lag_04(時の流れ)
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ドレスを着ないの?
訊ねるぼくに、きみは心底、不思議そうに、「なんで?」
ぼくが(見たい)
彼女は笑って(それはそれ、これはこれ)なので、「折角だから、高島田」そして、「和装、似合うよ?」
でも、ドレス。──
「あなたが着るといいわ」と、きみは云う。「わたしは男装するから」
冗談でしょ?
「二次会はそうしましょう」
彼女はニヤニヤ笑うだけ。(まったくきみは)自由気ままな転がる石。
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きみはふたつの時計を見比べる。「正しい時間ってどこにあるのかな」
セシウムだよ。ぼくは(つまらない)返事をする。
「ふうん」と、彼女はソファに仰向けに寝そべって(スカートの裾)白い脛がのぞいてる。
「何、見ているの?」
うん。なんでもない。世界の時間は:セシウムの振動を基準にして(ヒトに都合よく)標準時にすると取り決めている(定義)。
「ふうん」彼女は(組んだ足)ぶらぶらとさせ、「ふうん」ふたつの時計とにらめっこ。「変なの」
単位は、ヒトが便利に(公平に)使うために、そう約束した(いわば)たったひとつの(世界)共通語(エスペラント語は除く)。
なのに、「この時計に正しい時間はない」彼女は微笑む。「どちらにもない。たまに少し、ズレてもいいよ。正しくなくて、いいのよ」
──だから、ね、と、きみは云った。
「時の始まりを見に行こう」
彼女の決めた世界時間のヘソはグリニッジ天文台で、「学校で習った」気がする「理科か、社会か、歴史かな」
今はもう中心(協定世界時)でないよ。
「何か違う?」
特定の期間、グリニッジ標準時は一時間のズレ(+一)がある。
すると彼女は(すぐさま)思い当たった晴れ顔で、「夏時間!」なのに(曇り空)眉を寄せて、「なんでそんな面倒なことするんだろ」
緯度だよ、と、ぼく。日照時間を有効に使う為に。もとは大戦の時に始まって、さらに一時間加えた、ダブル・サマータイム(二重夏時間)を導入していた時期もあって、──
「なんでそんなこと」知ってるの、と、彼女はくすくす笑い出す。ぼくの胸(心)は満たされる。
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町を練り歩く横断幕。印刷されたプラカード。声を張り上げ主張する(差別をスルナ・区別をスルナ)平等が排他的に陥る寛容の矛盾。それが歪で如何わしい。暴力の否定はいつも方便、何かを変えるのはいつも〝力〟。世界は(いつも)分断される(〝力〟の行使)。
宇宙から見える唯一の人工物、グレート・ウォール/万里の長城。一番大きな建造物が国境だなんて話がうますぎやしないか?
(しかもこれ実は冗句。大層な与太話)
あの砦の本当の意味は:落ち着け、お前を忘れた訳じゃない。
──とんだ(ホラ話)つまり、駄法螺。
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「におうわ」パブからの帰り道、橋を渡りながら、彼女は笑った。「くさい」そして(夜の)テムズ川を指さした。「よく、こんな処に町を作るね」
産業革命の頃はもっとひどい(有り様)だったらしい。
「あらまあ」彼女は(大袈裟に)口を開け、「島国なのに、どうしてこうも違うのかな」
さあ。ぼくは(肩を竦める)どうかな。
「それを聞いてるの」彼女は欄干に身を乗り出し、「やっぱりくさい」笑った。
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二度三度と、自分の居場所を変えることは四度目の抵抗が小さくだから土地の者にはなれいない(ならない)定住の者と見なされない何処までも(余所者)のまま警戒される。そして、やっぱりそんな扱いにウンザリして、余所者はまた流浪する(渡り者)不思議はない(自明)余所者は同等にしない・させない。自分の小さな(世界)所属する土地を守るのに同じ言葉を使う集団/団結・より強固にする(文化共同体)
──気をつけろ。グローバリストはアナーキストだ。
他人の意見を真に受けるな(所詮)相手は(同郷)でない。
その地で少なからず(我慢)しながら、大きな面倒から、より小さな面倒を少しずつ分けて飲むことを選んだ人たち(どうにか具合良く)整えた場所を乗っ取る者、(侵略者)若しくは(異邦人)──余所者/異なる言葉を使う者。




