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第三十八話「ギルド冒険者VS群青の軍勢」

 戦争の開幕は、いつだって唐突で容赦がない。


「行くぞ……!」


 永和は深く息を吸い込み、両手を前に突き出した。既に魔力は最大限まで高められている。

 目の前に広がるのは、密集した群青の鎧を纏った魔族の軍勢。

 その数、ざっと見ただけでも千を超える。


 だが、それに怯むわけにはいかない。


 永和の口から、震えるような叫び声が放たれた。


「くらえ、簡易魔術!!」


 放たれたのは、高熱を伴う巨大な魔力の塊。

 轟音と共に、前方の魔族たちをまとめて吹き飛ばし、爆炎が土を割き、地面を削って一直線の穴を生み出す。


 その瞬間だった。


「今だぁぁああ!!!」

「うおおおお!!!」


 後ろで待機していた冒険者たちが、一斉に雄叫びを上げながらその空間へと雪崩れ込んでいく。

 斧を構えた大男、長弓を引き絞る女狩人、体を魔法の炎で包む魔術師……彼らが一斉に敵軍の中へ突入し、まるで濁流のように魔族の陣形を内部から破壊していった。


 魔族たちも黙ってやられているわけではない。

 裂けた肉体から黒煙のような魔力を放ちながら、甲高い叫び声をあげて反撃に転じる。


「がはっ! ぐあっ!」

「くそっ、あいつら、硬すぎだろ!?」

「治癒魔法師! 誰かやられてる!!」


 瞬く間に戦場は混沌と化した。

 人の悲鳴、金属の軋む音、焼け焦げる匂い、地響き――生きているという実感を否応なく突きつけられる空間。


 その混乱の中を、四人の戦士が駆け抜けていく。


「こっちだ! 道が開いてる!!」


 ガルザンが大声で叫び、手斧を構えながら先頭を突き進む。その後ろを永和、ニイコタ、そしてムラセルが追いかけるようにして走る。


「ニイコタ、ついてこい!」

「ええ、わかってますっ!」


 ニイコタは、軽やかな足取りで戦場を跳ねるように移動し、迫る魔族を《超双剣オーバー・ツイン》の刃で切り裂いていく。

 まるで踊るような動きに、敵は対応しきれず次々と沈んでいく。


 一方でムラセルは、真正面から魔族に突っ込み、その剛腕で敵を殴り飛ばしていた。


「おらぁ!! どけどけぇ!!」

「グギャアア!!」


 敵の鎧ごと骨を砕く、重たい拳の一撃。

 魔族たちはその一発を受けただけで即死し、まるで風に吹き飛ばされる枯葉のように舞い上がって地に叩きつけられる。


 まさしく暴風。否、戦神の進軍だった。


 そんな中、永和は常に冷静に後方を見ていた。


「……ダメだ、こっちからも魔族が回り込んできてる。包囲される前に突破しないと!」


「分かってる!!」


 ムラセルの怒号と共に、前方を塞ぐ盾兵のような魔族が薙ぎ払われる。

 そこに生まれた一瞬の隙――そこを四人がすり抜ける。


 まるで火口に向かって突き進むような無謀な突撃。

 だが、それが今、この戦場を突破する唯一の手段だった。



「――くそ、もう少しで前衛部隊が崩れるぞ!!」

「後衛! 援護しろ!! 矢を撃て!!!」


 背後では、冒険者たちの叫び声がこだまする。空には矢の雨。地には血の川。

 だが、それでも誰一人諦めてなどいない。

 目の前の敵を倒し、仲間を守り、この街を、命を、未来を繋ぐために戦っている。


 永和たちは、そんな仲間たちの戦線を背に、さらに奥へと踏み込む。

 彼らの目指す先には、あの男がいる。


 ――魔王、ナリ=アーツ。


「はぁっ、はぁっ……もうすぐ……見えてくる……!」


「ええ、きっとあの先に……!」


 そしてついに、視界の奥に、宙に浮かぶ玉座と群青の魔力の渦を纏う男が姿を現す。


「小僧ども……ついに来たか」


 ナリ=アーツは玉座の上から、目を細めて彼らを見下ろしていた。

 まるで、興味本位で玩具を観察するような目。

 だが、その裏に秘められた力は確かだった。


 その後ろに控えるのは、二体の魔人――黒い球を構えるミーナ=ウティスタと、長い槍を携える魚人のメンジ=ユータウス。


「間違いねぇ……あの三人がボスだ」


 ガルザンが呟き、ゆっくりと武器を構える。


 仲間たちの信頼と怒り、絶望と希望を背負いながら、戦場を駆けた四人の英雄が、ついに三体の最強の敵と相対した――。


 この戦争の、真の開幕はここからだ。

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― 新着の感想 ―
最近さんま食べてないな、食べたいな。 ところでメンジ=ユータウスは美味しいのかな。
こんなところで終われ無いだろ! ムラカ↑ミ君頑張れ!
やっとここまで来たか… 頼むぞ永和!!!!
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