第10話 月を選べば太陽を失う
イリアスは、約束を守った。
王妃の小広間での対面から三日後、彼は自らの周囲に集まる貴族たちを招き、明確に告げたという。
自分は王太子位を望まない。
我が国の王太子はアレクシスであり、自分は王族の一員として王太子を支える。
自分の名をもって、王太子殿下の正統性を揺るがすことを望まない。
その知らせは、午前のうちに王宮中へ広がった。
公式の布告ではない。
だが、王家の一員としての私的な発言であっても、イリアスの言葉は十分に重かった。
少なくとも、これで第二王子派は、イリアス本人の名を正面から掲げにくくなった。
本人が望まぬ王太子位を周囲が求める形になれば、それは忠義ではなく野心に見える。
セレネは、その報告をアレクシスの執務室で聞いた。
報告に来たのは、王太子付きの文官だった。
年配の男で、余計な感情を見せないが、その声にはかすかな安堵がある。
「イリアス殿下は、ご自身の側近にも同様の意向を伝えられたとのことです。これにより、当面は王太子位に関する表立った発言は控えられるものと」
「当面は、ですね」
セレネが言うと、文官は一瞬だけ彼女を見た。
「はい。王太子妃殿下のおっしゃる通り、完全に消えたわけではございません」
アレクシスは机の向こうで、報告書へ視線を落としていた。
表情はいつも通り冷静だ。
けれど、指先は紙の端を少し強く押さえている。
「兄上の周囲の名を整理してください」
「すでに進めております」
「直接兄上に近い者と、兄上の名を利用したいだけの者を分けるように」
「承知いたしました」
文官は深く礼を取り、退出した。
扉が閉まると、室内に静けさが戻る。
セレネは、すぐには口を開かなかった。
アレクシスが報告書を見つめたまま動かないからだ。
兄に支えられた。
王太子としては有利なことだ。
だが弟としては、簡単に受け取れるものではないのだろう。
「イリアス殿下は、誠実な方ですね」
セレネが静かに言うと、アレクシスはわずかに顔を上げた。
「ええ」
「殿下にとっては、かえってお辛いですか」
アレクシスは答えなかった。
だが、その沈黙が答えだった。
セレネは、無理に踏み込まない。
この沈黙は、今すぐ言葉で崩すものではないと思った。
しばらくして、アレクシスが口を開く。
「兄上が境界を示してくださった以上、第二王子派は一時的に動きにくくなります」
「はい」
「ですが、別の口実を探すでしょう」
「次は私ですね」
アレクシスの視線が、はっきりとセレネへ向いた。
「なぜ、そう思うのですか」
「王太子位を直接揺らせないなら、私を揺らす方が容易です」
セレネは当然のこととして答えた。
「イリアス殿下が境界を示された以上、王太子殿下の正統性を疑うことは難しい。ならば、次は神話婚の正統性を疑えばよい。王太子は正しいが、その隣に立つ月国の妃はふさわしいのか、と」
アレクシスは黙っていた。
「私は月国の第二王女です。姉ほど月神の面影が強くありません。和合祭では月国の古式を一部戻しましたが、それを快く思わない方もいる」
「貴女は、ご自分の弱点をよく口にしますね」
「知らないふりをしても、弱点が消えるわけではありませんから」
アレクシスの金の瞳が、少しだけ細められる。
「その言葉は、自分にも返ってくると?」
「はい」
セレネは微笑んだ。
「殿下は第三王子で、金眼ゆえに王太子となられた。私は第二王女で、月神の面影が薄い。私たちは、どちらも完璧な象徴ではありません」
それは冷静な事実だった。
だが、口にすれば痛みもある。
アレクシスは静かに言う。
「貴女を不完全だと思ったことはありません」
思いがけない言葉だった。
セレネは一瞬、返答を失う。
アレクシス自身も、自分が何を言ったかに気づいたのか、視線をわずかに逸らした。
「……少なくとも、王太子妃としては」
慌てて付け加えたような言葉に、セレネは少しだけ目を伏せる。
「では、そういうことにしておきます」
アレクシスが困ったように眉を寄せた。
「貴女は、最近それをよく言います」
「殿下が、よく逃げ道を作られるので」
「逃げ道」
「はい」
セレネは、机の上の報告書へ視線を落とした。
「ですが、今は逃げ道も必要でしょう。第二王子派の件が落ち着いたように見えて、実際には次の火種が探されているところです」
アレクシスも、表情を公務のものへ戻した。
「その通りです」
「何か心当たりはありますか」
「侯爵家が、次の王太子妃披露の席について口を出してきています」
「披露の席?」
セレネが問えば、アレクシスが言葉を継いだ。
「和合祭を終えた後、王太子妃が主要貴族へ改めて挨拶を行う席があります。婚礼と和合祭は神殿と王家の儀礼ですが、次は宮廷貴族との正式な場です」
「茶会か夜会のようなものでしょうか」
「形式としては昼の茶会です。ですが、出席者は重い」
婚礼、和合祭、そして宮廷貴族への披露。
段階としては自然だ。
そして、そこは試す場としても使いやすい。
「侯爵家は、何を求めているのですか」
アレクシスは机の上から一枚の書類を取り、セレネへ差し出した。
「王太子妃が太陽国の妃として受け入れられたことを示すため、太陽国式の誓詞を読むべきだと」
「誓詞」
セレネは書類を受け取り、目を通した。
そこには、披露茶会の流れと、侯爵家からの提案が記されていた。
王太子妃が太陽国の宮廷に入ったことを示すため、古くから王家の妃が口にしてきた誓詞を読む。
太陽神のもと、夫たる王太子を支え、太陽国の礼に従い、王家の名誉を守る。
そこまではよい。
だが、最後の一節でセレネの目が止まった。
――月の旧き影を脱ぎ、太陽の光をまとう。
静かに、部屋の温度が下がった気がした。
「これは」
セレネは言葉を選んだ。
「月国の者に読ませるには、強い表現ですね」
「ええ」
アレクシスの声も冷えていた。
「通常我が国出身の妃が読む場合には、問題になりません。嫁ぐ前の家を離れ、王家へ入るという意味で扱われます」
「ですが、私は月国から来ています」
「だからこそ、侯爵家はこれを出してきた」
月の旧き影を脱ぎ、太陽の光をまとう。
月国の姫であるセレネが読めば、月国を脱ぎ捨て、太陽国へ完全に従う宣言に聞こえる。
読まなければ、太陽国の妃として従わないと言われる。
読めば、月国側からは祖国を捨てたように見える。
罠だった。
あまりにもわかりやすく、そして扱いづらい罠。
セレネは書類を机に戻した。
「私が読むことを拒めば、月国の姫は太陽国の妃となる覚悟がないと言われる」
「ええ」
「読めば、月国の使節と、月国側の保守派に傷が残る」
「その通りです」
「どちらを選んでも、どちらかを失う」
アレクシスは短く答えた。
「だから私は、この誓詞そのものを外すつもりです」
セレネは彼を見た。
「それでは、侯爵家に逃げたと言われませんか」
「言わせておけばいい」
「殿下」
「貴女にこのようなものを読ませる必要はありません」
声に怒りが混じっていた。
和合祭の祝宴で老侯爵を叱責した時ほど冷たくはない。
だが、確かに怒っている。
セレネは、少しだけ胸が温かくなるのを感じた。
同時に、首を横に振る。
「いいえ。外すだけでは足りません」
アレクシスの眉が動く。
「なぜです」
「外せば、殿下が私を守ったことになります」
「守るべきでしょう」
「守っていただくこと自体は、ありがたいです。ですが、それだけでは、私は誓詞から逃げた妃になります」
セレネは書類をもう一度手に取った。
「この誓詞を読むか読まないかではなく、意味を変える必要があります」
「意味を」
「はい」
アレクシスは黙ってセレネを見る。
その目には、また測り直すような光があった。
「月の旧き影を脱ぎ、太陽の光をまとう。この一節が問題なら、月を捨てる意味にしない形へ改めます」
「侯爵家が認めるとは思えません」
「侯爵家だけに認めさせる必要はありません。神官と国王陛下。王妃陛下が納得し、太陽国の古礼としても通る形にできればよいのです」
「簡単に言いますね」
「簡単ではありません」
セレネは、書類の余白に目を落とした。
「ですが、和合祭の古式に月神の一節が残っていました。ならば、妃の誓詞にも古い形があるかもしれません」
アレクシスは一瞬、息を止めたように見えた。
「また古式を探すつもりですか」
「はい」
「寝る時間は」
「今度は、殿下にもご協力いただきます」
セレネがそう言うと、アレクシスはわずかに目を瞬かせた。
「私も?」
「隠さないよう努めるとお約束くださいました」
「それとこれは」
「関係があります。私が狙われる理由は、殿下の王太子位と神話婚の正統性に関わるからです。ならば、殿下にも関係があります」
セレネは、まっすぐに彼を見た。
「それとも、また私だけが知らないところで守るおつもりですか」
アレクシスは返答に詰まった。
それを見て、セレネは少しだけ口元を緩める。
「殿下」
「何ですか」
「私を和平の供物ではないと言ったのは、殿下です」
「覚えています」
「ならば、供物のように守られるだけの場所へ置かないでください」
アレクシスの金の瞳が、静かに揺れた。
「……貴女は、本当に」
「困る人ですか」
「ええ」
今度は、彼は否定しなかった。
けれど、その声に嫌悪はなかった。
「わかりました。古式の記録を探します。神官側にも確認を取る」
「ありがとうございます」
「ただし、今夜中にすべて読もうとしないでください」
「殿下もです」
「私は慣れています」
「その言い分は却下します」
セレネが即座に答えると、アレクシスは少しだけ黙った。
「却下」
「はい。王太子妃として、王太子殿下の過労を見過ごすわけにはまいりません」
「それは契約に含まれていますか」
珍しく、彼の方からそんなことを言った。
セレネは一瞬だけ目を見開いた。
それから、静かに微笑む。
「含まれていなければ、不都合ですか」
アレクシスは答えなかった。
代わりに、視線を報告書へ戻す。
「……古式の記録は、夕刻までに取り寄せます」
「はい」
「貴女にも写しを届けさせる」
「ありがとうございます」
「そして、夜半を過ぎる前に読むのをやめる」
「殿下も」
「わかりました」
その返答に、セレネは満足して頷いた。
※
午後には、披露茶会の誓詞について王妃と神官にも相談が入れられた。
場所は、王妃の私室だった。
同席したのは、王妃、アレクシス、セレネ、ユリアン、そして儀礼書記。
和合祭の時と似た顔ぶれだが、今回は明確に仕掛けられた罠をどう処理するかという相談だった。
王妃は、侯爵家から提出された誓詞案を読み終えると、静かに息を吐いた。
「露骨ですね」
王妃の声は穏やかだったが、目は笑っていなかった。
「我が国の令嬢ならばともかく、月国の王女に読ませるには、あまりに配慮を欠いています」
「配慮を欠いているのではなく、意図しているのでしょう」
アレクシスが言う。
「ええ」
王妃は否定しなかった。
ユリアンも文面を確認し、眉を寄せる。
「たしかに、現行の妃誓詞にはこの表現が残っております。ただし、本来は出身家の紋章色を脱ぎ、王家の色をまとうという意味で使われてきたものです。月国を指したものではありません」
「今の私が読めば、そうは受け取られません」
セレネが言うと、ユリアンは深く頷いた。
「その通りです」
「古い形はありますか」
「探せば、おそらく」
ユリアンは書記を見る。
書記はすでに持参した古い目録を開いていた。
「妃誓詞は、時代ごとにかなり形が変わっています。太陽国出身の妃が続いた時代には現在の簡略版が多く用いられました。ですが、過去の神話婚の際には、月国からの妃に合わせて文言が調整された例があるはずです」
「探せますか」
アレクシスが問う。
「時間はかかりますが、披露茶会までには間に合わせます」
書記の声は、和合祭の時よりも少し力強かった。
和合祭以降、神官や書記の一部は、セレネに対して協力的になっていた。
古式の一節を戻したことで、彼らの中にある職業的な興味と誇りが動いたのだろう。
神話や儀礼を、ただ政治の道具として使われたくない者たち。
その存在は心強かった。
「王太子妃殿下」
ユリアンが言った。
「もし古式が見つかった場合、妃殿下ご自身はどのような誓詞を望まれますか」
「私自身が望むもの、ですか」
「はい。月国の誇りを損なわず、太陽国の妃としても不足のない形を考えるなら、妃殿下のお考えが必要です」
セレネは少し考えた。
月を捨てない。
太陽を拒まない。
それは、これまで何度も自分の中で繰り返してきた言葉だ。
だが、それを誓詞として形にするなら、もっと正確でなければならない。
「私は、月の影を脱ぐとは誓えません」
セレネは静かに言った。
「ですが、太陽国の妃として、太陽の光から逃げないとは誓えます」
王妃が、ゆっくりと頷いた。
「続けて」
「月国で育った私が、月を失えば、この婚姻の意味は薄れます。ですが、月だけを抱えて太陽国に背を向けるのなら、王太子妃として立つ資格はありません」
セレネは、左手首の銀十字に触れる。
「ですから、誓うならこうです。月の祈りを胸に残し、太陽の光の下に立つ。どちらも偽らず、どちらの名も汚さない、と」
部屋が静かになった。
ユリアンは、すぐに手元の紙へ書き留め始める。
書記も、別の紙に似た言葉を写していた。
王妃は、セレネを見つめている。
その目には、穏やかな誇りのようなものがあった。
アレクシスは何も言わない。
だが、その視線は、セレネから逸れなかった。
「よいと思います」
最初に言ったのは、王妃だった。
「月を捨てず、太陽に背かない。神話婚の妃として、これ以上ふさわしい形はないでしょう」
「古式に近い表現が見つかれば、それに寄せられます」
ユリアンも頷く。
「妃殿下のお言葉そのままでは、侯爵家が反発するでしょう。ですが、古式に基づく形にすれば、反論しづらい」
「古式を盾にするのですね」
セレネが言うと、ユリアンは少しだけ苦笑した。
「神官としては、盾ではなく根拠と申し上げたいところです」
「失礼いたしました」
「いいえ。実際、盾にもなります」
その率直さに、王妃が小さく笑った。
アレクシスが口を開く。
「侯爵家は、現行誓詞を変えることに反発するでしょう」
「その時は、問えばよいのです」
王妃が静かに言った。
「太陽国は、神話婚の妃に月を捨てさせる国なのか、と」
その声は柔らかい。
だが、言葉は鋭かった。
セレネは、王妃を見た。
この人もまた、太陽国の宮廷で長く戦ってきた人なのだと、改めて思う。
「では、古式を探しましょう」
王妃はそう締めくくった。
「披露茶会までに、新しい誓詞を整えます。いいえ、新しいのではありませんね。忘れられていた形を、戻すのです」
※
その夜、セレネの私室には、妃誓詞に関する古い記録の写しが届けられた。
和合祭の時ほどではないが、古い筆写、過去の妃の誓詞、神話婚の際の特別文、注釈、神官の解釈が机に積まれていく。
それを見て、侍女が心配そうに言った。
「王太子妃殿下、まさか今夜すべてお読みになるおつもりでは」
「そのつもりでしたが」
セレネが答えると、侍女は困った顔をした。
「王太子殿下より、夜半を過ぎる前にお休みになるようにと」
「殿下から?」
「はい。さらに、夜半を過ぎても灯がついていた場合は、女官長に報告するようにと」
セレネは思わず黙った。
そこまで手を打ってきたのか。
アレクシスらしいと言えば、らしい。
「……わかりました。夜半までにします」
侍女は明らかに安堵した。
セレネは書類を開く。
古い太陽国の文字は少し読みにくいが、月国の古文と近い部分もある。神話婚の儀礼は、かつて二国がもっと近かった頃の名残を多く含んでいるのだろう。
何枚か読み進めるうちに、一つの古い誓詞が目に留まった。
月の家より来たりし者、太陽の家に入りて、影を失うにあらず。
夜の記憶を胸に抱き、昼の道を共に歩む。
その名をもって夫の名を照らし、その身をもって二つの家を結ぶ。
セレネは息を止めた。
これだ。
完全ではない。
今の太陽国式へ直す必要はある。
だが、ここには「月を脱ぐ」という発想はない。
月の家から来た者が、影を失うのではなく、夜の記憶を胸に抱いて昼の道を歩む。
まさに、セレネが望んだ形に近い。
セレネは、その写しに印をつけた。
その時、扉が叩かれた。
「はい」
侍女が顔を出す。
「王太子殿下より、お手紙でございます」
「手紙?」
「はい。直接お渡しするようにと」
セレネは封書を受け取った。
封は簡素で、王太子の印だけが押されている。
開くと、短い文があった。
私の方でも、古式の誓詞を一つ見つけました。
月の家より来たりし者、という一節です。
貴女の考えに近いと思います。
ただし、今夜すべて読まないように。
セレネは、しばらく手紙を見つめた。
同じものを、見つけていた。
胸の奥が、静かに温かくなる。
偶然かもしれない。
けれど、アレクシスもまた、セレネの考えに近いものを探そうとしてくれた。
月を捨てず、太陽に背かない形を。
最後の一文には、少しだけ苦笑してしまう。
ただし、今夜すべて読まないように。
まるで命令のようで、心配のようでもある。
セレネは筆を取り、短く返事を書いた。
同じ一節を、私も見つけました。
明日、こちらをもとに誓詞案を整えましょう。
殿下も、今夜すべて読まないように。
書いてから、少しだけ迷った。
しかし、そのまま封をする。
侍女に渡すと、彼女は微笑みを堪えるようにして礼を取った。
部屋に一人になると、セレネはもう一度古式の誓詞へ目を落とした。
月の家より来たりし者、太陽の家に入りて、影を失うにあらず。
忘れられていた言葉。
省かれ、形を変えられ、いつしか「月の旧き影を脱ぐ」という誓詞に置き換えられたもの。
だが、紙の中には残っていた。
和合祭の月神の一節もそうだった。
消されたのではない。
薄められ、忘れられ、見えなくされていただけ。
ならば、戻せる。
セレネは銀十字に触れた。
その下の銀糸は、今夜もまだほどけていない。
月を選べば太陽を失う。
太陽を選べば月を失う。
そう迫る者たちがいる。
けれど、神話は本来、そのようには語っていなかった。
太陽と月は、同じ天を分かち合う。
昼と夜は、互いを滅ぼすためにあるのではない。
ならば、セレネもまた、どちらか一方だけを選ぶ必要はない。
夜半を告げる鐘が、遠くで鳴った。
セレネは、約束通り筆を置いた。
すべては読まない。
続きは明日、アレクシスと読む。
そう考えた時、不思議と胸が落ち着いた。
契約として始まった婚姻。
公の場で理想の夫婦を演じるための関係。
そのはずだった。
けれど今、二人は同じ言葉を探している。
同じ罠を見て、同じ古式の中に答えを見つけようとしている。
それが契約の内側なのか、外側なのかは、まだわからない。
ただ、少なくとも今夜、セレネは一人ではなかった。
10話まできました!
完結は18話なので、あともう少しお付き合いください。
▼おまけ
名前の由来ですが、
セレネはそのままギリシャ神話の月の女神からとりました。
王子たちも同じくギリシャ語から、
テオドロスは、神の贈り物。
イリアスは、神への帰属、信仰でしょうか。
アレクシスは、守る者、守護者。
という感じです。
テオドロスは第一子でもあるので、国王夫妻が喜んで本名とは別に『王族名』として与えています。
アレクシスは、作品内において「ヒーロー」なので、
セレネの守護者、王位を守る者としてアレクシスを選びました。
国名のソンツェリアはウクライナ語の「ソンツェ」で太陽
ミーシャリアは、正確には同じくウクライナ語で「ミーシャツィ」なんですが、長くなるかなぁ…と「ミーシャ」にしました。
末尾に「リア」をつけることで国名っぽいかな、と。
おおよそ、ギリシャ語系とスラヴ語系で構成されています。
もしお気に召されましたら、
ブックマークや★評価、誤字脱字報告頂けると大変励みになります!
ここまで読んでくださったあなたに、心より御礼申し上げます。




