表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/48

第三十九話「ニイコタ&ガルザンVSミーナ 前編」

「ニイコタとガルザンはミーナを! 俺はメンジを! ナリ=アーツは永和、任せたぞ!! 安心しろ、すぐに倒してそっちに加勢する!」


 ムラセルの怒号のような号令に、空気が一気に張り詰めた。


「「「了解!!!」」」


 即答し、迷いなく俺たちは三方向に分かれて走り出す。

 それはもう、まるで訓練された軍人のような連携だった。



皇和こうわ三大魔人…まさか生きているうちに出会うことになるとはな……!」


 ガルザンが眉間に皺を寄せながら吐き捨てた。無理もない。

 目の前に立つ魔人――ミーナ=ウティスタは、全身を黒と赤のドレスで包み、仮面の下に真紅の瞳を艶やかに光らせていた。

 その手に握るは、黒光りする球体。

 まるで闇を濃縮して結晶化したかのような、恐ろしい魔力を秘めた球だった。


「うふふ、お二人とも、なかなかの目つきをしておりんすね。 少しは楽しませてくれそうでありんす」


「っ……なんだこの圧迫感……」


 ニイコタが自然と一歩後ずさる。

 無理もない。言葉の端々に、確信に満ちた”強者”の空気が漂っている。


「気を抜くな、ニイコタ!」


「はいっ!」


 ニイコタが《超双剣オーバー・ツイン》の柄に手をかける。

 すっと抜き放たれた二本の刃が、陽光を受けて一瞬だけ煌いた。


「うふ、ではまずは……これでどうありんすか?」


 ミーナがふわりと舞い上がったかと思うと、その手の球をまるでバスケットボールをバウンドさせるように地に打ち付けた。


「!!」


 その一撃だけで、大地が爆ぜる。

 鋭く、深く、広がる魔力の波動が周囲を薙ぎ払った。


「くっそ、やべぇなこいつ……!」


 ガルザンが叫びながら横に跳ぶ。

 その瞬間、球が跳ね返って再び空へと舞い上がり――そして、信じられないことに、ミーナはそれを空中でトリッキーに受け止め、今度はニイコタに向けてシュートのように放った。


「ニイコタ、避けろッ!!」


「……うっ…無理っ!」


 刹那、ニイコタは横に跳ねるように避けたが、球の軌道が変化した。

 まるで意志を持つかのように、ニイコタの脚をかすめる。


「ぐっ……!」


 その一撃で、ニイコタの右脚がぱっくりと裂けた。

 皮膚の下から赤い血が飛び出し、服を濡らす。


「痛っ……!? な、なにこれ、脚が……動かない……!」


「うふふ、その球には麻痺の毒を仕込んでおりんす。 ほんの少しでもかすれば、痺れと痛みに悶え苦しむこと請け合いでありんすえ」


「くっ……えげつねぇことしやがる……!」


ガルザンがニイコタの前に出て、拳を構える。


「仕返しだ…《砕拳クラッシュ》!! ……喰らいやがれッ!!!」


 次の瞬間、ガルザンの拳が地面を叩き割るほどの勢いでミーナに迫った。

 空気が裂ける音と共に、拳が一直線に飛ぶ。


 が――


「遅いでありんす」


 ミーナはふわりと宙に舞い、ガルザンの拳を回避。

 そのまま回転し、球を右手でキャッチ。

 そして逆手に取り、空中から真下に向かって放つ。


「うぐっ!」


 ガルザンの肩を直撃。

 皮膚が裂け、骨の奥にまで届く衝撃。


「ちっ、骨まで……!」


「ありゃありゃ、もう片方は?」


 ニイコタは脚の痺れが残る中、気合いで走り出していた。

 その両手の双剣が、X字を描いてミーナに斬りかかる。


「せやあああああ!!」


「うふふ、それもまた美しい動きでありんすね」


 キンッ!!!!


 刀身と球がぶつかり合う。

 金属音が火花のように空中を裂き、瞬間、ニイコタの右腕に亀裂が入った。


「いっ……!」


「うふふ、おいたわしや……でも、お二人とも、まだまだ動けるでありんすね?」


「くそっ……!」


 ニイコタとガルザンが肩を並べ、再び構える。


 ミーナは踊るようにバックステップしながら笑った。


「遊びで終わらせるつもりはないでありんすよ? これは本気の舞台。 命を懸けて、お相手して頂きたいでありんす」


 ニイコタが息を切らしながら、かすれた声で呟く。


「……強すぎる……でも、やるしかない……!」


 ガルザンも、肩を押さえながら頷く。


「俺たちが倒さなきゃ、ムラセルは大丈夫だろうが、永和はナリ=アーツと一対一だ。 絶対に守らなきゃならねぇ!!」


 緊張感が、戦場に満ちた。

 空気が重く、時間が引き延ばされるかのような感覚。


 そして再び、ミーナの黒球がバウンドし、地を鳴らす。


「さぁ、第二幕の始まりでありんす!」


 その声が、血戦の火蓋となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ダメ!ニイコタちゃん死んじゃいや!! てかミーナ=ウティスタは花魁キャラかよ
くそ、強すぎるな。だがここからだ!がんばれ!ナリ=アーツ軍団なんかに絶対負けるなよ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ