フランソワとアラン
フランソワは不貞腐れている。
今日は兄の誕生日会だというのに
姉様に嫌われた。
あれから話もしてない。
目も合わせてくれない。
もう誕生日会は始まっているのに会場に入る事が出来なく、庭のベンチに座っている。
「よぉ!フランソワ」
「…なんですか殿下?」
「お前、俺じゃなかったら王族に対して不敬罪だぞ!」
「お好きにどうぞ」
「姉様なら、会場にいるでしょう?早く行ってくださいよ!」
「少し、話をしないか?」
「話なんてありません」
「こっちはあるんだよ!少しは聞けよ」
「姉様の話?」
「喧嘩したんだろ?」
「聞いたの?」
「まぁな」
「僕とは話をしてくれないのに」
「お前どうせ、俺にマリーを取られると思って嫉妬してんだろ?」
「ムカつく!なんであんたなの?僕が姉様とずっと一緒にいるはずなのに!僕の気持ちなんてわかんないだろ?消えてよ!」
「あぁ、俺には妹にそんな感情はない!お前らが異常なだけだよ」
「姉様を取るくせに!ぽっと出てきたのに!」
「ぽっと。ねぇ……。」
「なに?」
「四年前だよ」
「はぁ?なんの話だよ」
「四年前に、お前らの母親がマリーを連れて王宮に来たんだよ。その時から好きだったんだよ!一目惚れだな」
「はぁ?本気で言ってんの??母上にも会ったの?」
「美しい人だったぞ。」
「僕、記憶にないんだよ。ズルイよ」
「そうだろうな。でもな、マリーの方に気を取られて俺もあまり覚えていない」
「へー。気持ち悪いね、王子なのに」
「その辺はお前らと同じだな」
「なにも知らないくせに!」
「ユーリウスの婚約が決まったぞ!相手はガルシア公爵のシャルロット嬢だ!」
「え?そうなの?」
「嫉妬するか?」
「するわけないでしょ!」
「マリーの相手は俺じゃ不満か?ぽっと出じゃないぞ!俺も拗らせてんだよ。マリーじゃないとダメなんだよ。だから今口説いてる最中で、婚約も了承を得た」
「認めない」
「だろうな!だからマリーが俺を好きになったら、お前は俺のことを認めろよ」
「なにそれ?バカなの?」
「お前マリーにもバカって言ったろう?」
「………怒ってた?」
「いや?売り言葉に買い言葉ってやつだろ?キライっていうのも、言い過ぎたって反省してたぞ」
「姉様は悪くないのに?姉様は鈍くて、天然で、人の気持ちも分からない人だもん」
「まぁ、大まかには間違っていないが、人の気持ちは分かってるみたいだぞ。お前と一緒だよ。ユーリーがシャルロット嬢との婚約話が出たときに、お兄様が取られちゃうって言ってたぞ!似てるな、お前ら」
苦笑いしながら、アランは続ける
「でもな、ユーリーの事もシャルロット嬢の事も好きだから応援するんだとさ」
「へぇー。ブラコンなのに?」
「あぁ。私にだけ優しかったお兄様がとられるって言った時は、腹がたったな!あのシスコンも相手が出来ると変わるんだな、あいつの顔を見てこいよ、驚くぞ」
「兄上め!裏切ったな!」
「お前もシスコンを卒業しろとは言わんが、他にも目を向けろ。勉強でも剣術でもやる事はやってんだろ?」
「姉様は母上に似ているから、僕母上の思い出がないから……」
「それは、お前の親父もそうだろう?あんなに愛しあってたんだろ?お前の親父はどうやって克服した?」
「姉様が居たから……」
「あいつも自分の顔が母親に似ていて辛かったんだよ!だからあいつなりにがんばったんだろ?違うか?」
「それは……違わない」
「じゃあ認めてやれよ、バカなところは仕方ないけどな、それも含めてな」
「でもまだ、あんたが婚約者って認められないよ?」
「だから、惚れさせるっていってんだろ?時間をくれよ。」
「あんた王子なのに口悪いよね?」
「王子ってわかってるなら、お前の口調もどうかと思うぞ!お前猫被ってんな!大変そうだな。だが今の方がいい。話しやすい」
「怒らないの?」
「今は二人だけの会話だ。誰も咎めるものはいない」
「あんた意外と良い人なんだね」
「あぁ。俺の本性を知ってるのはお前とその
姉くらいだな」
「姉様が?へー。意外だ。」
「どういう意味だ?」
「キラキラした王子様が好きなんだよ、姉様は」
「だから猫被ってんのか?」
「あんたも被ってるよね」
「フランソワ、俺の前では猫を被るなよ」
「はぁ?」
「数少ない一人になってやるよ」
「ねぇ、兄上もあんたのその姿知らないの?」
「ここまでは知らないだろうな」
「ふーん、分かったよ。あんたと話してたら疲れるから会場に行くよ。」
「あぁ、そうしろ」
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なんだよ、王子様本当にやるじゃないか!
あのフランを丸め込むなんてな。
面白い男だな。笑いが込み上げる
「おや?旦那様はまだ庭で隠れんぼですか?」
「リエムか、驚かせるなよ!」
「いい話が聞けたようですけど、盗み聞きは良くないですね!」
「お前もな!……戻るぞ」
「これから忙しくなりそうですね」
「そうだな、頼んだよ」
「かしこまりました」
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