【Bar風花 外伝】青い聖杯を求めて① 初冬の琥珀と青い聖杯〜白衣を脱いだ夜のカウンター、青き四百台の夢が動き出す〜
【前書き】
※ 本作は『Bar風花 -kazahana-』本編から連なる、初冬の夜の止まり木のひと幕です。
※ 自動車工学や模型ホビーのマニアックな談義を含みますが、知識がなくてもそのままお楽しみいただけます。
※ 琥珀のスコッチとハーブ香る『Dr.M』の余韻と共にお届けします。
澄みわたる初冬の夜気の中、風花町の古い水路を抜けて響く、ふたつの靴音。
今夜の止まり木で交わされるのは、六連星の鉄に宿る魂と、模型のすり合わせを巡る親子の賑やかな舌戦です。
ですが、老医師が心地よい微睡みに沈んだ瞬間、バーの静寂は一転して密やかな作戦室へと姿を変えます。
若き女医が胸の奥に秘めていたのは、真紅の猛獣に立ち向かうための「青い聖杯」への祈りでした。
どうぞ、そっとカウンターの向こう側を覗いてみてください。
第一章:夜風の足音と六連星の系譜
初冬の澄みきった夜気が、風花町の古い町並みをしっとりと包み込んでいた。
白壁の土蔵が続く家並みの合間を縫うように、初冬の夜気が吹き抜けていく。山から吹き下ろす風は肌を刺すほど冷ややかだが、水路のせせらぎは凛とした空気に澄んだ音を反響させ、遠くの稜線を静かに際立たせていた。
路地裏の奥まった場所にある『Bar 風花 -kazahana-』へ向かって、規則正しい二つの靴音が近づいてくる。
今夜の二人は最初から白衣を脱ぎ捨て、医院の玄関にしっかりと鍵をかけて歩いてきた。
重厚なオーク材の扉が、カランと真鍮の鈴を鳴らして静かに押し開かれる。
「こんばんは、美和さん。今夜は一段と風が冷たいな。歩いてくる間にすっかり耳が冷えてしまったよ」
「いらっしゃいませ、研造先生、茉莉先生。どうぞ、奥の温もりへお進みくださいませ」
純白のバーコートを着こなした櫻庭美和が、静かな湖面のような一礼で迎える。
トレンチコートを脱ぎながら入ってきた茉莉は、チタンフレームの眼鏡を指先で押し上げ、やれやれと息をついた。
「こんばんは、美和さん。……聞いてくださる? 今夜は車を全部ガレージに置いて歩いてきたの。うちの院長ったら、カルテ整理の途中で『今夜は絶対にBar風花で一杯やる』って聞き分けなくてね。車のキーを金庫に放り込んで、徒歩で連行してきたのよ」
「何を言うか。たまの夜道を踏みしめて歩くのは、足裏のメカノレセプターを刺激して脳の血流を促す立派な健康法だ」
カウンターの最奥でMacBookを閉じた天が、眼鏡の奥の目元を緩めて立ち上がった。
「大先生、茉莉先生、お疲れ様です。お二人揃って夜風に当たって歩いていらしたのなら、まずは身体の芯を温める一杯が良いですね」
「おお、天くん。今夜も精が出るな。……美和さん、今夜は少しコクのあるウイスキーをロックで頼むよ。風花山の冷気に負けない、骨太なスコッチをもらおうか」
「畏まりました。では、北の荒波に揉まれたハイランドパークの十二年をお仕立ていたしますね。……茉莉先生はいかがなさいますか?」
「私は美和さんの特製『Dr.M』をお願い。薬草の苦味で、一日の緊張をリセットしたいの」
美和は氷室から掌大の純氷を取り出すと、アイスピックを小気味よく振るって滑らかな丸氷へと仕立てていく。大振りのロックグラスへ氷を滑り込ませ、琥珀色のハイランドパークを静かに注ぎ落とすと、バースプーンを一回転させて研造の前へと滑らせた。
続いて、薬草系リキュールをメジャーカップで手際よく測り、氷を満たしたシェイカーへ注ぎ入れる。冷気を逃がさぬよう静かに、かつリズミカルにシェイカーを走らせると、氷と金属が触れ合う澄んだ音が薄暗い店内に快く響いた。
ストレーナー越しに薄張りのグラスへと淀みなく注ぎ落とされたのは、空気を含んで微細に乳化した、淡い褐色のカクテル『Dr.M』だった。
「いただきます」
研造が丸氷をカランと転がし、黄金色の液体を一口含んだ。
柔らかなヘザーの蜜とスモーキーなピートの香りが、初老の医師の喉を温かく通り抜けていく。
「……あぁ、美味い。風花町で四十年医者をやってきたが、冷たい夜風を歩いた後のウイスキーに勝る滋養はないな」
「お父さん、滋養だなんて言ってアルコールを正当化しないの。血圧の数値を気にしている患者さんに示しがつかないでしょう」
茉莉は苦笑しながらカクテルグラスを傾け、幾重にも重なるハーブのほろ苦さを喉へ送った。
張り詰めていた肩の力がふっと抜け、怜悧な医師の顔から娘としての柔らかな素顔が覗く。
第二章:水平対向の鼓動と過保護な過給機
「ところで天くん」
研造がグラスの丸氷を指先で弄びながら、身を乗り出すように天を見つめた。
「うちのスバル360だがね。豊田モータースのオヤジと一緒にキャブの油面をコンマ数ミリ下げてスローの燃調を詰め直したんだ。空冷二気筒が奏でる小気味よい吹け上がり……まるで中島飛行機の栄エンジンが息を吹き返したような手応えだよ」
「さすがは大先生ですね。あの富士重工初期のフルモノコックは、航空機の設計思想そのものですから。ピストンの往復運動がそのまま車体を前に押し出す感覚は、現代の車では決して味わえません」
天が深く頷くと、研造は嬉しそうに目尻を下げた。
「そうだろう! あのシンプルな機械構造と軽量ボディの美学……。俺が乗っているレガシィのBLITZENもそうだ。ポルシェデザインの端正なバンパーと、水平対向ツインターボの怒涛のスタビリティ。激しい雨の夜間往診でも、吸い付くように峠を越えてくれたものだ」
「ちょっと待ちなさいよ、お父さん」
茉莉がカクテルグラスを置き、腕を組んで二人に鋭い視線を向けた。
「BLITZENの走りが素晴らしかったのは認めるわよ。私が子供の頃、助手席で体験したあのシンメトリカルAWDの絶対的な接地感が、今の私の車選びの原点なんだから。……でもね、だからって天さんと二人で結託して、私の往診車を勝手にいじり倒すのは話が別よ!」
天がギクリと背筋を伸ばし、視線をそっと宙へ逸らした。
「天さん、ちょっとこちらを向きなさい。……私のR1S、エンジンルームを開けたらSTIのチェリーピンクのタワーバーが生えていたのは百歩譲って見逃したわ。でもね、何であのスーパーチャージャーの過給圧が上がって、STI Genomeのマフラーから野太い重低音が響くようになってるのよ!?」
「い、いえ、茉莉先生……あれには技術的かつ安全上の極めて合理的な理由がありまして……」
天は眼鏡のブリッジを指先で直しながら、真面目腐った顔で弁明を始めた。
「風花山の急勾配な農道や、冬場の凍結路面において、低回転域のトルク不足は即座にスタックや登坂不能の危険に直結します。美和さんの専属主治医である茉莉先生の移動速度と生還率を極限まで高めるためには、車体剛性の強化と過給レスポンスの向上は必要不可欠な防衛装備なんです」
「往診車にそこまでの生還率を求めてどうするのよ! 軽自動車とは思えない図太い排気音のせいで、山あいの集落に入った瞬間、患者さんたちに『あ、若先生の赤い新幹線が来た』って一発でバレるのよ!?」
「いいじゃないか茉莉、頼もしくて」
研造がプッと吹き出し、楽しそうに笑った。
「患者さんにとっても、遠くからあの重低音が聞こえてくれば安心感百倍だ。命を運ぶ車に妥協はいらんよ」
「お父さんまで悪ノリしないで! 私のプライベートのレヴォーグSTI Sport#だって、FA24直噴ターボとZF製電子制御ダンパーの完璧な剛性感に惚れ込んで買ったのに……職場でも家でもSTIに囲まれて、私の生活はスバルに占領されてるわ!」
「ですが茉莉先生」
天が穏やかな笑みを浮かべ、淡々と事実を指摘する。
「そのレヴォーグも、限定五百台の抽選倍率を潜り抜けて即決購入されたと伺っておりますが」
茉莉の言葉が喉で詰まり、頬がかすかに赤らんだ。
「うっ……そ、それは……工業製品としての完成度が極めて高かったからよ! エビデンスに基づいた論理的な消費活動よ!」
第三章:タミヤの青、ハセガワの銀
「ふふっ」
カウンターの奥で美和が鈴を転がすように小さく笑った。
二人の前に新しいチェイサーを静かに滑らせる。
「仲がよろしいことですわね。お二人とも、六連星のお車を心から愛していらっしゃるのが伝わってまいります」
「美和さん、愛しているのとオタクの暴走は別物よ」
茉莉がわざとらしくため息をついたが、その表情には隠しきれない誇らしさが滲んでいた。
研造は嬉しそうにグラスを揺らし、丸氷をカランと鳴らす。
「まあ、車に対する情熱は似たようなものだがね。模型の腕前だけは、俺と茉莉では雲泥の差がある」
「何ですって? 雲泥の差ってどっちが上よ!」
「決まっているだろう。俺のハセガワへの敬意だ。医院の風除室に飾ってある一式戦闘機・隼を見てみろ。胴体と主翼の合わせ目をパテで埋め、耐水ペーパーで指紋が消えるまで研ぎ出したあのツライチの美しさ。数種類の銀塗料を使い分け、極小ピンバイスで丹念に穿った無数の沈頭リベットを見ろ。模型とは実機への敬意と、職人のすり合わせの執念なんだよ」
「出たわね、ハセガワ絶対至上主義!」
茉莉はカクテルグラスの細いステムを指先で弄びながら、鋭い眼光で父を睨みつけた。
「お父さんのすり合わせ信仰は、単なる昭和の職人幻想よ! 隙間ができるキットを力任せに削って合わせるのが偉いわけじゃないわ。私の副院長デスクにある『タミヤ 1/24 インプレッサ WRC 1999』を見なさいよ。金型の公差ゼロ、設計図通りに組めばミクロン単位の狂いもなくサスペンションのアライメントが完璧に決まる……。誰が作っても寸分違わず最高の結果をもたらすこの再現性こそが、現代の医療現場で求められるエビデンスそのものじゃない!」
「図面通りにパチパチ組めるプラスチックを並べて、機械の魂が宿ると思うな!」
「再現性のない偶然の職人芸を現場に持ち込むんじゃないわよ!」
静かな店内に響く、いつもの模型宗派戦争。
天はパイプに火を点け、紫煙を静かに燻らせながら微笑ましそうに二人を眺めていた。
かつて自衛隊で精密兵装の保守点検を叩き込まれた天から見れば、研造の泥臭いすり合わせ技術も、茉莉のミリ単位の論理的組付けも、どちらも超一流の職人技に他ならなかった。
「……まあまあ、お二人とも」
美和が優しく割って入り、研造のグラスへそっとチェイサーを注ぎ足した。
「研造先生の情熱も、茉莉先生の正確さも、どちらも風花町の人々の命を守る大切な手の中で息づいておりますわ。……ねえ、研造先生?」
「う、うむ……。まあ、若奥さんにそう言われてしまってはな」
研造は照れ隠しに頭を掻き、残りのウイスキーをゆっくりと喉へ流し込んだ。
温かいピートの余韻と店内に流れる静かなピアノの調べが、老医師の心地よい疲労を優しく解きほぐしていく。
「ふう……。歩いてきたせいか、今夜は少し酔いが回るのが早いな。美和さんの店の椅子は、どうしてこうも身体に吸い付くんだろうね」
研造は本革張りの黒革のローチェアーに深く身を沈め、ふくふくと穏やかな寝息を立て始めた。
日々の激務と往診の疲れが、温かなアルコールによって心地よい微睡みへと溶けていく。
第四章:青い聖杯と極秘のインテリジェンス
研造の規則正しい寝息が店内に静かに響き始めた、その瞬間。
茉莉の切れ長の瞳が、獲物を狙う鷹のように鋭く光った。
茉莉は音もなくローチェアーから腰を浮かせると、天の座るカウンター最奥の席へと静かに滑り寄った。
隣のローチェアーへ腰を下ろし、身を乗り出して天の耳元へ顔を寄せる。
微かに漂う、アルコール綿の清涼な香りと、先ほど飲み干した『Dr.M』のほろ苦い薬草の余韻。
「……天さん」
張り詰めた小声。
「耳を貸して」
天はパイプを灰皿に置き、眼鏡を直して真剣な面持ちで茉莉を見つめ返した。
「……はい、茉莉先生。何でしょうか」
「探してほしいの」
「探す……?」
茉莉は背後の父が完全に眠りに落ちていることを確認すると、喉の奥から絞り出すように囁いた。
「極上の、フルノーマル・ワンオーナー。走行五万キロ未満の……『インプレッサ 22B-STi Version』」
静寂。
天の動きが完全に静止した。
元自衛官としてのあらゆる危険察知センサーが、脳内でけたたましい警報を鳴らし始める。
「……茉莉先生。今、何とおっしゃいましたか?」
「聞こえたでしょう? WRC三連覇を記念して、わずか四百台だけ限定生産されたハンドメイドのワイドボディクーペ。あの、青い聖杯よ」
「先生、正気ですか!?」
天は声を潜めつつも、思わず身を乗り出した。
「2.2リッター専用ボクサーエンジン、手作業で叩き出された専用ブリスターフェンダー……。現在、世界中のコレクターが血眼になって買い漁り、海外オークションでは三千万円から四千万円を超える値がついている、伝説の個体ですよ!?」
「知ってるわよ、相場くらい!」
茉莉はチタンフレームの奥の瞳をギラつかせ、天の袖口をギュッと掴んだ。
「大学病院時代の過酷な当直手当、定期預金、投資信託、国債……全部解約する準備はできてるわ。私の全財産を投じてでも、本物のあのブリスターフェンダーをこの手で磨きたいのよ!」
「ですが、なぜそこまでして今……」
「母さんよ!!」
茉莉が悲痛な叫びを押し殺して天に詰め寄る。
「母さんのあの『ランサーエボリューションⅥ トミ・マキネン・エディション』! 赤と白のラリーストライプをギラつかせながら、霧の風花峠を全開で駆け上がっていくのよ!? 私のレヴォーグの横にミリ単位で幅寄せして停めて、『四連覇の歴史の重みを感じなさい』って冷たく言い放つのよ!? スバリストとして、娘として、あんな屈辱に耐えられると思う!?」
「志乃事務長……相変わらず凄まじい迫力ですね……」
「あの赤い猛獣に対抗できるのは、あの時代、世界ラリー選手権でマキネンと死闘を繰り広げた、青い聖杯22Bしかないのよ! 天さん、あなたの情報収集能力と全国の旧車ネットワークなら、どこかの旧家やコレクターのガレージに眠っている極上車を探し出せるはずよ!」
茉莉は天の両手をすがるように握りしめた。
知的な副院長の仮面は完全に剥ぎ取られ、そこには純粋で狂気的なスバリストの少女がいた。
「お願い、天さん! これは平内科医院の威信を懸けた聖戦なの! ……ただし、母さんには絶対に内緒よ。もし契約前に母さんにバレたら、私の全口座が凍結されて、購入資金がすべて『最新型経鼻内視鏡システム』に化けちゃうんだから!!」
第五章:夜桜の誓いと帰り道
「最新型経鼻内視鏡……」
天は思わず乾いた笑いを漏らした。
平医院の絶対君主である志乃事務長なら、娘の預金を医療機器の減価償却資産へと強制変換することなど朝飯前だろう。
だが、目の前で必死に懇願してくる茉莉の瞳には、かつて命懸けで愛車や兵装と向き合ってきた者特有の、純粋な狂気の熱が宿っていた。
天は深く息を吸い込み、手帳を胸ポケットから取り出した。
「……分かりました、茉莉先生」
「天さん……!」
「元自衛官としての情報網、全国の旧車ディーラー、そして櫻庭FACTORYの技術的コネクションをすべて投入して、極秘裏に捜索を開始しましょう。ただし、修復歴なし・フルノーマル・保管状態極上の個体に限ります。妥協した個体を先生に掴ませるわけにはいきませんからね」
「ありがとう、天さん……! あなたならそう言ってくれると信じていたわ!」
茉莉が感極まって天の手をぶんぶんと上下に振る。
その光景をカウンターの向こうから見守っていた美和が、ワインレッドとアンバーの瞳を優しく細め、くすりと喉を鳴らした。
「ふふ。殿方と乙女の、秘密の作戦会議でございますね。……神社の神様も、青いお車が無事に見つかるよう、静かにお祈り申し上げておきますわ」
「美和さんまで……! ありがとうございます!」
その時、カウンターの端で眠っていた研造が、ん、と唸り声を上げて目を擦りながら身を起こした。
「……ううむ。すまんすまん、少しうたた寝をしてしまったようだ。……ん? 茉莉、天くんと何をそんなに熱心に話しとったんだ?」
「な、何でもないわよお父さん!」
茉莉は一瞬でローチェアーから立ち上がり、何食わぬ顔で知的な副院長の表情を取り戻した。
「さあ、もう日付が変わるわ。明日の午前は外来と胃カメラが入ってるんだから、とっくに帰る時間よ。ほら、コートを着て!」
「おお、そうだな。……美和さん、今夜も美味い酒をごちそうになったよ」
「お粗末様でございました。研造先生、茉莉先生、夜道はお気をつけてお帰りくださいませ」
美和が深々と頭を下げ、足元では白狐の狐白が前足を揃えて「くぅん」と喉を鳴らした。
カラン、とドアベルが鳴り、二人が夜気の中へと踏み出していく。
初冬の冷たい風が二人の火照った頬を撫でた。
歩き出した研造の隣で、茉莉が天へ向かって振り返り、コートのポケットの前で小さく「頼んだわよ」と指で合図を送る。
天は苦笑しながら、静かに会釈を返した。
白壁の町並みを、親子が並んで夜風を踏みしめながら歩いていく靴音が、遠い夜の帳へと溶けていく。
鉄刀木の一枚板の上。
残された二つの空のグラスが、温かな橙色の光を宿して静かに佇んでいた。
【あとがき】
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
今回は、風花町の医療を支える平親子の愉快で熱い日常と、やがて群馬への電撃作戦へと繋がっていく「22B捜索」のプロローグをお届けいたしました。
ハセガワの隼とタミヤのインプレッサで激論を交わし、スバルの血統を愛してやまない研造先生と茉莉先生。
普段はエリート副院長として怜悧に地域医療を背負う茉莉先生が、母・志乃事務長への対抗心から「青い聖杯を探して!」と天ちゃんに必死ですがる姿は、どこか愛らしく、そして車を愛する者としての純粋な情熱に満ちています。
「口座が凍結されて最新型経鼻内視鏡に化けちゃう!」という悲痛な叫びを受け止め、元自衛官としての冷徹なインテリジェンスを静かに起動させる天ちゃん。
この夜の密やかな誓いが、やがて四半世紀の眠り姫との邂逅、そしてあの実測354馬力の咆哮へと繋がっていきます。
もし今回のエピソードを少しでも楽しんでいただけましたら、下部の【ブックマーク追加】や、作品への【いいね・評価(★★★★★)】、率直なご感想などをそっと残していただけますと、執筆の大きな励みになります。
冷え込む夜が続きますが、皆さまもどうか温かな一杯をお手元に、心地よい時間をお過ごしください。
天照(Bar風花)




