それぞれの道
これで最終話です。巻きどころの話ではなく、すっとばしで終了とさせていただきます。はじめてしまったものは終わらせないとと、そんな思いで書ききった為、読みにくかったりわかりにくかったりいろいろあった話だったかとは思います。申し訳ありませんでした。
僕はちょっと疲れて席に戻りました。
「なんだか賑やかだったね」
すると、リアトリスがそう声をかけてきました。
「うん、ごめんなさい。うるさかった?」
「いや別に。楽しそうだったよ」
「そっか。リアトリスは確か騎士になりたいんでしたっけ?」
僕がそう問いかけるとリアトリスは複雑な笑みを浮かべました。
「そうだね。でも難しいかもね」
「どうしてですか?」
「この国は正確には女性で騎士の称号を戴いてる人はいないんだよ。よく似た存在ではあるけど、それは女性の侍従だしね」
「騎士、がいいんですね?」
「ああ、そうだね。いっそ、男に生まれてきたかったけど、私は女だからね」
「この国では難しいんですか?」
「ふふ、君は隣国からの留学だったものね。この国は意外と保守的なんだよ」
そう言うリアトリスはどこか寂しげで、僕はなんとかしてあげたくなりました。
「じゃあ、僕の国、ウィステリアにきますか?」
「え?」
「僕の母は史上初と言われた女性の宰相です。ちょっと怖いけど、頼りになる人です。王様も母の幼馴染で、母の言うことには弱いんです。母に相談すれば、きっと力になってくれますよ」
「ウィステリア……か」
リアトリスは少し考える様子を見せると、優しい笑みを浮かべて見せた。
「うん、それもいいかもしれないね。……ありがとう、アニス」
その笑顔を見て僕は、少し頬が赤くなりました。
リアトリスは見た目は凛々しくかっこいい男の子みたいですが、中身は優しく落ち着いた素敵な女の人です。
今まで、母とかティアレラおば様とかリコリスとかステビアとか、強烈な女性陣ばかり目にしてきた僕には、リアトリスは眩しく見えました。
なんだか、僕はリアトリスのことが、好きになってしまったかもです。
「いいえ、リアトリス。……きっと、僕に協力させてくださいね」
困難な道でも頑張っているリアトリス。
そんなリアトリスの役に立ちたい思いが溢れてきて、僕はしっかりとリアトリスの手を握ってそう言いました。
その後、本当に僕の国にきたリアトリスが母の協力を得て立派な女性騎士になるとか。
リアトリスが長いこと僕を女の子と勘違いしてなかなか恋愛に発展しなかったこととか。
ようやく僕の初恋が実ってリアトリスと結婚できるとか。
シレネは予定通りローレル・フラックスと結婚するとか。
ステビアはシラーから逃げられずに結局アルメリア王妃になるとか。
リコリスがローレルの弟のディルに見初められて押しかけ婿養子に入られるとか。
リコリスの手腕がすごくてバーベナ商会がより発展するとか。
いろいろ後日談はあるけれど、僕のセントーレア学院のお話はここでおしまいです。
今までお読みいただき、ありがとうございました。