フランなんて嫌い!
お兄様の誕生日会がもうすぐ我が邸で開かれる。招待客の確認や料理、飾り付けなどで邸はバタバタとしている。
凄いわねぇ……。十歳になるお兄様。
十歳と言えば前世ではまだ小学生なのに、成人が早い今世では十歳になるともうしっかりとしている。
婚約者が十歳になるといてもおかしくなく、将来に向けて領地経営などを手伝い始める歳なのだ……。お兄様が大人になっちゃう。
最近お兄様はとても忙しく、よくお父様について王宮にも行っているので、前のように遊んでくれなくなったのだ……。
フランも家庭教師の先生がほぼ付きっきり。
アラン様と行ったお茶会以来、お誘いはあるらしいのだが参加には至らず、邸にいるのだ。
「図書室にでも行って本を読もうかしら」
と図書室へ向かおうと廊下を歩いていたら、
「姉様ー!」
「あら?フランソワ、どうしたの?」
「今日はもう授業が終わったんだ!先生に用事があるらしくって」
「そうなの?」
「姉様は今から何をするの?」
「暇だから図書室にでも行って本を読もうとしていたのよ、邸にがバタバタとしているから邪魔したら悪いもの」
「じゃあさ、図書室で僕とお茶を飲もう?」
「良いわね!」
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あれ?この本新しい?これも!追加されている本がある。手にとってみる。
「面白そう」
フランが近寄る「へぇー。隣国の事が書かれている本だね?」
「旅行本みたいなものかしら?借りて行こうかしら」
「そういえば姉様、隣国のレオナルド王子に求婚されてるんでしょ?」
……きゅうこん。球根?吸魂?
キュウコンとは?なんの?
隣国からは球根の輸入が盛んだわね
「キュウコン?なんの?」
「えっ?求婚だってば!婚約して欲しいって言われたんでしょ?」
「えっ?知らない!」
「なんでだよ!ソフィア王女のお茶会のとき迫られてたんでしょ?」
「あぁ、あったわね。きっと揶揄われたんでしょ?嫌なこと思い出しちゃった」
「揶揄われ…って。姉様バカなの?」
「きっと誰にでも言っているのよ!チャラチャラしてらしたもの」
……バカとはなんだ!私も嫌な思い出が蘇ってきて腹がたってきた!
「もう!その天然な所直してよ!嫌なんだって。姉様に男の事で泣かれるのは」
「天然って、私が?」
「そうだよ。見ていてイライラするの!」
「そんな……」
……酷い。あの可愛かったフランにこんな言葉を言われるとは。
涙がでてくる
「またそうやって泣く!その癖もやめて!」
「何がそんなに気に入らないの?私の事嫌いになったの?」
「嫌いになれたどんだけ楽か!人の気も知らないで」
「なんで……」
……フランが別人のようだ
「そうやって男の気持ちを弄ぶんだよ。」
「わかんない!」
「アラン殿下に慰めてもらいなよ。仲良いでしょ?」
「もういいっ!フランなんて嫌い!」
図書室から逃げるように飛び出す。
部屋に入ってベッドにダイブする。
あんなに可愛くて大好きだったフランソワが怖かった。どうしてあんなに変わっちゃったのかしら?最近遊んでなかったもの。フランソワもお兄様の事も分からない……。
泣きながら寝てしまったようだ。
コンコンコン
「マリーいるか?」
はっ。寝てしまったようだ。洋服にシワが……
「はい」と小さい声にで返事すると
ガチャっと扉を開けてお父様が入ってきた
「パパ!どうしたの?帰り早いのね」
「最近は忙しくて中々早く帰れなかったから、帰ってきたよ。マリーと約束していたから木登りをしよう。ちゃんとリエムに許可も取った!」
「お父様にも弱いものがあるのね」
クスクス笑うと
「あいつには頭が上がらないんだよ」
と罰が悪そうに言う
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庭に出ると爽やかな風が吹いていてとても気持ちがいい!
「さて、今日からは約束を守るなら木登りをしても良いけど、十歳までにしようか?」
「えっ?なんで?」
「十歳になると、淑女教育も本格的になるし学校へ入る準備も、社交もこなさなきゃいけないからね。どうしてもと言う時は、私に言うこと!約束をしてくれる?」
「……うん」
ほら!指切り!とお父様から小指を出してきた。
「さてと、久々だな!身体が鈍って登れるかなぁ、行くぞ!」
「うん!」
「わぁぁー。やっぱりきれいー。風も気持ち良い」
「元気になった?」
「……うん」
「何があったか教えてくれる?」
「フランと喧嘩しちゃった」
「へぇー。珍しいね」
と驚いた顔をしている
「レオナルド王子の話になって、求婚されてるって聞いて、私知らないって言ったら、バカって言われるし、天然だとかイライラするとか、気持ちを弄ぶとか、分かんない事言われた」
「そ、そうか。それはそれは…」
「フランにね、嫌いって言っちゃった」
「そうか」
と頭を撫でてくれる
「フラン変わっちゃった」
「この時期はそんなものだよ。」
「反抗期なの?」
「おっと!難しい事言ってきたな」
「あいつも自分なりに頑張ろうとしているんだよ。見守ってやろう」
「謝らなきゃ」
「いや。謝る必要ないよ。フランソワも戦ってるんだよ」
「誰と?」
「さぁね。」
自分にかな?とポツリ
「婚約ってしなきゃダメなの?」
「マリーは好きな子でもいるの?」
「パパが一番好き」
「それは嬉しいねぇ。嫁になんて出したくないよ……」
「ずっとみんなで邸に入れれば良いのに」
「それは良い考えだね。でもね、ユーリウスもマリーもフランも大人になって行くんだ」
「うん。」
「理解したの?マリーはバカじゃないね。賢いよ!」
「私レオナルド王子と婚約するの?」
「えっ?なんで?そうなるの?」
「だっていつか結婚しなきゃいけなくて、求婚されてるんでしょ?」
「レオナルド王子と結婚したいの?」
「したくない。セクハラ王子だもん」
「じゃあ、お断りすれば良いんだよ」
「いいの?」
「当たり前じゃない。マリーが好きなら良いけど嫌なら、断るよ」
「良かった」
……超イケメンでかっこいいんだけど、初日であんなにキスしてくるような人、信用できないもの
「あ、フランソワの事は暫く様子を見よう。反抗期の思春期なんだよ。求婚の話もあってお姉様を取られたくないんだよ、きっと」
「私も、お兄様に婚約の話があったら、同じ事しちゃうのかな……」
「さてね?相手にもよるんじゃないかな?」
「そんな日来なければ良いのに」
「ユーリウスは、マリーが嫌がる相手と婚約はしないだろうね」
と笑うお父様
「パパ、ありがとう。気持ちが楽になった」
「そう?ただ話をしてただけなのにね、木登りが出来なかったストレスかな?」
「そっか!!」
「でもマリーはお菓子作りも刺繍も、上手だから木登りをしなくても暇つぶし出来るんじゃない?」
「それはそれ。これはこれ。だもん」
「欲張りだねぇ。また何か作ってくれる?」
「うん!いっぱい作るよ」
「楽しみだ!さて降りるか」
「また登ろうね!約束!」
「約束だ」
恒例の指切りをする。
フランソワも葛藤の日々なんだろう。
ユーリウス、マリー、次はお前の婚約者、
子供達が子供じゃなくなるなんて寂しいけど、成長していく姿をセシリアと共に見ていたかったよ。報告だけは欠かさずしなきゃな。




