011 カミングアウト
本日四話目です
一部文字修正・加筆しましたが内容に影響は在りません。
初仕事と訓練を兼ねて町の外へ出ていた俺とレイ。槍の扱いを学びながら、初めて自分の生長禄つまり、ステータスを見る事が出来る様になったんだが、幾つも突っ込み処が在る事が判った。
「コレは、驚きと言うか、呆れるほどの数値ですね。雅か此処までとは」
「俺も不思議に思う所が在るんだけど、少しレイと照らし合わせながら教えてくれるか」
「先ず、名前の後のLV。コレは基本数値の元と成る人の成長数値です。鍛えれば鍛えるほど成長します。実際レベル上では私の方がご主人様より高い数値に成っています。訓練期間の差だと思います。次にHPです。人の生命力だと思って下さい。此方も成長と共に増えて行きます。強い方程、生命力に溢れていると言う事です。次のMPとは魔力です。同じく成長するモノで胎内に宿っている魔素量だと言われています。多い程スキルや魔法を多く使えると言われています」
此処でレイの言葉が詰まる。俺の数値を見ての行動だろう。何しろ魔素数値は零なんだから、彼女が驚くのも無理は無い。逆に俺は予想できた結果だ。だが、彼女に解説を続けて貰う事にした。
「力とは攻撃力と思って下さい。所持する武器にこの数値が加算され能力が発揮されます。防御力は逆に相手からの攻撃に耐えれる力です。鎧等の装備品が加わる事で更に能力が発揮されます。数値が高い程、怪我をし難くなると思って結構です。機敏性は動きの速さ、動体視力に関わります。器用は手先の器用さで、物覚えが早いと言われ投擲や弓での命中力も高いとされています。後は習得スキルの習得度と魔法の種類と同じく練度ですね」
此処でレイの言葉が終わり俺を見つめる。アレSPは?と問えば何の事ですかと彼女が質問返しをしてきた。如何やら彼女には見えない項目らしい。
さて、彼女の説明の後に俺の疑問を口にしよう。
「驚かずに聞いてくれ俺が感じる疑問を含めて話をしよう。出来れば、今の所、他言しないでくれると有難い」
「主の秘密を漏らす奴隷は居りません。抑々ご注意すべき事ですが、決して他人にはステータスを表示為さってはいけません。自分の弱点を晒す様なモノです。肝に銘じて置いて下さい」
って事は、何でレイは俺にステータスを見せたんだ?まぁ~俺のも見せたんでオアイコって言えばそれまでだけど、互いの秘密を共有って事で良いのかな?
「先ず、年齢だけど、本当は四十歳なんだケド、表示は三十五に成ってるんだ。体が軽くなってる事は気づいてたけど、それは成長の所為だと思ってた。だけど、色々調べると肌艶や手の平の皺が減ってる気がする。其れに……気持ちも若返ってるんだ」
俺の言い淀む台詞にレイが気づき頬を染めて行く。うん。そう言う事。今朝の行動も含めて自分でも驚いてる。俺は体と心が若返ってる。
「魔力は無いのは心当たりが在る。コレは後で話そう。他の数値は基準を知らないから俺からは何とも言えないな。其れとレイには見えない項目が幾つか在る」
言葉を終えるとレイの顔が驚きに満ちた表情だ。まぁ~そうだろうな。俺自身がそうなんだしね。彼女から見れば益々、変人と言う事だろう。
「コレだけは知って置いて下さい。人は他の種族より此処の数値が低いのが一般的です。力では獣人族や精霊族のドワーフに劣り、機敏性は私の様な種族の獣人族に劣り、器用さは精霊族のエフルやドワーフに劣り、魔力はエルフや魔族に劣る。とされてるのです」
それって人間が一番弱いって事じゃん。
「そうです。ですが世界を納めているのは殆どが人族です。人は、集団によって個々の能力以上の力を発揮する生命体なのですよ。ですから、如何にかバランスが取れているとも言われるのです。ですが……ご主人様の数値はその枠を超えています。もし人にそれを知られると、大変な事に成るやもしれません」
言いたい事告げなきゃいけない事は多々在るが、先ずは興奮してるレイが落ち着いてからだ。それに此処は野外。万が一にも魔物が襲い掛かる危険もある。
彼女が落ち着いたら一旦町へ戻って宿で話の続きを使用と思う。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「一日でコレだけの数を倒したのですか?相変わらずですね」
予定より早めに切り上げギルドへ報告に来ていた。時間が夕方前と言う事で、他の冒険者の数が少ないのは有難い。俺達は、常時発注の薬草集めと魔物狩りの報告をシャルルさんに済ませている所だ。
「では、薬草収穫依頼が計三口。大鼠討伐が十二口。それとスライムと角兎の討伐が其々五口と成ります。端数は依頼達成とは成りませんが、買取りは問題ありません。それで宜しいですか?」
テキパキと事務処理を進めるシャルルさんはやはり、出来る女性だと思う。
「それで、初回では在りますが、達成件数が二十件と成りましたので、お二人のギルドランクがGクラスからEクラス。それも、Dクラスへの昇級試験を受ける資格を得られました。如何されますか?」
聞きなれない言葉を聞かされる『昇級試験?』って顔をするとシャルルさんは感じたのか説明を始めた。
「以前話したと思いますが、Dクラス以上へは試験を受けなければ、昇級しません。上がる度に試験の内容は難しくなっていきます。因みに今回資格が在るDクラスは簡単な質疑応答です。要は倒す魔物の弱点や必要とする討伐証明書部位についての理解度を調べるだけです。直ぐにでも受けれますが!?」
サッサと上れよ!みたいな態度だったけど、レイの様子が少し変だと気づいたシャルルさんは、それ以上事を進めるのを止め、報奨金の銀貨五枚を渡され解放された。悪いけど、昇給は後日だ。下手をすれば、パーティーは解散。俺は雲隠れするかもしれないからだ。
そして、宿へと帰って来た。女将とラナちゃんも、何と無く俺達の異変に気づき何も言わず部屋へと向かう。女将は気を利かして、温っかい茶をラナちゃんに運ばせ二人静かに茶を啜った。
「それで、話していない事の続きなんだが、先ずレイには見えて居なかったステータスから話そう」
どう切り出して良いか迷った俺は、結局遠回しに話す事にする。レイの態度が読め無いからだ。この歳で不安に駆られるなんて、まるで初恋の相手に告白する気分じゃないか。
「先ずはSP残30P。言語習得術LV1。それと加護漏れだ」
ガバッと垂れていたレイの頭が上がった。臆する所が在ったんだろうと思える。だから、彼女の質問を受ける事にした。
「SPとは何です?」
「俺にも判らん。唯、もしかしたらと言う考えは在る」
「言語習得術とは何です?」
「言葉の通りだと思うよ。こうして話ができるのは、その術のお蔭だと思う。唯LV1だから俺は読み書きが出来ていないんだと思う」
少し間が在ってから最後の項目にレイが触れる。
「加護漏れとは……何でしょう」
「俺にもサッパリだ」
「加護とは女神様からの加護と言われています。ですが、加護を受ける方ナンテ世界中でも極限られた僅かな人だと聞きます。ご主人様は一体……」
何と無く思ってた通りだ。と成れば、想像がつく。であれば、俺が隠していた事を例に告げなければ、俺の異常なステータスを納得できないだろう。
「俺はさっきも言った通り四十歳のオヤジだったんだよ。戦う事も無い。奴隷を買う事も禁止された場所で、サラリーマンっと商人の定員みたいな奴として働いていた。魔物も居ないし、魔法も存在しない。存在しないから魔素を体内に蓄積する事も無かった。……そう俺は、違う世界から来た男だ。自分でも知らない内に迷い込んでいた。自分が基の世界で死んだのか、誰かに呼ばれて来たのか、それとも神様に召喚されたのか……理由も判らずこの世界に迷い込んだ異世界人って事だ」
沈黙が流れる。俺の言葉を聞き漏らさぬようにシッカリと見詰めて居たレイの顔が今は俯いている。あぁ~コレってフラれた時の感じに似てるな。気まずい思いをしながら告った女性が『友達で居ましょう』って無理な言葉で締めくくったっけ。結局その娘とは疎遠になったな。
レイと俺の関係は奴隷と主の関係だ。壊れれば如何すれば良いんだろう。奴隷解放って直ぐ出来るのかな?残金全てをレイに渡せば、彼女は安全に独り立ち出来るだろうか?そんな事を考え始める俺だった。
時間を割いて読んでくれて有り難う




