021 教会
本日二話目です
思いもしない登場で俺達は出会った。俺は、チョッとこの世界の人々を馬鹿にしてたのかもしれない。甘い考え、甘い行動がピンチを招いた。そんな危機感を抱いて居た時も在りました。
今回、俺が市場で見つけた食材で作った品々は、ポップコーン。ポテトチップス&ポテトサラダモドキ。ポテトフライ。バターケーキ。ココア。チョコレートの数々だ。
「コレほどまでとは……」
「甘くて美味しいですわ。口の中でとろける感じが幸せです」
「コレは甘くてしっかりとお腹に溜まりますね」
「ポンポン跳ねる仕草が可愛いです。お塩味のお菓子なんて初めてです」
「冬場なら……ホッとするな職務中の気分転換にも良さそうだ」
なんて絶賛中である。確かモノの本に寄れば、頭の栄養分には甘いモノが良いと記憶する。侯爵様を含む重責の方々には栄養的にも良いだろう。
等と、皆の表情を見ながら思い拭けって居ると、彼女がソット近づいて来た。
「やっと会えました。ずっと探し求めて居りましたんですよ」
「よく、此処だと解かりましたね」
「教皇様の知恵のお蔭です。正直、間に合わないかと思いました」
「あぁ~確かに。一日ズレてたら去る予定でしたし、良く間に合いましたね」
「ええ。早馬を飛ばし、漸くです。お蔭で少しお尻が痛いです」
へぇ~ソンな台詞を喋るんだ。意外とフランクな性格?ってか何で探してたのかな?俺の頭の中がグルグルと思考が回る。
「コレだけ凄いモノを作る方に悪い方は居りませんね。あの方もホッとされる事でしょう。そして、こうして会えた私もホッとして居ります」
「えっと……何方が俺如きを探してるんでしょうか?」
「女神様です」
「はい!?」
雅かの名詞が出てきました。不信論者な俺ですけど、神様実在ですか驚き桃の木山椒の木ですね。
「貴方様は、女神様も気付かぬ内に迷い込まれました。女神様は貴方様がどの様な方で、どの様な趣で参られたかを知りたがって御出でなのです」
「では、月詠み様は俺が、この世界の人間で無い事をご存じなのですね」
「私共は貴方様方の事を古来より『彷徨い人』とお呼びして居ります。『彷徨い人』の方々はこの世界で絶大な力を発揮されてきました。この国の始祖もそうです。そして貴方様にどんな力が有るのかを知りたいと……女神様は仰せです」
過去にもやっぱり居た。レイが以前話してた『加護漏れ』が絡むんだと思う。そしてこの国を作ったのが異世界人ってのも驚く話だね。
「それって、場合によっては拘束したり追い返すって事でしょうか?」
「さぁ~其れは……私の役目は女神様と貴方様が無事お話できる様整えるだけ。その後は存じておりません。只、過去の『彷徨い人』の方々は自由を好んでおいでだったと古文書には記載されています」
宴は、こうして終わった。在ってしまった以上逃げる事は無い。そう月詠み様に伝え俺とレイは宿へと帰る。月詠み様と御付きの方は領主館にお泊りで、明日迎えが宿へ来るんだとさ。
俺は彼女との話をレイに伝えないといけない。最悪俺が返されるからだ。もし、有無を言わさず返されたら……レイはどうなってしまう?取敢えず奴隷解放と持ってるお金を彼女に全部渡して、後は女将に頼もうか……でもヴェイルは遠いな。シャレーヌ嬢なら、きっと温かくレイを迎えてくれるかな。
「旦那様……」
「月詠み様との話をするね。俺を探してるのは女神様だってさ。正直驚いちゃったよ。神様って本当に居るんだな」
「それで……旦那様は如何なってしまうのでしょうか?」
「其処は教会は今の所関知してない様子だね」
「では!?」
「明日、教会で俺と女神様の会談が行われる事に成った。結果はその後だ」
それ以上レイは語らなかった。きっと彼女も先が読めないと理解したんだろう。そして俺達の此の先がどうなるかも判らない。
だから、今夜は激しく重なり合った。二度と語り合う事が、出来ないかもしれないからだ。不安が手に取る様に判る。寂しさが堪えても伝わる気がする。どうしようもない気持ちが俺達を貪って行く。頬を濡らすレイに感化され俺も遂涙を零した。何度も何度も強く彼女を抱きしめる。そして夜が明けて行く。
朝食を前に迎えの馬車が到着した。キャビンの中には月詠み様一人乗っている。レイも同乗して良いかと尋ねれば、快く迎え入れくれる。揺られる事僅か、俺達は人が少ない教会へと訪れた。
「教会には特別な部屋が必ず設けています。私の様なモノが儀式を行う為です。お告げを受ける為に儀式を行う為普段は開錠する事も立ち入る事も禁じられた部屋に成って居ます。今回は私とクドウ様のみが入室と成ります」
月詠みの台詞にレイが抗議しようと動いたが、俺が止める。これ以上騒いでも仕方が無い。それより俺はレイを守る事に専念したいからだ。言う事を聞く代わりにと、レイは礼拝堂へと向かう。
俺は黙って月詠みの後に続いて開かずの間に入って行った。
月詠みの読み上げる呪文が、淀んだ空気を一掃し室内が神聖な場へと化した。何時の間にか床に魔法陣が広がり青白い光が放たれる。
静けさが室内を支配した。小鳥の囀りが、人の気配が俺の廻りから消えた。
「待っていました」
どこら等とも聞こえる声は今まで聞いた事の無い安らぎを与える。
「彷徨えるモノよ何故貴方はこの地に舞い込んだ」
「判りません。アナタ、女神様ならご存じでは?と思っていたのですが……」
「そうですか。アナタハ世界の理からは外れた存在だと気づいて居ますか」
「オレ、私は招かざるモノなんでしょうか」
「……」
「私は如何なっても構いません。元の世界でも、死んでるかもしれませんから。ですが、もし許されるならレイをレイを救っては頂けませんか」
「アナタの連れのモノですね。時を溯る事でも良いのですか」
「出来れば、私と出会う前の。彼女が幸せだった時へ返して遣って下さい。同じ苦しみが起きない様に……」
「アナタ方は、皆似た様な事を言うのですね」
「安心しなさい。否、この場合は諦めなさいが正しいのでしょうか……」
女神の一言が最悪の考えに結びつく。
「私が招き入れたモノでないアナタを私は今返す事は出来ない。既に降りった貴方へ加護を与える事も叶いません。ですが……探すのです。探し当てる事が出来れば、アナタにも力を扱う事が叶う筈です」
的を得ない話を聞かされた。力?扱える力って何だ?それに今は出来ないって……何時かは帰れるって事なのか?帰って俺はどうなる?今更俺は本当に帰りたいのか?帰らなかったら、どうなるんだろう。
「女神様。何を探せば良いのでしょう?」
「アナタが持たない力を、代わりに得る力です。一つだけ、一つだけ残って居たモノを授けます。残りはアナタ自身の力で探すのです」
視界がボヤけて、小鳥の囀りが耳に届く。気が付けば元の部屋に居た。傍には月詠み様が息を弾ませ、祈りのポーズを構えていた。
「月詠み様?」
俺が声を掛けると、糸が切れた様に彼女が崩れ込んだ。そして魔法陣が消え淀んでいた部屋えと戻った。
「誰か、誰か居ませんか!?」
俺の叫びに気づきシスターが駈寄る。気を失って居る月詠み様を抱え、俺達は別室へと向かった。
暫くして、レイが俺の下へ遣って来た。真っ赤に染まった目に赤く腫れた鼻先。折角の美人な顔も台無しじゃないか。
俺を強く抱きしめすすり泣くレイ。ヨシヨシと彼女の頭を撫でるしか出来なかった。掛ける言葉が見つからない。
「旦那様……おかえりなさいませ」
只、そう彼女は言う。
「出掛けたツモリは無いが……ただいま」
「もう~其れがダメなんです旦那様は」
アレレ?何で俺怒られるんだろう?まっ良いか。怒った顔も可愛いし。
『コホンッ』って無理やりな咳が聞こえるまでデレデレする俺達だったのさ




