう。


 サッと血の気が引きました。

 朱さんと女性の方を見るのが怖いです。自然と視線は明さんへと向きました。明さんが苦笑しています。すべてわかっていた、とでも言いたそうなそんな顔です。

 その瞬間、私の頭の中の何かがブチッと切れました。


「明さんの、明さんの――馬鹿~~!!」


 後で思えば、こんな風に過剰反応するからいけないと、ここはとりあえずサラリと流しておけばよかったんだとわかります。

 でも、この時は本当に余裕がゼロだったんですよね。後悔先に立たず、です。


 あれは完全に八つ当たりでした。自覚はあります。でも、この居た堪れなさの元をたどって責任を追求するなら、八割は明さんのせいな気もしたんです。

 割合が多いですか? そんなことはないです。これは正当なる主張です。でも。でも――そんなことを心で訴えても、恥ずかしい過去は無かったことにできないのが現実です。


 ど、どうしましょう~。


 叫んでから、正気に戻りました。本当に、後悔先に立たず、でした。




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