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どうしてこうなった?  作者: 英心
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015 侯爵令嬢

本日四話目です


 町の大門に馬車が到着すると衛兵達がにわかに騒ぎ出す。ボイス氏は領主の館へ連絡を取り合い、俺達は別室で調書の作成と成った。兵士の小隊は事件現場検証へと急行するだろう。

そして、陽が暮れる頃に俺とレイは宿へと変える事が出来た。


「大変な目に遭いましたね」

「其れでも救える命が在っただけ良かったよ」

「この後、災難が降りかからなければ良いのですが……」

「俺達小物に貴族の目が向けられる暇は無いと思いたいな」


 夕食を済ませ、何時もの様に汗を流す。流石に疲れが出たのか、今夜も大人しく俺達は寝る事に成った。

そして、丸二日が過ぎる。町で侯爵家の馬車が襲われたなどと言う噂は聞く事は無い。如何やら秘匿が美味く作用した様だ。この調子なら火の粉は降り懸からないとレイと話し合った夕方の頃だ。領主の館から使者が明日午前中に登城する様にと連絡が告げられた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「面を上げよ。汝等が冒険者エイジとその連れレイで相違ないか?」

「ハッ」

「此度の活躍大儀であった。また市井に対し不安を煽る言動を行う事も無く自重した対応に感謝する」

「これも、市民としての役目を行ったまでで御座います」

「フム。その心意気町を納める者として賛美に値する。よって褒美を与えよう」


 この町の領主は『フレーゲル伯爵家』だ。当主自ら俺達と謁見し言葉下し褒美として金貨三十枚をくれた。裏にコレからも騒ぎを広めるな!見た事は忘れろと言う事だろう。むろん俺達も災いに首を突っ込む気はサラサラ無い。儀式的会見をを終えるとソソクサと館を出ようとしたのだが、止められる事に成る。


「先日は誠に助かりました。改めて輪が主から礼が伝えたいとの仰せです」


 すっかり元気に成ったボイドさん。今はキチンと身だしなみを整えたパーフェクト執事の姿で俺達の行く手を塞いでいます。


 招かれた部屋へと向かえば、ボイドさんを含む見知った顔が三つ。他に綺麗なご婦人と御付きの方と言った見知らぬ顔が二つ在ります。個室に高貴な方々それも女性だけで四つも揃い、ボイドさんまで数えれば十の視線で俺を見つめてるって、どんな嫌がらせだよ!


「貴方がエイジですか?此度は妹を窮地から救い出し私からも礼を言います」


 最初に言葉を発したのは見知らぬご婦人だった。元侯爵家の令嬢で、現伯爵家当主夫人『アンジェリカ』様だ。続いて侯爵家令嬢『シャレーヌ』様が言葉を綴った。


「私も救われた時には、気を失っており礼を伝えて居りません。誠に有難う御座いました」


 侯爵家令嬢はそう言って椅子から立ち上がり腰を屈めスカートを軽く上げ、謝礼の議を行った。


「滅相も御座いません。窮地を救うのも我らの仕事。それに既に礼はボイド殿とご領主様から既に受けて居ります。どうか頭を御上げ下さいませ」


 助けた相手の元気な姿を見られたのはホッとする。だけど、貴族から頭を下げられると後が怖い。まして相手は上から数えた方が早い爵位の娘だ。クワバラ・クワバラと内心祈る心境だよ。


「ボイドよりアナタ方の容姿を聞いてはましたが、兎族とはな……」


 ムッ!聞き捨てならない雰囲気?一瞬俺の顔が険しくなったのを、言葉を口にした領主夫人が感じ取った様だ。


「此処まで綺麗な娘さんとは想像も居て無かったの。その上、腕も良いと成ればエイジ殿も鼻が高いでしょう」

「勿体無きお言葉痛み入ります。レイとの出会いで私も行動の幅が広がったと言いますか、運気が上がったと言いますか、大変可愛がっております」

「左様ですか。女性の私から見ても、お綺麗ですものね。それに加えて、お強いですから憧れますわ」


 おっと、今度は下手からの攻めか?シャレーヌ嬢まで攻撃してくるなんて油断も無い。言っとくけど、レイは絶対手放さないからね。


「私が万が一にも輝いて見えるとするならば、それは我が主への忠義が成せる事でしょう。此度の件も含め、これからも主に従い民としての務めに励みます」


 レイも負けじと俺の援護射撃だ。どうよ!俺達の絆。深いでしょ。だから切り裂こうなんて考え辞めてね。


「フフフッ。ですから申し上げた通りでしょ。この方々は強い絆で結ばれているのです。如何か御二方、善からぬ算段は此処までにして下さい。仮にもお救い頂いた恩義ある方々なんですから」


 最後にボイドさんがダメ出しをした。やっぱり、この会談はレイを侯爵令嬢の警護にと企てたモノだったらしい。まぁ~軽く出来たら良いな位の遊び的要素が強いみたいだけど、俺とレイに取っては死活問題だからね。ハッキリ断りを入れないといけ無かったんだよね。


「まぁボイド。明かさないでよ。まるで私が悪役では無いですか」

「奥方様は昔から悪さが好きな御転婆でしたから。それに、妹君を溺愛し過ぎで御座います」

「姉上の愛情には感謝しております」


 一応、ご領主夫人の考えって事ね。まぁ~強行しないなら、茶番は水に流しましょう。それより素人演劇が済んだんなら、もう帰っても良いのかな?


「館に十日は滞在致します。如何かお時間が在りましたら、またお越し下さい」


 えっと……レイには悪いけど一人で来れる?大人だから迷子に成らないよね!?って思ってたら、レイに睨まれたよ。うん。判った一蓮托生だね。

 退出際にボイドさんから大きな革袋が手渡された。謝礼なら既に領主から頂いたと断れば、コレは侯爵家からだと言われ。夫人からは、金額をしつこく聞かれ渋々答えると『あのケチンボウ』と悪態を吐いてたな。う~んカカア天下なんだ。

まぁ~元侯爵家令嬢だしな。領主様も見えない努力してるんだ。


 結局、侯爵家からの謝礼金は金貨百枚も在った。一気に大金持ちだよ。併せて金貨百三十枚元の資金と併せて百四十五枚を超えました。何を買おうかな~。


今更だが、俺達が持つギルドカードは魔導具の一種だ。一番の利点は報奨金を含む金の預かりと出し入れが魔法で行える所謂、銀行系キャッシュカードなのだ。全部の店では無いが、世界中の提携店や提携宿屋とギルド支部で使える。当然本人以外は許しを受けたもの以外は使えないセキュリティー魔法も掛かっている。 宿へ帰る前にギルドへ立ち寄り、カードへの入金を済ませて置いたのは言うまでも無い。


二日に一度は、館から馬車が迎えに来た。時にはお忍びでボイドさんと令嬢が宿に来る事も有った。町の外へ出る事は無かったけど、シャレーヌ嬢と俺達は、階級を超えた関係を少しだけ築けた気がする。それは彼女が最も欲しがったモノであり、夢見たモノだと姉である領主夫人から聞かされたのは、シャレーヌ嬢が帰られる前日の晩餐会の後の事だ。


「今度は私共がお伺い致します。ご領地を是非、拝見させて下さいませ」

「えっ!本当ですよ。きっと!きっとお伺い下さいませね」

「はい。お約束は守らさせて頂きます」

「その日を首を長くしてお待ちしてますわ。キットですよ」

「シャレーヌ様小指をお出し下さい」

「こうですか?」


 差し出された小指にレイは己の小指を絡める


「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ま~す。我が主の国元での約束の儀だそうです。この儀を交わせば、約束は必ず成就すると聞いて居ります」

「そうですか……では安心ですね」


侯爵令嬢とレイは互いに微笑み、俺とボイドさんは互いに腕を交わす


「互いに再会まで壮健で在りましょう」


 非公式での招待だった俺達は、別室でシャレーヌ嬢と約束を交わし、ボイス殿と別れを惜しみ、館を後にした。

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