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どうしてこうなった?  作者: 英心
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023 旅先での出会い

本日四話目です


 月詠み様と電撃的出会いが在り、女神様からの加護を頂くなんてイベントを迎え、俺とレイは懸念した不安は消え去った。代わりに『紋様』に関わる『何か』を探す目標を得た俺とレイ。再び、ヴェイルの町へと帰る為、今回は馬での移動と成った。


「だいぶサマに成りましたね」

「そうかい?酔う事は無くなったけど、今度は腰と股の間が痛いよ」

「本当に旦那様の世界は驚かされますね。一体移動には如何してたんですか?」

「そうだな、近場なら自転車。バイクだろ。近距離や雨の日は車。遠方なら電車。もっと遠い海の向こうなら飛行機や船ってのが一般的かな。俺は船旅の経験は無いけど……そうだ!ヴェイルに帰ったらバイクを作ってみるか」

「想像も出来ないモノばかりですね。それでお造りに成るとは?」

「実はね、俺のステータスに『SP残』ってのが在ったの覚えてる?

「はい。訳の判らない数値でしたね。確か数値は増えてますよね」

「うん。増えてるね。多分基本レベルと共に増えるんだと思う。そして使い道が判ったんだ」

「お聞かせ願いますか」

「背中の紋様だよ。SP残の数値を投入する事で、紋様の力が増すんだ。丁度レイ達が使うスキルの様にレベルが上がると思えば良い」

「ですが、私達のスキルは鍛錬によって成長していきますよ」

「そこが、女神様の加護なんだと思う」

「何か……ズルい気がします」

「アハハッ。そうだな」


 紋様、ウィズダム『賢いとか知恵や賢者』の意味を持つ古代文字の力は刺青の形として俺の肩甲骨辺りに刻まれた。知り得なかった元の世界の知識が俺の頭に流れ込んだモノだ。このままでは知識が増えただけで使い物に成らない。だけど任意日成長させられることが判り、実際に試すと魔法で溢れたこの世界にも応用できる。エネルギーに魔石。部品にドロップ品の数々。『魔導具』ならぬ『魔導工学』と名付けよう。


「では、その魔導工学を用いれば、旦那様の世界に在る様なモノが作れると?」

「実験は重ねたいといけないだろうけどね」

「楽しみにしています」


 単に冒険者として戦い続けるだけでなく、人の役に立つものを作る事ができそうだ。当初俺が思っていた危険を避ける事に近付けそうな気がする。少しはレイを危険から守れるんじゃないか。避けられるんじゃないかと俺は考えて居た。


「そろそろ、今夜泊まる村が近いと思います」

「判った。急ごう。もう足腰がヒィーヒィー悲鳴を上げてるんだ」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「静かな村ですね」

「と言うより寂れた村だな」

「何もない村ですからね。駅馬車も止まりませんから寂れる一方ですわ」


 と答えたのは宿の主である。


「夕食までには、まだ少々時間が掛かります。良かったら散歩でも如何ですか」


 追い立てられる様に宿を出て行く工藤達。仕方なく寂しい村を散策し始めた。


「本当に何もない村だな」

「小さな雑貨屋が一軒あるだけですね」


 見て回るのに五分とかから無い様な、訪れる場所の無い所だ。その上村人と言えるのは年老いた老人と幼い子供が数人居るだけだ。


「この子たちの親は何処だ?」


 工藤は疑問に感じた。老人だけならまだしも此処には幼子が居る。であれば、働き盛りの親が居ないと数が合わないのだ。


「皆、捨て子同然ですよ」


 工藤の疑問に答えたのは一人の老人だった。隣村に駅馬車が停まる様になって、働き盛りの者達は揃って出稼ぎに出た。出たは良いが、生活基盤が整は無い内はと子供達を村へ預けて行く。最初の内は月に一度戻って来た親達が、次第に顔を見せる回数が減って行き遂には音信不通と成る。そんな話を老人は言う。


「それで、幼い内から働いてるのか」

「畑が在る者。家族が残った者はまだ、マシですわ」

「それ以外も居ると?」

「へぇい。力無きものは皆、寄り添って小さく暮らしております」


 老人はそう言って、ボロボロの大きな建物を指差す。


「元は教会だった建物です。今じゃ司祭様処か巡回師様も立ち寄りません。寄り添った者達の中で一番年上だった者が、今は親代わりをしています」

「偉いな」

「ですが、それもこの冬まででしょう」

「何故に?」

「借金ですわ。謝金のカタに秋には売られる。そうなったら残された子は……」


 老人の言葉に耳を傾けボロボロな教会跡を眺めていた工藤とレイ。村人は……と尋ねようと振り返れば、老人の姿は忽然と消えていた。


「旦那様、今の方は?」

「ふむ。……どう言う意味だろうな。取敢えず、覗いてみるか」


 工藤は教会跡へと進みだす。村の端に位置するボロボロの建物。裏には小川が直ぐに有り傍には小さいながらも畑が在った。


「スミマセン返済は待って下さい。秋には全部お返ししますから」

「んんっ?誰と間違えてる?」


 工藤の足音に気づいたのか、中から震えながら首を垂れる少女が現れた。如何やら工藤を借金取りと間違えた様だ。


「あぁ。スミマセン人違いです。……あの何の御用ですか?」

「すまんな。チョッと気に成って立ち寄った。此処には君達だけか?」

「はい」

「豪く小さい子が多いな」

「皆、親の帰りを待ってる子達です。あの……御用が無ければ……」

「あぁあ~スマン。帰るよ」


 少女と思えた者は怯える様に工藤を追い返す。何も言えずそれに従う他無い。そのまま彼は川沿いを歩いて更に村の外へと進みだした。


「旦那様。何方まで行かれるんですか?」

「ちょっと待って……」


 呆然と歩き出していた工藤だったが、今は何かを見つけた様でグイグイと林の中を進んで行った。そして一つの湧水が貯まる場所の前で立ち止まる。


「コレは!?」


 溜まった湧水に触れ、小川の方を見つめ考え込む工藤。村へ戻るぞと叫び、急ぎ足で彼は戻って行った。



「では、村長。此処の領主はエルーラ候なのだな。あの教会跡はどうなる?」

「一応村の共有財産になって居ります」

「あそこに住んでいる子供の数は把握してるか?」

「確か全部で……五人の筈です。ですが、三人の娘は……」


逢ったのは一人だけだったがと思う工藤。言葉を紡げない村長に代わって彼がその続きを語り出した。


「三人は秋には売られ、残った二人は死が待つだけか、共に売られる訳か」

「……私共にはどうする事も叶いません」

「侯爵様に話はしなかったのか?」

「こんな話は何処の村でも起こります。イチイチ話を聞いて貰える事など」


 成程、侯爵家は炊き出しに参加する程の人格者な一家だ。決して無下にはしないだろう。となれば、監督不行き届きと評されるのを嫌がった村長や村人が敢て報告しなかったのでは?と工藤は思う。


「その者達の借金は誰が請け負ってるんだ?話がしたい」

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